The 個性的な旅

世界を巡る個人旅行を始めておよそ半世紀。その中で見た景色や人との関わり、感じた事や考え…

The 個性的な旅

世界を巡る個人旅行を始めておよそ半世紀。その中で見た景色や人との関わり、感じた事や考えた事、そして自分らしく生きる目的や自分らしい時間を過ごす術(すべ)を記します。また仏教の「お経」の中に見られる哲学に心を惹かれています。

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  • 摩訶般若波羅蜜多心経とは

    ・摩訶般若波羅蜜多心経 般若心経の正式題名です。そのまま訳すと「彼岸へ渡るための偉大な智慧のいちばんたいせつなお経」となります。 摩訶とは、「偉大」という意味。般若は「智慧」仏教でいう智慧とは、いま自分が何をすればいいのか、相手に何をしてあげればいいのか、そうしたことを正しく考える力のことです。いつでも正しい考えさえ持てれば、人は困難に打ち勝つことができ、幸福が訪れます。智慧は、仏さまから私たちヘのプレゼントです。 波羅蜜多は「彼岸へ渡る」彼岸は、悩みも苦しみもない向こう岸、あの世のことです、。 心経の心とは、心臟の心、中心の心。いちばんたいせつなお経だから「心経」なのです。

最近の記事

C29 スペイン人と酒飲み対決

「イキオ、今日の勝負は、ボクの勝ちだよ!」と少し口元が怪しくなってきたジェームスは、2杯目のシェリー酒もあっさり飲み干してしまいました。それを見ると、これは長期戦に持ち込まないとあっちのペースでは、こちらのペースコントロールを乱されてしまうと思いました。「はぁ?何を言ってるの?ここにお互いが飲んだグラスを並べていこう。どっちが多く並ぶかが勝負の決め手だ!」と提案しました。「OK、イキオ、それじゃあ今二人とも2杯目だね。ボクは3杯目を飲むからね。」とすでに2杯目を飲み干し、3杯

    • C28ラガービールでとりあえず乾杯

      ちょっと気分がハイになり、「ジェームズ、どんな酒で勝負をするんだ?」と尋ねると「ビールかな?」と返ってきました。「ふざけるな!ビールで勝負なんてばかばかしい」と言い返すと、ジェームズは「ボクは、初めにビールが飲みたい」とごく当たり前のことを言いました。その点は同感だったので、「初めの一杯は、お前がおごれ!」と先輩風を吹かせて言うと、意外とあっさり「うん、わかった!」と承諾しました。「よし!」と一杯目は、生ぬるいラガービールで乾杯しました。なかなか芳醇な香りで、生ぬるいビールな

      • C27悪魔の同居人と過ごす花の金曜日の夜

        悪魔のように空気読めない同居人ジェームスが今日からこのコテージに住みつくのです。ジェームスはやって来るなり、「イキオ、今日は金曜日だからパブに行こうぜ」と飲みに誘うのです。「ジェームス、残念だが俺はここで週末の夜をゆっくり過ごすのだ」と言い切りました。ワインも買ってあるし、久しぶりに美味しそうな燻製のハムも手に入れたから、たとえジェームズでなく誰か他の人に誘われたとしても、今夜の外出する気持ちはさらさらなかったのです。するとジェームスは、「イキオは酒が飲めないのか?それとも酒

        • C26 イギリスで正規の給料をもらう

          私はホッとして、ジェームスからなるべく離れたところに腰をおろし、楽しみにお昼の弁当として持ってきたなんちゃってマッシュルームご飯の入った弁当箱を開けました。冷えてはいましたが、お米の味はとても麗しく、一口一口噛みしめながらその味を楽しみました。ジェームスは、なにかきっかけを作って私の方へ来そうな雰囲気だったので、ほとんど目を合わせないようにしながら、しっかり休憩を取りました。ちらりとジェームスの方を見ると、今度は他の作業員にタバコを要求しています。呆れたというか、アッパレとい

        C29 スペイン人と酒飲み対決

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        • 摩訶般若波羅蜜多心経とは
          2本

