クララ

掌編(140字のファンタジー/朗読会用自由詩/エッセイetc)約500作を移植中 その…

クララ

掌編(140字のファンタジー/朗読会用自由詩/エッセイetc)約500作を移植中 そのうち長編も ガーデニング/お菓子作り/ドールハウス作り/ハーダンガー刺繍/グレン・グールド とにかく空想大好き 趣味のあれこれを物語に詰め込みたい主義 青は永遠のテーマ 米国在住

マガジン

  • 詩とか色々

    140字でも朗読会用でもないくくりの自由な詩。主に企画が中心になると思いますが、イベントならではの熱を感じていただければ!掌編も時には。

  • Clara's memo

    日記やそれにちょっとした詩や短歌を組み合わせたもの、お知らせやメモなど

  • アルギュストスの青い翅

    青い蝶が結ぶ絆。少年二人の夏の夜の五日間。永遠の友情を誓い合う彼らが思い描く未来とは。全36話のファンタジー中編。

  • 140字の空想世界

    色々な140字の世界があると思いますが、自分らしくファンタジーの世界を詰め込みました。おやすみ前にのぞいたら素敵な夢がみれるような、そんなお話を中心に。時々、切なさや寂しさもあふれますが、それもこれもみんな優しさになっていくといいなあと願っています。

  • 青の朗読会

    いつか朗読会を開こうと、少しずつ書きためてきたもの。初期は心の話が多いのですが、最近はTwitterでの企画から恋愛詩なども増えています。100字未満のものから2000字強まで、句読点もあったりなかったり。自由気ままに、音楽のように流れていく言葉の美しさを追いかけていけたら。

記事一覧

固定された記事

【自己紹介】私と日本語

新しいアカウントでnoteに戻ってきて5ヶ月、連日投稿もちょうど150日目なので自己紹介など。 私は元々物作りが仕事です。けれど、作品の背景についての説明を書いたり、ク…

クララ
5か月前
66

【詩】帰りたい場所〜青ブラ文学部〜

夕暮れの街角で いつだって思ってた 帰りたい 帰りたいって 帰りたい場所ってどこだろう ずっとずっと考えてきた でも ずっとずっとわからない 本当に欲しいものが何…

クララ
23時間前
16

【写真日記と詩】紫に溶ける夢

忙しい1日の終わり、 駐車場脇の大きな木。 紫色の花が満開で、 ジャカランダかと思ったけれど 北の街に咲くはずもない。 落ちた枝を持ち帰り、それが桐だと知った。 桐?…

クララ
1日前
19

【アルギュストスの青い翅】第5話 人魚の試練

 ヴィーの両親は運河沿いの邸宅の半地下に運河の水を引き入れた部屋を作ることにした。 ベッドや書棚やデスクなども置いてあるけれど、半分以上がプールになっている部屋…

クララ
2日前
11

【アルギュストスの青い翅】第4話 深夜の小舟

 ヴィーは俺の言葉に目を丸くしたあと弾けるように笑った。 「神秘的なって。いつから気味が悪いことが神秘的になったの?」 「大きく括ればさ、想像を超えた異次元的な…

クララ
4日前
15

【アルギュストスの青い翅】第3話 月明かりの波止場

 意味がよくわからなくて首をかしげれば、さっきまで歓喜し、微笑んでいた彼がすっと眉をひそめた。 「みんながきみのことをセーゲルって呼ぶ? とんでもない、きみの名…

クララ
4日前
19

【アルギュストスの青い翅】第2話 満月の運河

 黄金色の巨大な月が、建物の角から顔を出した。すり減った石畳が照らし出される。光の道だ。導かれるようにその上を歩く。  運河はまっすぐ目の前。レンガ作りの建物の…

クララ
6日前
17

【写真日記】疲れたら綺麗を追いかける!

