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青の朗読会

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いつか朗読会を開こうと、少しずつ書きためてきたもの。初期は心の話が多いのですが、最近はTwitterでの企画から恋愛詩なども増えています。100字未満のものから2000字強まで、… もっと読む
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記事一覧

【詩】その名を僕らは愛と呼ぶ

かすかに何かがあった。 儚い香りのような 夢のあとの気だるさのような。 薄れゆく記憶の断片…

クララ
9日前
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【詩】潮騒の部屋から君へ

夏の家のベッドで 潮騒に満たされる朝、 僕は一人膝を抱えて考えた。 海の向こうにあるものを…

クララ
2週間前
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【詩】Would you like a cup of tea?

あなたの美しい白薔薇を 一枝私に分けてくれませんか? 私は彼女に願った。 ええ、もちろん…

クララ
2週間前
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【詩】濡れた告白の行方

ねえ、知っていますか? 振り返ったあなたが囁いた 朝露に濡れる落ち葉を踏みしだき そっと私…

クララ
3週間前
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【詩】幻の花はこの胸でほころぶ

幻ってなんですか? 私は聞いた。 夢でもない、奇跡でもない、幻って。 あなたがかすかに微笑…

クララ
1か月前
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【詩】流れゆく真水が求めるもの

きみは真水だ。 小川の脇で流れに手を浸し、 樹の下に座るあなたの言葉に耳を傾ける。 純粋…

クララ
1か月前
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【詩】道について話そうか

一本道だから迷わない? それはずいぶんな説明だったね。 ウサギは何度も首を横に振った。 それがどこを通っているか、 そこで何に出くわすか、 それこそが大事なことなのに。 私は小さく首を傾げた。 行くか戻るか、 それるか留まるか、 一本道なんていうのはね、 大いに迷って悩むばかりだよ。 これでもかの脇道だらけの方が ずっと気軽で健全だ。 それで君はどうしたのさ。 迷わず来られたのかい? 私はこっくりうなずいた。 ウサギは大きな瞳をクリクリさせた。 これは驚いた。 迷

【詩】人として私たちは行く

人は愚かで哀れで嘆かわしい。 そして何をしても後悔するだろう。 だから何をしても後悔しな…

クララ
1か月前
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【詩】輝く刹那

波打ち際の足跡。 消えて無くなる前に そっと自分のそれを重ねる。 先行く人は どんなに求めて…

クララ
2か月前
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【詩】春の花束

今日、春の花を摘んで束ねても 明日には萎れて色を失い 私は泣いてしまうかもしれない。 けれ…

クララ
2か月前
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【詩】雨上がりの回想

大地を震わせる雷鳴も 全てを押し流してしまうような雨脚も やがて遠くなる。 置いていかれる…

クララ
2か月前
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【詩】吐息の午後の嘘と本当

春の寂しさは独特だ あふれ出す予感に包まれているのに そのギャップに打ちのめされるような …

クララ
2か月前
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【詩】だからどうかあなたのままで

あなたがやるべきことは作ること 生まれ出たものを壊すことではない すべていつか消えてなく…

クララ
2か月前
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【詩】いつかの早春、とある街角で思ったこと

大切なことが告げられようとしているのに 目覚めてしまった明け方。 諦めきれずブランケットを巻き付けて目を閉じる。 けれど、再び始まった夢の中に 求めるものはなにもなかった。 もう一度、あの夢の中に戻れるだろうか。 戻りたい。戻って今度こそ、 その言葉を受け取りたい。 そう願いながら、 数日後に通り過ぎた知らない町の知らない街角。 車のサイドウィンドウ越しに見たそこには 暮れ行く一日の最後の光が 溶け残った雪に乱反射していて なんだか淡く切ない夢の続きを思わせた。 昨日と