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櫻坂は今も「真っ白」なのか?——櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」2DAYS


櫻坂の「希望」、三期生

Overtureのメンバー紹介が三期も混ぜ合わせたとなり、2日目の後半で全員が同じ衣装を身に纏う(これまでカラー違いはあったが)。ここで初めて三期生たちが本格的に合流した瞬間だ。

今にして思えば、3rd TOURの頃はキラキラしたパフォーマンスの裏側で「自分には何ができるのだろうか?」を考え続けた日々だったと思う。先輩たちに比べたら、所作のキレだったり、全員で揃えたりといった技術的な部分はまだまだ発展途上なのは、本人たちもわかっている。それでも、いくつかのフェスイベント出演、「新参者」前半戦を経て、勝ち取った自信と経験がある。
そして私たちも「そこさく」等から彼女たち一人ひとりのパーソナリティをより深く知っていく。彼女たちがどんどん成長していく姿と、私たちが三期生たちにどんどん入れ込んでいく様が、ライブ会場で邂逅し、理想的な相乗効果を生み出す。今更ながらアイドルの成長物語の場に立ち会って感動している。

初日のハイライト『静寂の暴力』。

センターステージに現れた山下が歩き始めると、スタジアム全体が本当に静寂に包まれ、空調みたいなブーンという機械音だけがやたら大きく聞こえてくる。ペンライトを消す/消さないプチ論議があるけど、照明等の演出はペンライト消灯を意図してない感じだったと思う。消灯するとしたら前後の文脈含めて演出も変わってくるだろう。2日目の『五月雨よ』もそうだけど、野外(しかも雨降ってるとか寒いとか)にハマる楽曲だなと思う。

『マモリビト』で完成する循環構造

先輩に追いつけとばかりにがむしゃらに走ってきた彼女たちに当て書きされた楽曲。「当て書き」のあり方はいろいろあるけど、理想の形は、歌い手の現状を捉え、心情を明確化するだけでなく、さらにその先の未来を予見するものだろう。本楽曲は、彼女たちの過去・現在を正確に捉え、未来を示す。その未来は、彼女たちが、私たちBuddiesが夢見る「希望」だ。前に三期生を語るときに何故か「終わり」からの視点になると書いたけど、それは未来への期待の裏返しだ。欅坂の末期や櫻坂のスタート時には見ることができなかった「希望」である。

演出の都合もあったと思うけど、初日の『静寂の暴力』はMV衣装だったのに、2日目は先輩たちと同じ衣装でのパフォーマンスとなり、まさに櫻坂の一員として「櫻の木のマモリビト」であることが示される。
『マモリビト』の、空気を抱きしめるような大きく激しい振りは、『Anthem time』で彼女たちに注がれた「風と太陽と雨」をすべて取り込んで、桜の木の養分にしていく。エネルギーを得たメンバーたちは『ドローン旋回中』でさらに新規Buddiesを獲得するために拡散していく。そして、さらに養分を取り込み、桜を成長させていく……という循環構造ができている。

さらに前に、日向坂において「希望」と「絶望」のモデルについて考察したが、「絶望」のモデルを選んだ日向坂の対極にあるのが、櫻坂三期生である。「希望」はその輝きとは裏腹に脆く、儚い。でも周りには先輩たちが、TAKAHIRO先生をはじめとする大人たちが、そしてBuddiesがいる。櫻坂のグループカラーは「白」。何色にも染まり、何色にも染まらない、また「何物にも汚されない」白こそが、櫻坂らしさだと実感する。

すべてを肯定する力強さ『一瞬の馬』

ミニライブで観たときは、もっと壮大な感じな印象だったが、2日目に披露されたときは四つ打ちのリズムが強調されたダンサブルな楽曲にリアレンジされていた。この2日間で披露された楽曲は、どれもこれまでのベストアクトで印象的なのだが、どれか1曲といわれたら『一瞬の馬』かな、と思う。以前、歌詞考察したとおり、この楽曲は、グループの過去・現在・未来を映す。

『五月雨よ』の後、藤吉を先頭にセンターステージに向かって歩きながら歌うところは、『二人セゾン』MVの記憶があるせいか、単純にかっこいい。セットリスト的には地味な曲かもしれないけど、アニラ2日目、4年目の第一歩として、グループの未来を示す大きな曲だと思う。

#Buddiesはみいちゃんの味方

『桜月』や『隙間風よ』等の歌い出しで、小池の声がないと寂しい。小林・藤吉の声と小池の声と組み合わさることで「櫻坂オリジナル」になる感じがするのだ。『僕たちの La vie en rose』の「そんなの関係ないって〜」も小池の声でだからこそ、2番の山﨑の声との対比も含めて、詞が立ってくる。ライブでは新曲を除いて小池ポジションに代理メンバーが入ってカバーしていたが(『Nobody's fault』守屋、『BAN』幸阪とか。幸阪は見るたびにどんどんアップデートされていく)、声までは代役がきかない。櫻坂46にとって、小池美波はパフォーマンスはもちろんだけど、声もまた代用不可能な存在である。

土生の卒業セレモニーでは、いつもとは逆パターンで卒業生からメンバーへの花+メッセージが送られたが、これは出演できなかった小池と遠藤への配慮をこめた櫻坂メンバーとしての最後の優しさといえるだろう(舞台裏で会えたみたいで、それは本当によかった)。

こんなこと書くと……だけど、2023年の櫻坂の快進撃にあって、その裏側の見えない危うさみたいなものを、結果的に小池が一身に引き受けてしまったような形になってしまった。櫻坂において「絶望」は、もっとも忌避すべきものである。

でも、メンバー、スタッフ、私たちBuddiesは、絶対に彼女を失望させることはしない。そう断言できるのも、櫻坂46の「今」があるからなのだ。

すべてのBuddiesは、みいちゃんの味方だ。

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