5月はイベントが目白押し。バタバタと準備に追われ、なんだか気忙しく色々と空回りしているような気がしなくもない……。 これはいけません。ガツガツ仕事ばかりすると色…

クララ
6日前
24

【アルギュストスの青い翅】 第1話 始まりの青

あらすじ 第1話 始まりの青 「J、きみの生まれ故郷って本当、聞けば聞くほどおとぎ話の世界みたいだよね」 「あぁ……すごすぎてため息しか出ないな。そんな場所がこの…

クララ
7日前
13

【お知らせと日記】創作大賞応募作についてとリラ冷えの週

季節の短編を3つアップしたら中編の推敲に取り掛かって、それを応募作にするつもりでしたが、あれ? もしかして時間足りない? 数年前に書いた全36話95000字程の公募用の…

クララ
7日前
17

【140字/空想】ああ、それは最強の

気弱な囁きなど 忙しない羽音にかき消されそうだ。 甘い香りが意識を惑わし 色の洪水が記憶を曖昧にする。 姿形など仮のもの、 ただの器だなんてよくも言えたわね。 その言…

クララ
8日前
13

【詩】その名を僕らは愛と呼ぶ

かすかに何かがあった。 儚い香りのような 夢のあとの気だるさのような。 薄れゆく記憶の断片みたいに漂うそれを 僕はふと、手を伸ばして掴み取った。 明日など信じてい…

クララ
9日前
19

【お知らせと写真日記】春の終わりは夢のように甘く優しく

すっかり初夏のNYです。 梅雨はありませんが、雨はそこそこ降ります。 けれどその度、緑の濃さが増して。 菫はもう数えるほどです。 でも、念願の『菫のお茶会』はできま…

クララ
11日前
37

【自由詩】矢車菊色に染まりたい〜企画:色のある風景〜

矢車菊色の海 その単語を見たとき 思わずわあっと声がこぼれた そんな海だったら行ってみたい そんな海だったら人魚になってもいい 矢車菊という単語をそっと指でなぞる …

クララ
12日前
27

【短編】この世界に唯ひとつのもの(下)

 姉は柔らかくかぶりを振った。金色の後れ毛が木漏れ日に反射する。お人形などではない、もっともっと美しい。こんなにも豊かな表情で……。けれど姉はそっと目を伏せた。…

クララ
13日前
17

【短編】この世界に唯ひとつのもの(中)

 青い瞳を潤ませ、甘い吐息をこぼすかのように姉は言葉を紡いだ。 「テーブルも椅子も、クロスも食器も、もちろんケーキやクッキーのレシピに茶葉の種類まで、すべてが…

クララ
2週間前
16
【自己紹介】私と日本語

【自己紹介】私と日本語

新しいアカウントでnoteに戻ってきて5ヶ月、連日投稿もちょうど150日目なので自己紹介など。

私は元々物作りが仕事です。けれど、作品の背景についての説明を書いたり、クライアントの話を聞いてそこに感じたものをわかりやすく例えたり(そこから作品へと変換させる)することも多く、言葉は常に近くて重要なものでした。

できるだけ正確に思い描いたことを伝える。そのためには言葉選びが大切になってきます。耳に

もっとみる
【詩】帰りたい場所〜青ブラ文学部〜

【詩】帰りたい場所〜青ブラ文学部〜

夕暮れの街角で
いつだって思ってた

帰りたい
帰りたいって
帰りたい場所ってどこだろう

ずっとずっと考えてきた
でも
ずっとずっとわからない

本当に欲しいものが何なのか
自分なのにわからない
自分だからわからない

もしもあなたが
帰っておいでと言ってくれたら
それが帰りたい場所なのだろうか

だけど
そんなあなたが誰なのか
やっぱりそれもわからないまま

漠然としているのに

もっとみる
【写真日記と詩】紫に溶ける夢

【写真日記と詩】紫に溶ける夢

忙しい1日の終わり、
駐車場脇の大きな木。
紫色の花が満開で、
ジャカランダかと思ったけれど
北の街に咲くはずもない。
落ちた枝を持ち帰り、それが桐だと知った。

桐?
アメリカでは paulownia(ポローニア)。
princess tree とも言う。
観賞用として愛されているけれど、
一方で繁殖力が強く
国立公園では外来種として駆除対象だとか。

