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恋愛をおやすみしてみた結果。

──── 文中に性的暴行の描写が含まれます。どうか、あなたを大事に。


恋とは、わたしにとって遠く、なじまないものであった。
さまざまな体験を見聞きしても、「わたしのような」価値観のひとと出会えたことがないので、恋や愛はわたしのものではない気がしていた。
先日、友人のカードリーディングに付き合ったとき、わたしは恋について聞いてみた。
広げられたカードたちは存分に語りだし、そして言葉を集めて指し示したストーリーは、もれなくわたしだったのだ。


現在地を知るための占い

占い、と聞くと「ものすごく興味ある!」か「なんの役にも立たない」という感想に分けられるんではないだろうか。
どちらかと言えば後者にあたるわたしは、朝のテレビの12星座占いも良いときだけ都合よく信じるようなタイプだった。
そんな感じで、占いが自分の身についてるかと言えば、まあ全くないのだから、やっぱりずっと「なんの役にも立たない」んだな、と思ってきたのだ。

転機は、ある友人だった。
趣味で四柱推命をやっているという彼によって、今まで「占い」と思っていたことはまったく違うものだったんだな、と感じた。

わたしが当たり前にテレビを見ていた学生の頃などは、「占い」を権威的に使い、だれかの不幸を招くことに躍起なシーンばかりが思い起こされる。
そういう人がテレビに出ていた。
今となっては、これは他者軸で動いてしまうひとにとっての、ひとつの地獄と、分かるけれど。
振り返れば、人の言いなりになること、誰かをコントロールすること、面前の「呪い」には一昔前までは、たいへんな需要があったのだ。

見識を改めるきっかけとなった彼の鑑定で、自分の性質について焦点を当てることが「占い」なのだと知った。
相手を思いやった言葉づかいをして、まず尊重をすることは、惜しまれつつ今月末で連載を終えることになった「しいたけ占い」で、広く知られているところだと思う(彼は、しいたけ.さんではないですが)。

そうして、こちらの心が開けていくごとに、わたしは解放感を得た。
あたたかい指摘を受けて、自分の癖を知ることで、わたしは自分を語るとき、より本質的な自分の言葉を持てるようになったのだ。
なんの役にも立たないのは、わたしが「占い」の使い方を知らなかったせいだ。「自己理解」のために、占いは初めて役に立った。

いくつもの占いが、わたしを立体化する。

かつてお笑いコンビ、ロザンの宇治原さんは、日常的に新聞7紙を読んでいた、という話を伝え聞いたことがある。
宇治原さんは、京大卒のブランディング戦略を(相方の菅さんの手腕によって)掲げた、いわゆる「カシコ芸人」の第一派その人なのだけど、ひとつのニュースに対して、新聞社それぞれ注力する点や、さまざまな見解を知り、数紙がクロスするところはニュースの核なのだ、という見方があるとした。

カシコ:「賢い」の略、「頭がいい」という関西の方言。
高卒ですぐさま吉本の養成所入りする若者が多くいた中で、高校の同級生だったロザンの2人は大学に入ることで差別化を図るあたりは、菅さんの著書「京大少年」「京大芸人」に詳しく書かれている。

ロザンのYouTubeはこちら

四柱推命の彼の鑑定からしばらくして、当時ニュージーランドに住んでいた友人の「ホロスコープを学びにこっちの大学に通おうと思ってて、練習に付き合って!」という誘いに乗ってみた。
ずーっと日本に住んでいるわたしからすると、「占いを学ぶのに学校があるんだ?!」という驚きも感じつつ、なるほど天文学と並列なのだなと考えれば、その驚きは払拭される。

ホロスコープの鑑定結果においては、こことここは彼の言ったこととリンクするな〜、と思ったし、それだけでなく未知の自分を見つけてもらった。
曰く、わたしは「赤ちゃんのようなもの」なので、どんどん周りに頼れば協力が得られるし、ひとに手伝ってもらうことで役立てば輝く「アイドルの星」を持ってるんだそうだ。
社会のお役に立ちたい!でも他人と同じように働くのはなんか向いてない!という、自分の実感に結構、当てはまるなと思った。

別々の観点から占ってもらうことで、わたしの目には映らないわたしが、そこに現れる。
いくつもの視点が周りにあるならば、占いでなくとも自然と「自分の立体化」が行われているんだろうな。
あなたはこんなひとだよね、をレッテル貼りでなく、率直な感想として伝えることができる。優れた経営者ほど「占い」を有用することに、ちょっと納得がいったのだった。

カードは美しい
個人的に集めてもいます



カードが語るわたしのストーリー

そんな感じで、「占い」はわたしにとって、自己理解にものすごく役立つツールとなった。
先日、仲の良い友人がカードリーディングの練習に付き合ってくれ、というので、わたしと最も縁遠いであろう、恋愛のことをあえて聞いてみた。
なぜ縁遠いのかと言えば、わたしのたった一度の恋愛は、レイプによって終わったからだ。

