チェロの知られざる名曲⑤ジョン・タヴナー「奇蹟のヴェール」

2023年6月10日 18:48

皆様こんにちは、Cellist Harukaです💖バッハの無伴奏チェロ組曲やドヴォルザークのチェロ協奏曲などとは違って、一般的にはまだまだ知られていないチェロの名曲をテーマに、シリーズの第５回目の記事をお届けします。

第４回目の記事はこちら⬇️

チェロの知られざる名曲⑤ジョン・タヴナー「奇蹟のヴェール」Sir John Tavener: The Protecting Veil

サー・ジョン・タヴナー (1944-2013)は、メシアンやシュトックハウゼンと並ぶ神秘主義の作曲家で、美しい宗教合唱曲やビートルズとの深い交流でも知られたイギリスの作曲家です。合唱曲「神の子羊」「アテネのための歌」と並ぶ代表作が、独奏チェロと弦楽オーケストラのための「奇蹟のヴェール」です。

タヴナーは1944年ロンドンに生まれ、ハムステッドの教会のオルガニストでもあった父の影響もあり、早くから音楽に親しみ、王立音楽アカデミーではレノックス・バークリー（※映画音楽で知られるリチャード・ロドニー・ベネットや、クラシックとポピュラー両方で活躍したデイヴィッド・ベッドフォードの師で、友人のベンジャミン・ブリテンとは多くの共同作品を生み出しました）に作曲を学びました。　

24歳のときに劇的カンタータ「鯨」が、ロンドン・シンフォニエッタによって初演されたことで話題となり、27歳のときに書いた「セルティック・レクイエム」と共に、ビートルズのレーベルであるアップル・レコードでレコーディングされることとなります。ジョン・レノンの紹介でアップル・レコードに所属したタヴナーは、ポール・マッカートニーの最愛の妻リンダを偲んだ作品を発表するなど（A Garland For Linda: The Joyful company Of Singers）、タヴナーとビートルズとの交流はその後も続きました。

1977年にロシア正教会に入信、ロシアの詩人アフマートワの、スターリンの大粛清の犠牲者に奉げられた連作長詩をテキストとして「アフマートワ・レクイエム」を作曲するなど、多大な影響を受けることになります。

代表作「アテネのための歌」は、ダイアナ皇太子妃告別式典に演奏されたことで脚光を浴び、1997年にはダイアナ妃追憶作品「永遠の日の出（詩：ウィリアム・ブレイク）」を作曲しました。2003年にはグラミー賞2部門を受賞しています。

1988年に完成した「奇蹟のヴェール」は、スティーヴン・イッサーリスのプロムス・デビューのために作曲されました。イッサーリスの依頼により、当初は10分程度の短い作品になる予定でしたが、結果として約45分に及ぶ大曲となりました。聖母マリアのイコンを題材とし、以下の通り8つのセクションに分かれています。

1.The Protecting Veil（奇跡のヴェール）
2.The Nativity of the Mother of God（聖母誕生）
3.The Annunciation （受胎告知）
4.The Incarnation（キリスト誕生）
5.The Lament of the Mother of God at the Cross（キリストの磔刑と聖母の嘆き）
6.The Resurrection（キリストの復活）
7.The Dormition（聖母の死）
8.The Protecting Veil（奇跡のヴェール）

神秘的でいて親しみやすく、思わず引き込まれてしまう作品です。不思議な癒しの力もこの曲の魅力ではないでしょうか。

ジョン・タヴナー「無伴奏チェロのためのトリノス（1990）」

同じくイッサーリスのために作曲された、「無伴奏チェロのためのトリノス」も素晴らしい作品です。YouTubeでもお聴きいただけますので、是非ご視聴ください🎧

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これからも、皆様がますますチェロに魅了されるような名曲をご紹介していきたいと思います🎶どうぞよろしくお願いいたします🥰

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チェロの知られざる名曲⑤ジョン・タヴナー「奇蹟のヴェール」

チェロの知られざる名曲⑤ジョン・タヴナー「奇蹟のヴェール」Sir John Tavener: The Protecting Veil

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