芝生の上に散らばる花、花、花。
夕暮れ間近

もっとみる
【アルギュストスの青い翅】第5話 人魚の試練

【アルギュストスの青い翅】第5話 人魚の試練

 ヴィーの両親は運河沿いの邸宅の半地下に運河の水を引き入れた部屋を作ることにした。 ベッドや書棚やデスクなども置いてあるけれど、半分以上がプールになっている部屋だ。
 ヴィーはそこで思う存分身体を動かせるようになった。気がつけば一日の大半を水の中で過ごすようになり、ずば抜けて泳ぎがうまくなった。彼はまさに「今を生きる人魚」のように水と戯れたのだ。
 傍目にはずいぶん異常な日常だろう。けれど、それを

もっとみる
【アルギュストスの青い翅】第4話 深夜の小舟

【アルギュストスの青い翅】第4話 深夜の小舟

 ヴィーは俺の言葉に目を丸くしたあと弾けるように笑った。

「神秘的なって。いつから気味が悪いことが神秘的になったの?」
「大きく括ればさ、想像を超えた異次元的な? 俺はさ、綺麗なものが好きなんだよね。言葉だって同じさ、やっぱり綺麗な方がいい。気味が悪い、じゃないよ。神秘的な、だ。だからヴィー、今夜はきみの神秘的な話を頼むよ」
「……ありがとう。じゃあ……」

 そっと舟を寄せ、ヴィーは濡れている

もっとみる
【アルギュストスの青い翅】第3話 月明かりの波止場

【アルギュストスの青い翅】第3話 月明かりの波止場

 意味がよくわからなくて首をかしげれば、さっきまで歓喜し、微笑んでいた彼がすっと眉をひそめた。

「みんながきみのことをセーゲルって呼ぶ? とんでもない、きみの名前はジョナシス=アルギュストスでしょ? そんな素敵な名前、他にはないんだから。僕はそう呼んでいいかな?」

 思ってもみなかった言葉にうろたえてしまう。一方で、じわじわと心が温かくなってきた。

「えっ、あぁ……うん、ありがとう。まぁ、な

もっとみる
【アルギュストスの青い翅】第2話 満月の運河

【アルギュストスの青い翅】第2話 満月の運河

 黄金色の巨大な月が、建物の角から顔を出した。すり減った石畳が照らし出される。光の道だ。導かれるようにその上を歩く。
 運河はまっすぐ目の前。レンガ作りの建物の間を抜ければ、運河と平行して走る道に出る。そこを左へ折れてしばらく行くと小さな船着き場が見えてくる。
 運河に張り出したその場所には柵などなく、すとんと切り落とされてすぐに水面だ。俺のお気に入りの場所。いつものように縁に腰を下ろせば、水はま

もっとみる
【写真日記】疲れたら綺麗を追いかける!

【写真日記】疲れたら綺麗を追いかける!

5月はイベントが目白押し。バタバタと準備に追われ、なんだか気忙しく色々と空回りしているような気がしなくもない……。

これはいけません。ガツガツ仕事ばかりすると色んなところがささくれだってきますよね。潤いが失われる。そんな時、私には綺麗なもの補填が何よりも大事です。

でも、忙しいから放置してできる綺麗が一番。なので今回は「琥珀糖」。溶かして冷やして切るだけ。それでこの可愛さとは……、なんという高

もっとみる
【アルギュストスの青い翅】 第1話 始まりの青

【アルギュストスの青い翅】 第1話 始まりの青

あらすじ

第1話 始まりの青

「J、きみの生まれ故郷って本当、聞けば聞くほどおとぎ話の世界みたいだよね」
「あぁ……すごすぎてため息しか出ないな。そんな場所がこの世界にあるなんてな……」
「ありがとう、みんな。気に入ってもらえて嬉しいよ。だけど、まだまだなんだよな……もどかしいよ……。あの風景はね……そうだな、やっぱり自分の目で見て感じてもらわないとダメなのかもしれない」

 俺の言葉に、集ま

もっとみる
【お知らせと日記】創作大賞応募作についてとリラ冷えの週

【お知らせと日記】創作大賞応募作についてとリラ冷えの週

季節の短編を3つアップしたら中編の推敲に取り掛かって、それを応募作にするつもりでしたが、あれ? もしかして時間足りない?

