第十三話『なじみのひびき』
さて、今話はゴリゴリのバトル回なので、制作秘話というより技の説明を中心に書いていきます。
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孔雀扇
孔雀扇は、多腕を広げて斬るさまを孔雀の羽根に、そして開いた孔雀の羽根自体を扇に例えた技です。
修羅百八が多腕であることから、孔雀明王にちなんだ命名でもあります。
孔雀明王は一面四臂(顔が一つ、腕が四本)の姿で表されることが多いですが、六本腕で表されることもあるので、修羅百八はそれをどこか観たことがあるのでしょう。
製作上の意図として、彼は見た目的にインドの神々に通じる部分があるので、そのイメージを反映させています。
音の響き的には人気漫画の『孔雀王』の影響もあるかもしれません。
なお、扇という漢字に「おう」という読みはないのですが、前の秘話でも書いた通り、私が『笑点』ファンであることを念頭に置くと、謎は全て解けるかと思います。
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蜘蛛ノ巣城
元ネタはもちろん、黒澤明監督の映画『蜘蛛巣城』からです。
そもそも同じく黒澤映画の『七人の侍』を意識した漫画タイトルなので、どこかで使いたかった技名ですね。
本来であれば、インドの神々に引っ掛けた名前で揃えてもよいところだったのですが、六本腕が一番映える技なので、ここで使いました。
ノを入れたのは初見でも読みやすくするためですが、漫画タイトルが少し変えてあるので、もう少し変えても良かったかなあと思いつつ、元があまりに完璧な響きなので変えたくないところでもあります。
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百足太夫
蜘蛛ノ巣城の後で百足なので、ジョロウグモのイメージに引っ張られて、シナリオにもよく百足女郎と間違えて書いたことを、ここで告白します。
さて、音の響き的には女郎の方がいいのですが、最上位の遊女である太夫であることが大事なので、百足太夫としています。
あと、百足女郎はどこかで聞いたことがあると思ったのですが、『犬夜叉』に百足上臈という妖怪がいましたね。
百足太夫の発想自体は、妖怪的な方面からではなく、キャラ性から生まれたものですが、その辺を語りだすとネタバレになってしまいますので、またいずれ。
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萬屋
ちなみに、よろず屋といえば本来何でも屋を指します。
妓楼なのにその名を使っているのは、何でもありの店みたいな意味合いでつけられた、という裏設定。
一方蛤屋は、婉曲的に猥雑さを出しているネーミングと言えます。
と、あまりこの辺を深堀りするのも、決まりが悪いですね……。
さて、次回、『しごにんの侍』第十四話は1月24日(水)、第十四話ブログは翌週1月31日(水)に公開予定となっています。
といったところで、今回ここまで。
また次回のお楽しみ。