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本日の読書

欺す衆生(月村 了衛 著)

出版社説明文

戦後最大かつ現代の詐欺のルーツとされる横田商事事件。
その目撃者であり末端の営業マンであった隠岐は、
かつての同僚の因幡と再開。導かれるがまま〈ビジネス〉を再興する。
取り返そうよ、ここらで僕達の人生を。僕と君は
一蓮托生なのだから。
幾多の修羅を経て、詐欺の魅力に取り憑かれていく隠岐。
ついには〈国家〉を欺く一大事業へと発展していくのだが……。 欺す者と欺される者、謀略の坩堝の果てに待ち受ける運命とは。
人間の業と欲を徹底的に炙り出す、
規格外の犯罪巨編。←ココまで

横田商事事件とあるのは、1985年に起こった
豊田商事事件のことで、マスコミの面前で
永野会長が刺殺されるという衝撃的な幕引きと
なった大きな詐欺事件である。
僕は東京に住んでいたが、リアルタイムで
その衝撃的な場面をテレビを通じて見ており、
とてもショックを受けた。
※のちに起こるオウムの村井幹部刺殺もそう

本の内容としては、横田商事出身の
主人公が、以前の仲間に誘われ
詐欺集団を形成し、様々な詐欺を
働くといった内容で、そこに反社勢力などが
当然ながら絡んできて抜き差しならぬ状況に
追い込まれてゆく。
主人公は、詐欺を働きながらも、横田商事みたいに
弱者を被害者にしないということに、「人として」
最後の矜持をもっており、そこがこの小説の
核をなすものである。

がしかし、「悪者」が本当にそんな矜持があるのか
という疑問と、暴力団が絡んでいながら、暴力描写が
少ない点(僕にとってはその方がいいのだが)など
いろいろと気になる点はあった。
いっそ、暴力団の蒲生と砂州を主人公にした方が
面白みが増したような気がしないでもない。

なんだかんだいいつつも、最近、本を最後まで
読了出来ない僕が読了できた本なので、
面白いのは間違いない。
次は、同著者の「半暮刻」を読む予定。


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