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お散歩

小学生の頃、いつも歩いていた通学路。わざと、小高くて細いところにのぼっていたあの頃を思い出す。大人になった私、またのぼってみる。
「あれ?こんなに低かったっけ。」
あの頃は少し背伸びしたような気分で、転ばないようにと一歩一歩慎重に歩いていたし、何なら、ちょっと怖いなとまで思っていたのに。
今の私はスイスイ歩けてしまった。なんと味気のないこと(笑)。だけど、小さい頃の自分を思い出して、思わずクスっと笑った。

大人にとっては小さなことでも、子どもの私にとっては大きな大きなことだったんだな〜。

見慣れた景色のはずなのに、よく見ると変わっている。
小学校の遊具はさびれていて、中学校のグラウンドは前よりも雑草が多くなっている気がした。
新しい家が建っている所もあれば、売地になっている所もある。
知っているお家から、知らない子どもが出てくることもあった。
いつも元気に挨拶をしてくれていた畑のおじさん。前と同じように農作業をしている姿が、いつの間にか少し小さくなっている。
「あー。変わったんだなー。」
私だけじゃなくて、周りの人や景色も変わっている。

でも、変わらないものもあった。誰かが手入れしているであろうずっと前からある畑。そこには、必ずネギやさつまいもが植わっていて、今もそのラインナップは変わっていなかった。
少しづつ咲き始めたコスモス。友だちとその場所を通るたびに、「綺麗だね」と毎年楽しみにしていたことを思い出す。
見渡す景色には色々な思い出が詰まっている。

変わるものと変わらないもの、その両方を感じながら散歩を楽しむ。

今日の空の色は?今日の空気の匂いは?
昨日とは違う今日の景色がそこにはある。

木々が擦れる音、鳥の話し声、公園で遊ぶ子どもの声。
ただ歩いているだけでも、世界は音で溢れている。

今日も私の五感をフル稼働させながら、散歩に出る。




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