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夢か現か、欧州びいきのロングアイランダーはかく語りき

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のんびり更新エッセイ。人生の半分近くはアメリカ在住だけど、実はヨーロッパ大好き。特にイギリス。もっと言えばウェールズ。それでいて専攻はイスラム文化で恩師はイタリアルネサンス専門。… もっと読む
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記事一覧

エッセイ|第32話 薔薇と月光、創作の原点を追う旅

私は1/12スケールのドールハウス作りが趣味で、シャビーシック/シャンペトル・シャビーをテー…

クララ
3週間前
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エッセイ|第31話 砂漠を行く幼き友の夢

ギザの三大ピラミッド前は人気のアトラクション並みの長蛇の列。木陰など皆無の炎天下。人々が…

クララ
1か月前
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エッセイ|第30話 遥かなる青の都と輝く葡萄

確か小学校の低学年だったように思う。世界地図や歴史や統計などが詰め込まれた資料集を、授業…

クララ
1か月前
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エッセイ|第29話 赤い橋の上に残されたままの記憶

クエンカへはマドリッドから電車で出かけた。ユネスコにも登録されている美しい古都。宙吊りの…

クララ
3か月前
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エッセイ|第28話 花咲くアンダルシア、憧れのパティオ

マドリッドからAVEに乗った。行き先はコルドバ。パティオ! 憧れの中庭! 駅を出て、はやる…

クララ
3か月前
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エッセイ|第27話 文明の交差点で微笑む人たち

イスタンブールのモスクで友人と二人、天井から吊り下げられた照明に見惚れていたら声をかけら…

クララ
3か月前
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エッセイ|第26話 どんな時も勢いは大事、素敵に華麗に

友人の結婚式に参加した日。教会へと移動する車の中で、彼女のママが言った。「結婚なんて勢いだから」一番乗りだった友人、未婚の私たちは「身も蓋もない」と苦笑した。 けれど今ならわかる。あれは結婚だけの話ではない。知らない何かに飛び込む時の話だ。ぐずぐずしていたらあっという間に過ぎていく。と言って考えなしに突っ込めばいいというものでもない。 だったら……納得して勢いをつけるだけ。それが正解かどうかなんて誰にもわからない。だから自分で決めて一気に乗り込むしかないのだ。何が出るかは

エッセイ|第25話 柔らかな色彩あふれる大地

マドリッドへはパリからエールフランスで入った。その時のことを昨日のように覚えている。淡々…

クララ
3か月前
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エッセイ|第24話 情熱の舞、私のフラメンコ

中学生の時、母の友人に誘われてフラメンコを見に行った。友人の友人が切り盛りする小さなバー…

クララ
6か月前
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エッセイ|第23話 春の金角湾で風に吹かれて

イスタンブールを訪れた時、ヴェネツィアに感じたものと同じ何かを感じた。もっと言えば、正直…

クララ
6か月前
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エッセイ|第22話 それは発光する宝石のような日だった

聖母子の中で一番好きなのはフィリッポ・リッピの「聖母子と二人の天使」。その絵にであったの…

クララ
7か月前
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エッセイ|第21話 薔薇色に染まる奇跡の石窟都市

地下都市見学の翌日、私と友人は岩窟教会を目指した。途中のどかなオリーブ畑の脇で大きな平籠…

クララ
8か月前
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エッセイ|第20話 砂漠の洗礼を受ける光と陰の街

シカゴ生まれの友人は大学でアレン・ギンズバーグに師事した。彼女の影響でビート文学に触れた…

クララ
8か月前
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エッセイ|第19話 めくるめく異世界は私のすぐ隣にあった

帰国当日朝、空港へ出発する前に急ぎ友人とスークを目指した。買い忘れたものがある、と友人は狭い通路をかき分けるように進む。私はというと、必要な買い物は済ませていて正直用はなかった。けれどスークの雰囲気は大好きだから、最後の時間をそこで過ごせるなら悪くはないと思ったのだ。 スーク。それは不思議な場所。光と陰が絶妙なバランスで存在し、奥へ行けば行くほど何もかもが深まる。濃縮された気配の中、水タバコ、金細工、香水瓶、ランプ、香辛料の山……あふれんばかりの物が四方八方から私たちを覗き