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第十二話「くろまくのもくろみ」

万象ばんしょうの目的?

※倫理観0

万象がなぜ剣豪けんごうたちをぎにしたのか。
 
そしてなぜ、四肢ししを奪い合うように、その配分をシャッフルさせたのか。
 
その一端が明かされたのが本話となります。
 
つまりは、万象流の臨床試験りんしょうしけんなのですね。
 
さて、ではその臨床試験そのものの目的は何か?
 
それは今後明かされていくでしょう。

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出したい舞台

吉原風

時代物でおなじみ、遊郭の登場です。
 
実は本作の時代設定的には、このおなじみの吉原的な遊郭のビジュアルは、本来もう少しあとのもの。
 
例えば、江戸時代を舞台にしたとき、それが前期なのか中期なのか後期なのかでも全く風俗が違い、本作は架空の江御えごとしていますが、江戸時代の前期に相当する時間軸です。
 
ゆえに、本当だったらあるはずのないビジュアル。
 
前に、架空の時代にした際にいくつか理由を挙げて、他にも理由があると書いていましたが、まさにその一つが、ここにあります。
 
こんなおいしい舞台を出せないのは困るので、架空の時代にして許容できる表現の範囲を広げたのですね。
 
作中の理由付けとしては、万象が支援することで発展が加速し、時代を先んずるようにこの形となったといったところです。
 
彼にとっては、苦界くがいは観察するに足る場所でしょうから……。
 
いずれにせよ、今後も時代を先んじた場所や表現が出てくるかもしれません。

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張見世はりみせについて

おなじみの格子

遊郭といえば真っ先に思い浮かぶこの格子。
 
張見世と呼ばれるものです。
 
ちなみに、この話の初稿では以下のような導入でした。

通りを易者えきしゃ(占い師)が歩いている。
 
?(百足太夫)「もし、易者さま、易者さま」
大きな妓楼ぎろうの張見世(格子)から女郎が声をかける。
 
易者 「はい、御用で?」
?  「手相を見てくださいまし」
易者 「お安い御用で」
 
格子から差し出された手の相を見る易者。
 
易者 「ううむ……」
 
易者、渋い顔。
 
?  「何かありましたか?」
易者 「これは、水難の相が出ておる。これはよくよく気をつけねば、大きな禍いがありますぞ」
?  「ではこちらの手は?」
易者 「え?」
?  「これでは? これでは?」
 
次々と手が格子からにょきにょき出てくる。
それは明らかに一人の女郎から出ていた。
 
易者 「ひぇ~!?」
 

初稿より

と、こんな感じで、張見世の活用を考えていたのですね。
 
尺を取りすぎるので泣く泣くカットした部分ですが、供養くようとして貼っておきます。

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新キャラ登場

色々ギリギリ

初稿という話で言いますと、この話はもっとアダルティな描写でした。
 
これは、山田風太郎やまだふうたろう作品への憧れと、ゲーム作品ではできない表現をやってみるという意図でもありました。
 
掲載媒体の関係で、そのあたりの表現は抑えめになったのですが、結果的にその方が良かったなと思っています。

さて、次回、第十三話ブログは1月17日(水)、『しごにんの侍』第十三話はその前週、1月10日(水)に公開予定です。

というわけで、今回ここまで。また次回のお楽しみ。