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英国高級百貨店Harrodsが有料会員制店舗を中国にオープン予定

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2023年8月21日配信 Vol.128より

Briefing

イギリスの高級百貨店Harrodsが、初の会員制クラブを今年の末にも上海にオープンする予定であるとVouge Businessが報じている。会員制クラブにはプライベートダイニングとバー、ラウンジといったスペースに別れており、英国シェフGordon Ramseyの料理を体験できる中国で初めての場所となる。さらにメンバーは航空チケットの手配や不動産、インテリアデザイン、パーソナルショッピングといった特別なサービスを受けることもできるほか、Harrodsのブランドパートナーが開催する特別なイベントにも参加できる。年会費は16,000ユーロから26,700ユーロまで三段階のプランに分かれており、オープンの時点では250名の会員を見込んでいるという。
中国市場はHarrodsにとっても重要であり、2019年には売上の23%を中国人顧客が占めていた。パンデミックの影響もあり、2022年にはその割合は16%まで低下したが、中国のゼロコロナ政策の緩和とともにイギリスの店舗への中国人観光客の数も回復しはじめているようだ。
メンバーシップ制度に力を入れ始めているのはHarrodsだけではない。Selfridgesも今年、新しいメンバーシッププログラム「Selfridges Unlocked」を発表した。会員は有名ビューティーブランドのレッスンや映画の公開イベントといった限定イベントに参加することができる。さらに、Farfetch傘下の老舗セレクトショップBrownsも、年間購入金額に応じてランクが変動するメンバーシップ制度「The Club」を持ち、限定のイベントやプロダクト、パーソナルショッピングサービスを提供している。
百貨店や高級セレクトショップが提供するメンバーシップの特徴は、ディスカウントやキャッシュバックではなく限定のイベントやサービスにアクセスできることをメリットとして打ち出している点だ。さらに年会費を設定することによって、モノを販売するだけではなく、無形のサービスやイベントによってマネタイズしようとしている。
モノを見つけるだけであれば、インターネットやSNSを通していくらでも自分でアクセスできるようになった今、百貨店やセレクトショップならではの感性でプロデュースされた空間やイベントが、ひとつの魅力的な「商品」となりつつあるのかもしれない。

Are you a member? Why luxury retailers are investing in private clubs

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