わたしは20代半ばまでを、ふたつ年下の男性に捧げた。
初めての恋人だった。
お互いに好き、と伝え合い、くすぐったい感情に包まれながらの遠距離交際。多幸感があったのは、ほんの初めだけだった。
残念なことに、その頃のわたしは他者依存の激しい傾向があったし、それによって対等な関係性は結べなかった。だんだんと漬け込まれて、したくないセックスにも応じてしまった。
生理だからと事前に断っていたのに、そんなやりとりはまるでなかったかのように、デートとセックスはお得なセットになっていて、浴室で事に及んで「血の海でしらけるんだけど」と言われたことも思い出す。

そんなふうに尊重のない関係性を続けていると、次第にめちゃくちゃだったバウンダリーが、大いにめちゃくちゃになっていったわたしは、喜ぶはずのセックスに応じたのに、わたしのものにならない相手を支離滅裂な理論で束縛しようとした。
頭の中は、いつも「起こっていないこと」でいっぱいだった。
「起こっていないこと」とは、わたしの考えうる不幸のバリエーションと言い換えてもいい。
もちろん、うまくいかなかった。うまくいく方法なんて知らなかった。


そして、新宿区役所に近いシティホテルの一室で、わたしはレイプされた。
そこでわたしは一度、死んだ。

しあわせじゃない恋から今は。

カードが指し示す、わたしの現在は「凪」だった。
ふっ、と笑うほどに当たっていた。わたしは今、自分の軸を確認して、お金以外のことでは充足しているからこそ、わたしにとって恋は果たして必要不可欠なものなのか、と再考している。
社会規範は「恋」や「愛」は必要だと言うけれど、わたしが野放しにしてしまったレイピストと同じ価値観なのであれば、それらは肉体と精神の搾取ではないかと心は戸惑ってきた。

わたしは恋愛の話が好きなひととは、仲良くなれない。
彼ら彼女らは、恋愛をおやすみしているひとや、経験がないひとに対して、当たり前にものすごく差別的であるし、実際にわたしも「10数年にわたって交際がないのは人間として欠陥がある」とされた。
顔も見せないマッチングアプリのアイコンや、心理的安全性のある集まりのなかであっても、そう言われる。
「ヤバいっすね」とは、レイピストに言ってくれ。と、今ならパンチラインを繰り出せる。強姦を肯定するひとがヤバいのだ。

相手の不当な態度と決別する勇気を出したこと、自分のバウンダリーの問題によって身を引いたことなどなど、そういった傷のついたひとを探し出して、罵倒するのが恋愛をして得られることならば、正直いらない。
その必要のない恋愛ならば、経験としてやってみて、いろいろな種類の「だめな自分」「だめな相手」を知ってみるのも、いいことなのかもな〜、と思っている。


そして、新章のわたしが始まる。

恋愛がきらいなわけではない。
友だちが、好む相手を選び、良きようにパートナーシップを結んだという話は喜ばしいことだし、ご報告をいただけることはうれしい。
パートナーの在り方をさまざま見るのも好きだし、のろけ話も大好き。
そのひとのしあわせを感じるときが、いちばんにしあわせを感じる。
満ち足りてるひとから、溢れた分をおすそわけしてもらっているのだ。

2年くらい前に、すごく好きなひとがいた。
そんな感情もう、持つことないだろうとどこかで思っていたから、自分でも驚いた。
ここ数年で、さまざまなパートナーシップを間近で見ることができ、今まで自分のなかにあった恋の縛りがぽろぽろと剥がれた。

結局、それは始まりもしなかったけどね。

あの湧き上がる感情は、とても心地よいエネルギーであったし、だから肯定的に自分のなかで支えとなっている。
そして、やっぱり誰か相手がいるとしたら、そのひとと対等でありたいよな、ってずーっと願ってる。
わたしは、わたしとして円を形成していて、同じように円をつくってるひとと無限大になりたいんだな〜、と。

カードは、それをすべて語ってくれた。
結実したはずの関係性が破綻し、ひとり内省をし、依存しない関係性を求め、過去の経験も支えとなって、周りのひとにも送り出される未来が待っている。
ほんと笑っちゃうほど、わたしのストーリーじゃん!って思った。

今回のリーディングを受けて、やはりクロスするものがあって、数年前に、ある方からの言葉の一節も金言のように、瑞々しく生きているのを感じた。
「均衡等しく、与えすぎても、もらいすぎてもいけない」

今までさまざまなひと達から占ってもらったけど、どの人にもわたしは底から心を開いたから、こうして受け止めることができている。
しみじみと感謝を覚える。
目には全く見えないのだけど、指先すみずみまで巡るエネルギーは、わたしの心から湧いていて、今こうしてnoteを書いているのだ。

じぶんZINE「pooks プークス」では、わたしにまつわるボディポジティブとフェミニズム、そしてホテルステイの記録を書いています。

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