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第260号(2024年4月1日) 正確に、大威力になるロシアの空爆

 


【今週のニュース】正確に、大威力になるロシアの空爆 ほか

ロシア軍春の徴兵と兵力増強の今後

 3月31日、プーチン大統領は、春の徴兵を命じる大統領令に署名した。4月1日から6月15日までの間に合計15万人を軍に召集するよう命じるもの。

 なお、2020年代に入って以降のロシアの徴兵数は以下の通りである。

2020年 26.3万人(春13.5万人、秋12.8万人)
2021年 26.15万人(春13.4万人、秋12.75万人)
2022年 25.45万人(春13.45万人、秋12万人)
2023年 27.7万人(春14.7万人、秋13万人)

 ここから明らかなように、2022年まではロシアの徴兵者数は漸減傾向を辿っていた。ピーク時には年間50万人くらい徴兵していたので、半分ほどまで減っていたことになる。それが戦争2年目の2023年には再び増加に転じ、2020年に入ってから初めて27万人台となった。2022年12月の国防省拡大幹部評議会で打ち出された、兵力増強方針に対応したものであろう。2026年までに兵力を150万人まで増やすというものだ。

 そこで改めて今回の春季徴兵について考えてみよう。春に15万人を集めたとすると、秋は(なぜか春よりもやや少ないので)13.5-14万人というところではないだろうか。合計28.5-29万人であり、概ね2010年代半ば頃の徴兵規模に戻ることを意味する。兵力増強のターゲットである2026年頃には35万人程度と、2000年代末の水準まで戻るかもしれない。
 加えてショイグ国防省は、契約軍人を69.5万人まで増やしたい旨の発言をしているから、これで104.5万人。将校団がセルジュコフ改革以前の規模(32万人)まで再増強されるとして、これを計算に入れると136.5万人。だいたいこのくらいで、現在の兵力定員(132万人)がいっぱいになりそうである。
 とすると、定員を満たした時点(2025年末くらいか)でまた新たな大統領令が出され、ロシア軍の定員は正式に150万人と定められるのだろう。この場合、徴兵は年間40-45万人くらいになるのではないかと想像される。

正確に、大威力になるロシアの空爆

 ロシア軍がUMPKという誘導爆弾キットを多用して成果を上げていることは本メルマガでも幾度か紹介してきた。無誘導爆弾に滑空翼と誘導用キットを取り付けて誘導爆弾化するというものであり、米軍が使っているJDAMのロシア版と理解しておけばよいだろう。UMPKというのはуниверсальный модуль планирования и коррекцииの略であるといい、無理やり日本語にするなら「有翼化・誘導用汎用モジュール」とでもなろうか。
 当初、UMPKが取り付けられたのはFAB-250(250kg航空爆弾)であったが、のちに500kg級のFAB-500もUMPKされるようになり、今年初めには1500kg爆弾(FAB-1500 M54)への適用事例も明らかになった。

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毎号買うのめんどいという声が割とあったので定額版を作ってみました。

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