        記事

          C25マイペースな困ったちゃん

          10時になるとトーマス主任が「じゃあ、一休みしよう」と皆に声をかけて、休憩に入りました。各自が持参した紅茶や牛乳、ビスケットを適当に座って楽しみながら、紙巻きタバコを巻いて一息つきます。私もミネラルウォーターで喉の渇きを潤して、一服しました。隣に座ったトーマス主任が「イキオ、英語はどこで習ったんだ?」と言いながら、手製のクッキーを勧めてくれるので「ありがとう、いただきます。日本では12歳の中学校から英語の文法や発音、簡単な英作文、英文の読解を始めます」と答えました。「ただし、

          C25マイペースな困ったちゃん

          C24生意気スペイン人とチームを組む

          着いた先では、すでに何人かの農夫が作業をしていました。「トーマス!ちょっと来てくれ。」というと、作業している中から初老の男性が私たちの方に近づいてきました。「トーマス、今日の作業で使ってやってくれ。イキオとジェームスだ。」と私の肩を叩きながら、その作業主任に私たちを紹介しました。「イキオ、ジェームス、彼はここの主任でトーマスだ。今日は彼の指示で作業をしてくれ。」軽く私たちに会釈して「オーカイ、ボス。じゃあ作業を一緒に進めるように段取りするよ。」と手短に会話すると私たちについて

          C24生意気スペイン人とチームを組む

          C23スペイン語しか話せないイギリス人

          朝からちょうどお弁当箱の大きさにぴったりのピクルスのプラスチックケースがあったので、昨晩のマッシュルームご飯を詰めて昼ごはんにしました。朝食も嬉しいことに和食です。アルミ製の水筒には熱い紅茶を入れました。昨日、全粒のビスケットも買っていたので、ティータイムのサイドメニューは問題ありません。それに職員特典のフルーツもリンゴと西洋ナシがあって、なんとまあ贅沢なラインナップです。サブバッグはすでにパンパンです。ショルダーバッグの紐が肩に食い込むのを感じながら農場の事務所に向かいまし

          C23スペイン語しか話せないイギリス人

          C22数千本のリンゴの木と付き合う

          今日も快晴です。見渡すと、3日間の作業でずいぶんとリンゴの子供たちは枝を広げるようにS字フックがセットできています。みんな手を広げて、私に手を振っているようにも見えます。いつかまた大きくなったこのリンゴの木たちと会ってみたいとも思います。まだ10時までには時間があるので、できるだけ今日中に作業を進めようと決意しました。 ふと気が付くと明日は金曜日です。初の給料日であることに気づきました。はたしてどのくらいの給料になるのでしょうか。少なくとも一週間の食費が稼げれば良いのですが

          C22数千本のリンゴの木と付き合う

          C21イギリスの田舎の交差点はロータリー!!

          ところがまたまた、問題発生です。次の曲がり角がロータリーだったことを思い出しました。「進入方法ってどうやるの!?」という不安が頭をよぎります。それまでボスの運転で気楽に助手席に乗って通り過ごしていたのですが、今までにロータリーを車で通過したことがなかったため、右へ曲がる方法に困惑しました。左に曲がるのは簡単です。日本の交差点と同様に左にハンドルを切って道なりに進めばよいのです。しかし、右に曲がる場合、まず左へ曲がる必要があります。左へ曲がる道を通過し、さらに右回りに回って、ロ

          C21イギリスの田舎の交差点はロータリー!!

          C20 スリリングなイギリスでの初運転

          早速、作業の道具を荷台に積み込み、今日が最後となるリンゴの畑に向かいました。右ハンドルで左側通行のイギリスでは、日本と同じように運転できるのが助かります。というのも、ヨーロッパに来た当初、日本とは逆の交通ルールに慣れるのが大変で、道路を横断する際の左右の確認や、バス停でバスを待つときに、つい日本の車の流れを思い出して右往左往してしまいました。左方向に行くバスに乗るには、道路の向こう側のバス停で待たなければならないのですが、日本の感覚で手前のバス停に立ってしまうのです。ヨーロッ

