第八話「きょじつのかくにん」
てぃぐりす
ちょっとした裏話なのですが、ここは珍しく社長チェックで、僕と社長の意見の分かれた部分。
もとは「てぃぐりす……虎が如き~」といった脚本でした。
社長チェックで、文章の長さ(視認性)や、わかりやすさを優先して、図のセリフになりました。
ただ、本来は「てぃぐりす」が何かわかっていないと通じないはずの会話のため、武蔵四郎がラテン語を理解できるという伏線と受け取られる可能性も0ではありません。
というわけで補足ですが、武蔵四郎はラテン語を知りません。
つまりここは、勘で答えている武蔵四郎というシーンですね。
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安槌城
安土城の誤字ではありません。
もちろん安土城がモデルではあるですが、架空のお城であり城下町です。
出したいのは時代の雰囲気であって、厳密な再現ではないので、ちょっとだけ名前を変えています。
実際、歴史的地名は当て字のことが多いので、「あづち」と呼ばれている地域なのは共通で、現実の歴史とは当てた字が違う世界というイメージですね。
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洗濯事情
城下町に入るにあたって、血まみれだった武蔵四郎の服から血が消えています。
五子はそのまま町に行くんじゃないかと不安だったと思われますが、意外にも武蔵四郎はちゃんと川で洗ったようです。
綺麗好きというより、「天だから」という理由でしょう。
「返り血で汚れているのは天っぽくない」という本人の感覚ですね。
個人的には、川で服を洗う際、必殺技を使って大渦を作り出して五子から怒られたとか、そういう姿を想像しています。
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南場道場
これも数字しばりで、ナンバーから。
剣術道場というと幕末のイメージが強いですが、もちろんそれ以前からないわけではなく、特に本作の世界ではかなり盛況のようです。
現実の戦場ではむしろ刀より槍のほうが重んじられていましたが、この世界では人々に憧れられるような剣豪が存在していたのかもしれません。
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柳生百宍
モデルはもちろん将軍家兵法指南で知られる大名、柳生宗矩(むねのり)。
山田風太郎作品が好きなので、柳生は出したいところ。
名前に関してですが、むねに対する、もも。
宍は獣肉を表すので、肉(しし)。
つまり、もも肉がネーミングの由来ですね。
宗矩のイメージがのっかるぶん、どうしても一段カッコよくなると思ったため、自分の中でバランスをとった感じです。
史実に寄りすぎると、どうしても動かしにくくなるので。
なお、本作における名前の数字ですが、数字の大小は強さとは無関係です。
さて、次回、『しごにんの侍』本編は、11月8日(水)に第九話と第十話が一挙配信となります。
また、ブログも翌週11月15日(水)に第九回と第十回が一挙公開予定となっています。
といったところで今回ここまで。
また次回のお楽しみ。