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ASDは何故音声コミュニケーションが苦手なのか零細企業で良く実感した話

私が初就職をした時代というのは「自閉症=引きこもり」なんて思われてた時代でして、ASDなんて単語はほぼ無かった時代でございます。
昨今は「大人の発達障害」の記事は良く見かけますが、だいたい1クラスに1人くらい発達障害がいる場合、やはり「大人になってから発覚する」というケースは多く見るでしょう。

発達障害のケアが進歩してきたのは概ねこの十数年と言ったところで。当初は「小児医療の一環」だったのではないかと思います。
実際問題、発達障害は発覚が早ければ早いほど良く、早く発覚すれば人生の軌道修正は早く済みます。
特に「本来向かない仕事に就くことを避ける」という意味で発達障害の早期発覚は極めて大切です。

先日とある企業との面接時に「8年間コールセンターやってコールセンター合わなかったんですか?」と訊かれたのですが、そら「合わへんかった」としか言いようがありません。

私はアラフォーになってからASDが発覚しましたが、ASDは聴覚による情報処理を不得手とすることが多く、コールセンターと言う仕事は正に「苦手な聴覚処理を求められる仕事」だからです。

合わない仕事を8年もやったことで軌道修正が難しくなったのですから、いかに発達障害の早期発覚が人生設計に於いて重要かは良く実感しています。

世の親達は「ウチの子に限って◎◎な筈がない」という思いを持って、その中に発達障害も含まれますが、知的障害が伴わない発達障害は発覚が遅くなればなるほど軌道修正が難しくなるので、違和感を感じたら一度インターネットでセルフチェックをやった上で、精神科への受診をお勧めします。

※参考までに私のASDセルフチェック結果は40点です。

そのうえで、今回は何故ASDは音声コミュニケーションが困難になるのか自分の実体験を元に書いてみたいと思います。


📢喋ってる内容が聴き取れない

Twitterで話題になったAPDの漫画

これはAPDという障害に関する漫画ですが、実はASDにも少なからず当てはまるケースがあると思います。

「自分、耳遠いんとちゃうか?」

上司から何度か言われましたが、傍にいるのに喋ってる内容を聞き取れないことが度々あります。
恐らくAPDにしても聴力検査をやったら問題はありません。
私も聴力検査で問題が出たことは無いのです。
でも聞こえない。
これによって電話の聴き取りが困難になることがあります。
それ故に電話の仕事って本来スゴく相性悪いんですよね。
言ってはなんですが、自分がASDであることを20代の内にわかっていたら、電話の仕事を長く続ける愚は犯さなかったと思います。

🎤音声データには言語データと感情データがある

次に音声におけるコミュニケーションの難しさを言うと、音声データと言うのは大別すると「言語データ」と「感情データ」が合わさって1つの音声データになっています
実はここが凄く重要で、ASDの苦手なことの1つが並行処理です。

音声コミュニケーションとは「言語データ」と「感情データ」の処理を《即時で》行うコミュニケーションなんですね。
言語データと感情データの同時処理を行うことが非常に難解です。
所謂、相手が平常心の場合はこちらも普通に返せます。
そのため、比較的相互に平常心を保てる面接の場ではASDは意外と見抜けないと思います。
加えて面接は一問一答形式で進みやすいのでASDでも問題なく受け答えができてしまうことが多いと思われます。

ところが職場に入った後が問題で、同僚間や上下関係の間では感情が入り混じることが殆どであり、私はまず感情データから先に処理しようとします
特に「怒りデータ」と「不機嫌データ」は大変処理が難しいものでして、だいたい頭が真っ白になります。

💻「不機嫌データ」の処理には複雑な条件分岐が走る

アイマスより三船さんとのコミュニケーション

会話というのはPCで例えるなら、常に複雑な配列や条件分岐の繰り返しです。
複雑な配列や条件分岐を常にリアルタイムで処理しなければならないのが音声コミュニケーションになります。
例えば上図の三船美優とのコミュニケーションは選択肢(配列)が3つありますが、所謂マークシート形式なので「どれか1つの選択を選んだ時点で終了」です。
また、この回答をするにあたって時間は極端なこと言えば1時間悩んでも構いません。

一方、現実の音声コミュニケーションでは上の3つの選択肢を選んだあとの条件分岐が発生します。
上図の場合は三船さんは「上機嫌データ」なので「もちろん人妻だよ」以外は「まぁスベらないだろう」となります。

仮に上図の三船さんが不機嫌な場合の選択肢は命懸けです。
「不機嫌な人間ほど大量の条件分岐を想定しないといけない」ため、脳内メモリ使用量が100%になってフリーズするわけです。
特に不機嫌な人間の質問形式は「何で何で」になりやすいのでフリーズしやすいんですよね。

こうした複合的な要素があって、音声を理解することに困難が伴います。
反面、文書コミュニケーションの方が「感情データが混じりにくい」分、理解がしやすいというものがあります。
が…それはそれとしてLINEは苦手ですね。
感情データを上手く混ぜないといけないので…。

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