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【鑑賞記録】特別展「北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦 江戸東京博物館コレクションより」

中之島香雪美術館で開催している特別展「北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦 江戸東京博物館コレクションより」(5月26日まで)を拝見しました。本展は岡山県立美術館、大分県立美術館へ巡回します。

日曜日に伺ったので入館制限が若干ありました。土日は一日1,000人以上の入館者数になるとのこと。

はじめと終わりに広重に関する縁の資料があり、間に北斎の作品と広重の作品が並びます。いつもの壁面ケースの前に壁を設えてあるので展示空間としてはかなり狭くなっています。肩越しに作品を見るのも難しい感じです。作品については写真撮影OKです。パネルは来館者の撮影許可を得られていない画像を使用するものは撮影不可です。

展示は副題にある通りモチーフとしての富士山を基調として作品が並びます。その前に北斎が勝川春朗と名乗った頃の肉筆画がありました。

冨嶽三十六景は輪郭線の藍摺と墨摺の説明があったら良いなと思いました。シリーズは46図で完結していて36図は藍摺、あとから作られた10図は墨摺で輪郭線が作られます。展示作品は色残りが良く良い状態だと思います。

北斎は鮫肌のような表現で水飛沫をあらわしたり、線を連ねてうねる波を描いたりと波の表現が豊富です。

北斎のあとに広重を見ると二人の違いがよくわかります。北斎のほうが描きこみが密で上手さがよくわかります。広重は余白が多くそこに雨や雪の表現が加わり余韻を作り出しているように感じました。広重は晩年になると縦構図の風景画を多く制作します。「六十余州名所図会」や「名所江戸百景」など。近くを極端に大きく描く構図や、事物を左右に並べて画面下からジグザグに視線を動かすと画面上部に到達する構図も見られます。


名所江戸百景 水道橋駿河台

最後には広重が使用していた旅枕や煙草入れ、脇差などが展示されています。

広重が使用した旅枕、煙草入れなど

前期後期の展示替えがあります。