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歌誌『塔』2023年11月号掲載歌「言葉はそのまま光となりぬ」

みなさま、こんにちは。

みなさんは『塔』が届いたときにどこから読み始めますか?
私はまず巻末の編集後記から。多くの方々のご尽力があって毎月の『塔』が発刊されていることを忘れたくないのです。
次に「塔のひろば」、「若葉集を終えて」、「新入会員紹介」のあたり。新しく入会される方のひとことを拝見するのも楽しみです。仲間が増えるのは嬉しいですね。

それでは『塔』2023年11月号の掲載歌。三井修選です。

朝起きてカーテンあけて祈るひと言葉はそのまま光となりぬ
恥づかしいから顔は見ないでと言ふ君の愛の告白三分前の
はじめての駅に降りたら目の前に広がつている八月の海
ぬばたまの夜にくちづけした夏の思ひ出きみと別れる前の
同じ空を見上げて別の雲を指す駅までの道駅からのみち
ひまはりの枯れるそのとき秋はもうはじまつてゐるページをめくる

『塔』2023年11月号p96


さて、過日編集部からご依頼をいただきまして、今号から来年の4月号まで半年の間、梶原さい子選歌欄評を執筆させていただくこととなりました。
改めて歌評ってどんなことを書いたらよいのだろう、というところからスタートです。でも、新しいこと、それも大好きな短歌のことなのでとても楽しみです。
『塔』がより充実した誌面になるように、私も微力ながら貢献したいと思います。皆さまどうぞよろしくお願いいたします。

★『塔』2024年1月号に山本憲二郎さんが評を寄せてくださいました。ありがとうございます。(2024.2.8追記)

同じ空を見上げて別の雲を指す駅までの道駅からのみち
<評>
相聞歌四首の中の一首。彼女の住む駅に降り、家を訪ねるのだが、結局別れることになってしまったようだ。その時の心のすれ違いが上句に上手に表現されている。そして、下句は、二人での「駅までの道」と一人になった「駅からのみち」の寂しさが巧みに詠まれている。(山本憲二郎)

『塔』2024年1月号p208

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