数年前に書いた全36話95000字程の公募用の作品。他サイトで分割して推敲していたものの、煮詰まってしまい一旦休止中でした。

それをこちらで仕上げようと目論んだわけですが、締め切り7月末というのがピンと来ていなかった。これは……!

最後の短編は後回しで、まずは中編の更新を

もっとみる
【140字/空想】ああ、それは最強の

【140字/空想】ああ、それは最強の

気弱な囁きなど
忙しない羽音にかき消されそうだ。
甘い香りが意識を惑わし
色の洪水が記憶を曖昧にする。
姿形など仮のもの、
ただの器だなんてよくも言えたわね。
その言葉に僕は肩をすくめてみせた。
これが全て虚像だとしても
五感を貫くものに
抗えない魅力が秘められていることを
僕らは認めるべきだろう。

【詩】その名を僕らは愛と呼ぶ

【詩】その名を僕らは愛と呼ぶ

かすかに何かがあった。
儚い香りのような
夢のあとの気だるさのような。

薄れゆく記憶の断片みたいに漂うそれを
僕はふと、手を伸ばして掴み取った。

明日など信じていなかったし、
未来など見えるはずもない。
手の中のものは脆く崩れ去ると思った。

けれどそれは輝いた。
目を覚まし微笑み
僕に生きろと言ったのだ。
生きるとは何かを知るべきと。
あなたが生きるから私も生きるとそう囁いた。
それは今まで

もっとみる
【お知らせと写真日記】春の終わりは夢のように甘く優しく

【お知らせと写真日記】春の終わりは夢のように甘く優しく

すっかり初夏のNYです。
梅雨はありませんが、雨はそこそこ降ります。
けれどその度、緑の濃さが増して。

菫はもう数えるほどです。
でも、念願の『菫のお茶会』はできました。

そうしたら、hohoさんがそれを絵に描いてくれて
とても可愛い絵本になりました。
なんて素敵なんでしょう。
うちの猫さまもちゃっかりお邪魔しております。

柔らかな春のお茶会は甘くて夢の続きみたい。
皆さんもぜひ楽しんでくだ

もっとみる
【自由詩】矢車菊色に染まりたい〜企画:色のある風景〜

【自由詩】矢車菊色に染まりたい〜企画:色のある風景〜

矢車菊色の海
その単語を見たとき
思わずわあっと声がこぼれた

そんな海だったら行ってみたい
そんな海だったら人魚になってもいい

矢車菊という単語をそっと指でなぞる
正直言うと人魚姫は好きじゃない
だって女の子としては悲しすぎるもん

最後は風の精霊なんていう
人を超越した何かになった彼女は
本当の意味での幸せを掴んだのかもしれない

でも夢見る年頃の私たちには
やっぱり今が大事なわけで
だから

もっとみる
【短編】この世界に唯ひとつのもの(下)

【短編】この世界に唯ひとつのもの(下)

 姉は柔らかくかぶりを振った。金色の後れ毛が木漏れ日に反射する。お人形などではない、もっともっと美しい。こんなにも豊かな表情で……。けれど姉はそっと目を伏せた。

「いいえ、メグ。そう簡単なことではないの。生きることはジョージには辛いことばかり。だから彼には、永遠のお茶会の中だけでも幸せでいてもらいたいの。そこでは何一つ欠けてはいけないのよ」
「……ジョージさんは今も?」
「でしょうね」
「……

もっとみる
【短編】この世界に唯ひとつのもの(中)

【短編】この世界に唯ひとつのもの(中)

 青い瞳を潤ませ、甘い吐息をこぼすかのように姉は言葉を紡いだ。

「テーブルも椅子も、クロスも食器も、もちろんケーキやクッキーのレシピに茶葉の種類まで、すべてがとんでもなく素晴らしかったわ。たくさんの人たちが招かれたの。入れ替わり立ち替わり。ジョージはね、天使みたいに綺麗な人なのよ。彼のお茶会に行きたいって、みんな憧れるの」

 私の目の前に、むせかえるような薔薇の香りの中で開かれるお茶会が出

もっとみる