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【詩】Would you like a cup of tea?

あなたの美しい白薔薇を
一枝私に分けてくれませんか?

私は彼女に願った。

ええ、もちろんです。
いいえ、もっともっとだわ。
一枝をあなたに、
一枝を私に、
一枝を世界に、
喜びをテーブルいっぱいに飾って
一緒にお茶を飲みましょう。

私は声を潜めて言った。

欲張りはどうかと。
はしたないと笑われてしまいます。

けれど彼女は弾けるように笑った。

いいのですよ。
生きているのですから、
そんな日があってもいいのです。
笑顔が並んで舞い踊る日もあれば、
流した涙の海に横たわる日もある。
だから。

私は今ここにいるのだと、
大好きなあなたと一緒にいるのだと、
それが世界の中でどれほど素敵なことなのか、
それを伝えることこそが
生きていることだと思うのです。
だから。

一枝をあなたに、
一枝を私に、
一枝を世界に、
喜びをテーブルいっぱいに飾って
一緒にお茶を飲みましょう。

彼女の淹れてくれたお茶には
馥郁とした白薔薇の香りが満ちていて
私は明日のぬくもりをそっと夢見た。

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