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「横浜の京田陽太」が始まる

 昨季の「戦う顔をしていない」騒動が嘘だったかのように、京田はこのキャンプで溌剌としている。まるで放流された魚の如く、横浜の大海でカムバックを果たすのだろうか。今回は、そんな京田について書いていくこととする。

横浜にマッチした?

 横浜のキャンプ情報を見ると、中日時代とは別人のように明るい表情で練習に励んでいる京田が目立つ。石井琢朗コーチとの二人三脚で打撃フォームを確立している段階のようで、横浜の雰囲気にもマッチしていると感じる。

 中日と横浜、どちらの指導がいいか悪いかという問題ではないが、恐らく彼の「ヒッチ」と呼ばれる動作が中日では悪癖とされていたが、横浜では個性と認められている事がいいのだろう。

 また、伝統を大切にするOBが横浜には少なく、YouTubeで活躍している高木豊氏のような開放的な性格の解説者諸氏が暖かく見守ってくれる環境も名古屋とは大違いだ。こうした点が京田にはあっており、伸び伸びとプレーできている要因なのだろう。

あのまま中日にいても…

 恐らく、昨季より中日ファンは「なぜ京田を出したんだ」と怒っているだろう。僕も当初、その1人であった。140試合を計算できる遊撃手という存在はあまりにも大きいのだ。ただ、立浪和義監督一下首脳陣は新星の龍空や田中幹也といった新鮮な面子にかけたのだから答え合わせは今オフまで待つこととしようではないか。

 ただ、このトレードが京田にとっていいものであったことは答えが出ているのではないか。昨季のドラフトでは前述の田中、村松開人、濱将之助と遊撃手を守る事ができる選手を3人も獲得したのだから。この3人から遊撃手を何年も守り抜くというのは酷な話であることは誰の目から見ても明らかなのだ。中日ファンは看板選手の退団というだけで批判するのではなく、こうした状況を見て賛否を論じて欲しいものである。

初の対外試合は散々も…

 随分と長い前置きとなったが、ここからは先日行われたヤクルト横浜戦での京田を回顧する。結果は3打数無安打、1失策と散々なものであった。ただ、映像からも見て取れるほどのグラウンド状態の悪さから来るイレギュラー・バウンドに対応しきれなかったという感じなのではないか。セ・リーグの球場は6分の4が人工芝であり、なおかつ天然芝の甲子園と広島も素晴らしいコンデションを常時保っていることで有名なのだ。京田の守備の現在地を見るには、オープン戦に入り12球団のフランチャイズ球場でのプレーを見てからとしよう。

 ただ、今の彼が最も活きるのは三塁手なのではないか。正三塁手の宮崎敏郎は35歳のベテランとなり、素晴らしい選手ではあるものの攻守の両方に期待するのは酷になってきている。そこで、アメフトのように終盤に入ったら京田をスパッと守備固めの切り札として登用するのがいいのではないか。ただ、京田本人にはあくまでレギュラーを目指してもらいたい。レギュラー奪取という目標を失った瞬間こそ、彼の野球人生の終焉と言えるだろう。今後歳を重ねても、泥臭く若手のようなプレーを続けて欲しい。

最後に

 中日時代の京田はクレバーな印象だったが、それを反転させるようなガッツ溢れるプレーに期待しよう。

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