          C20 スリリングなイギリスでの初運転

          C19 車持ちのアルバイト生

          木曜日、出勤すると農場の事務所のほうから賑やかな声が聞こえてきました。何事かと思いながら農場の門をくぐると、そこには英語の洪水が広がっていました。近くの職員に尋ねると、この日から学校が夏休みになり、新たに農場でアルバイトをする学生たちがやって来たのだと教えてくれました。私と同じ身分の彼らが、まるで祭りのようにどやどやと入村してきたのです。 一瞬、彼らが私の住んでいる家に来るのかと思いゾッとしましたが、どうやら専用の宿泊施設が用意されているらしく、少し安心しました。しかし、ボ

          C19 車持ちのアルバイト生

          C18覚悟を決めて…食べる

          さて、今夜のお米の仕上がりはどうだろうとコッフェルの蓋をとると、なんとつやつやした仕上がりのマッシュルームご飯が湯気の向こうに見えました。別名、西洋マツタケご飯です。匂いはまったく、おいしそうです。最後の確認は、舌で確かめるしかありません。その美味しそうなご飯の香りに負けて、まずスプーンでご飯を味見しました。久しぶりのご飯の味にテンションが上がります。勢いでマッシュルームのようなキノコもすくって、食べてみました。香りは日本のマツタケには及ばないものの、味はほのかにマツタケのう

          C18覚悟を決めて…食べる

          C17 こだわりのマツタケ風炊き込みご飯

          コンロにかけて火をつけます。お米を炊くのには、持参してきたコッフェルが非常に役に立ちます。このアルミ製のコッフェルは、ふた付きでしかも簡易的にロックができるので、お米を炊くときにはそれなりに圧力がかかり、いい具合にお米が炊けるのです。日本にいるときも、このようなシチュエーションがいつかあるだろうと思って、かなりお米を炊く練習はしてきました。その成果を試すときが来ました。この旅の中でお湯を沸かしたり、クノールのインスタントスープを作ったり、ここに来てからは絶対に外せないティータ

          C17 こだわりのマツタケ風炊き込みご飯

          C16 道すがらナゾのキノコを獲る

          ドラッグストアでは少し馴染み客になり、住んでいる家のちょっと個性のある煮炊き用のコンロのクセもわかってきました。農場への近道も発見しました。大きなリンゴの木の林を突っ切り、ブラックチェリーの見事な大木がズラリと並ぶ林を通ると、あっという間にドラッグストアの前に出ます。そこから家までは5分もかかりません。しかも思いもよらぬ収穫もありました。リンゴの林を抜けるときにふと木の根元を見ると何かしら白いものが見えました。何だろうと近づいてみると、それは白いキノコ、なんと自生のマッシュル

          C16 道すがらナゾのキノコを獲る

          C15リンゴの木と野うさぎと戦闘機

          二日目の朝、農場への道を歩きながら出会う人々と元気に挨拶を交わし、朝礼も無事に終えて、ボスに連れられ再びリンゴの赤ちゃんたちのお世話をするために昨日と同じリンゴ畑へと向かいました。今日は万全の準備です。水筒には紅茶、ミネラルウォーターはペットボトルに入れ、お昼ご飯用のサンドイッチとティータイム用のレモンクリームがサンドされているクッキーを一袋用意しました。案の定、ボスは私を畑に落とすなり、さっさと帰っていきました。 私は、10時のティータイムまで、S字フックを掛ける「tie

          C15リンゴの木と野うさぎと戦闘機

          C14ドラッグストア初入店

          農場の一日が終わり、帰り道に少し寄り道をしました。目的地は、例のドラッグストアです。当時、日本にはまだ多くなかったドラッグストアに入るのは初めてで、少し緊張していました。店の中は何でも屋のような雰囲気で、郵便局も兼ねているようでした。ちょっと小太りで親しみやすそうなおばちゃんが出てきました。すでにヨーロッパで4ヶ月過ごしているので、挨拶には慣れています。目で会釈をしました。 お目当てのクッキーと紅茶、全粒のオートミールパン、お米も手に入れました。旅行者かと尋ねられたので、近

          C14ドラッグストア初入店