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アルギュストスの青い翅

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青い蝶が結ぶ絆。少年二人の夏の夜の五日間。永遠の友情を誓い合う彼らが思い描く未来とは。全36話のファンタジー中編。
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記事一覧

【アルギュストスの青い翅】第11話 満月に導かれた言葉

 もう、やめてしまいたかった。でもヴィーには全部さらけ出そうと決めたのだ。気力を振り絞り…

クララ
4日前
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【アルギュストスの青い翅】第10話 Jという名前

 月光に照らし出されるヴィーを俺は見た。嘘みたいに綺麗な顔は作り物めいていて、幻を見てい…

クララ
5日前
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【アルギュストスの青い翅】第9話 与えられた力

「あ、もう帰らなくっちゃ」  ヴィーの声で我に返る。そうだ、毒だ、いや薬だ。うっかりして…

クララ
6日前
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【アルギュストスの青い翅】第8話 ヴィクトル、月光下に夢見た邂逅

「祖父がそう教えてくれた時、その瞳は青く燃えていて例えようもなくきらめいていてね……」と…

クララ
7日前
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【アルギュストスの青い翅】第7話 ヴィクトル、気高き毒との出会い

 ヴィクトルは己の肉体を憎んだ。動かない足、止むことのない痛み。しかし、芳しくない体の成…

クララ
11日前
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【アルギュストスの青い翅】第6話 青き毒の部屋

 内から取り込んでも外から与えられても、どちらも毒には変わりない。だけど毎日うんざりする…

クララ
12日前
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【アルギュストスの青い翅】第5話 人魚の試練

 ヴィーの両親は運河沿いの邸宅の半地下に運河の水を引き入れた部屋を作ることにした。 ベッドや書棚やデスクなども置いてあるけれど、半分以上がプールになっている部屋だ。  ヴィーはそこで思う存分身体を動かせるようになった。気がつけば一日の大半を水の中で過ごすようになり、ずば抜けて泳ぎがうまくなった。彼はまさに「今を生きる人魚」のように水と戯れたのだ。  傍目にはずいぶん異常な日常だろう。けれど、それを受け入れ励ましてくれる両親のおかげで穏やかな幼少時代を過ごすことができた。  

【アルギュストスの青い翅】第4話 深夜の小舟

 ヴィーは俺の言葉に目を丸くしたあと弾けるように笑った。 「神秘的なって。いつから気味が…

クララ
2週間前
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【アルギュストスの青い翅】第3話 月明かりの波止場

 意味がよくわからなくて首をかしげれば、さっきまで歓喜し、微笑んでいた彼がすっと眉をひそ…

クララ
2週間前
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【アルギュストスの青い翅】第2話 満月の運河

 黄金色の巨大な月が、建物の角から顔を出した。すり減った石畳が照らし出される。光の道だ。…

クララ
2週間前
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【アルギュストスの青い翅】 第1話 始まりの青

あらすじ 第1話 始まりの青 「J、きみの生まれ故郷って本当、聞けば聞くほどおとぎ話の世界…

クララ
2週間前
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