見出し画像

【センバツ2024】広陵vs高知 どこよりも詳しく見どころ解説

大会4日目 第二試合

広陵(広島)vs高知(高知)

中国王者vs四国王者
大会屈指の好投手対決


「現段階では今まで見てきた中でNo1」

センバツを2度制覇、夏は2度の準優勝の経験を持つ広陵・中井監督が珍しく手放しで褒める。

それが広陵の現エース、高尾響である。

1年春からマウンドに上り、昨年は2年生エースとしてセンバツ4強、夏は2回戦敗退ながら優勝した慶應を相手に好投を見せた。高校野球ファンにはもうすっかりお馴染みの投手だろう。

一方の高知も平、辻井の2枚看板が昨年のセンバツで3試合を経験し、いずれも好投を見せた。
また非常に守備も安定しているのが特徴だ。
秋は1試合平均失策0.5個、これは出場32校の中で4位となる好成績である。

昨年のセンバツで高知は3回戦で専大松戸に接戦の末惜しくも敗れたが、もし勝利していれば準々決勝で対戦していたはずの両校である。

メディアであまり話題になっていないが、新チーム結成直後にこの両校はダブルヘッダーで練習試合を行っている。

あくまで練習試合の結果ではあるが、その時は13-3、9-5で2試合とも広陵が勝利している。

甲子園経験豊富な手の内を知り尽くした両チームの対戦。
個人的には1回戦で最も楽しみなカードである。

投手力


広陵のエースと言えば高尾
172㎝と上背は無いものの、低い位置からホップするようなMAX148キロのストレート、そしてスライダー・スプリットとも抜群のキレがある。

紛れもなく今大会を代表する好投手だ。

ただ昨年の秋はフォーム修正に苦しんだようだ。
県大会2回戦の呉港戦では初回に6安打を浴びて5失点。神宮大会初戦の星稜戦も中盤に打ち込まれ、本調子とはほど遠い出来だったと言えるだろう。

ただ、その中でも大きな収穫があった。
それが2年生・堀田の成長である。
183cmの長身から投げ下ろすMAX143キロのストレートは表示以上に力を感じさせる好投手だ。

初戦では基本的には高尾の先発完投が予測されるが、中井監督にしても「高尾頼み」の投手陣ではないのは心強いだろう。


一方の高知は濱口監督の過去の投手起用から甲子園経験のある平、辻井のWエースの継投が予想される。

力のある4投手を揃えて挑んだ昨年のセンバツでも、初戦の先発が辻井だった事を考えると、個人的には広陵戦も辻井→平へのリレーではないかと予測する。

背番号1を背負うは長身から投げ下ろすMAX148キロのストレートが武器の本格派右腕。時折投げるカーブで緩急差をつける投球が特徴的だ。

背番号10の辻井はストレートとスライダーのキレ味が大きな武器だろう。昨年のセンバツでは内角を突いて詰まらせる投球が目についたが、秋は三振を多く奪った。1試合平均奪三振10.35個は出場校中27イニング以上投げた投手の中で1位の奪三振率となる。

個人能力で言うと高知投手陣は広陵エース高尾ほどのインパクトは無いものの、広陵に投手力で対抗できる数少ないチームと言えるだろう。

打力


広陵は濱本、田村、土居、只石と1〜4番まで昨年の甲子園ベンチ入りメンバーがズラリと並ぶ。

田上、真鍋、小林らがいた昨年の上位打線に比べると破壊力では劣るものの、個々の能力では高知をやや上回ると言えるだろう。

中心となるのは捕手である不動の4番・只石だ。
昨年も中軸を務めており甲子園でも活躍を見せた。
スラッガーというよりもチャンスでの勝負強い打撃が光る強打者だ。

俊足の野手も多くチームとして非常にバランスの良い打線だが、あえてウィークポイントを挙げるなら下位打線か。下位がチャンスメイク出来ると一気に得点のチャンスが増えるだろう。


一方、高知の野手陣は昨年のセンバツ3試合で野手として試合に出場した選手はいない。
(専大松戸戦でファースト谷口が投手として登板)

野手の経験値では広陵に分がある。

ただ大石、谷口、辻井と続く中軸は非常に勝負強い。長打で一気に大量得点を奪う打線とは言えないが、1番から9番までミートが上手く、相手投手にとっては息の抜けない打線だ。

「本当に素晴らしいキャプテンだと思う」
と濱口監督が絶賛するキャプテン川村を中心に、各個人が状況から自分の役割を果たすというチームとしてのまとまりの強さが感じられる。

秋は先制、中押し、ダメ押しとここぞの場面で得点を重ねて「先行逃げ切り」で接戦を勝ち抜く理想的な試合運びが目立った。

濱口監督の「冬の間に徹底的に打撃を鍛えてきた」というコメントもあるだけに、一冬超えた成長にも注目したい。

この試合のポイント


互いに投手力が高いだけに、新基準バットによる影響を考えると、ロースコアの接戦が予測される。

1点の重みがのし掛かる可能性が高いだけに、両チーム先発投手の立ち上がりがカギとなる。

特に広陵のエース高尾投手は、昨年センバツの海星戦、夏の甲子園の慶應戦、秋の県大会の呉港戦と後半尻上がりに良くなったが、序盤に苦しむ場面が見られた。

高知としては高尾投手のエンジンがかかる前に得点を奪いたい。

ロースコアの接戦になると、投手だけではなく捕手の力も大きく影響するだろう。

今大会でも新基準バットになりロースコアの試合が増えた印象だが、ワイルドピッチやパスボールといったバッテリーエラーが絡む失点が目立っている。

広陵は昨年の甲子園でも活躍した只石捕手の経験値が心強い。只石は昨年も投手陣に積極的に声をかけ「気配りが出来る捕手」というイメージだ。寮でもエース高尾と同室で、互いへの信頼は絶大なものがある。

高知の片井捕手は昨年ショートからコンバートされたばかりで、経験値ではやや不安を残す。
ただフットワークが良く、片井が捕手として秋に大きく成長したことが四国大会優勝の原動力となったとも言えるだろう。


近年の広陵の野球は意外とバントを多用せず、エンドランなど足を絡める攻撃が目立つ。
事実、昨年の秋もバントは1試合平均1.6個、これは32校中4番目の少なさである。

一方で高知の濱口監督は比較的オーソドックスに走者を進める傾向がある。

実力では広陵がやや上回るが、展開次第では高知にも十分に勝機はある。

ロースコアの試合をどのように動かすか。

投手陣の立ち上がりとともに、両監督の采配にも注目したい。

甲子園ラボ

この記事が参加している募集

高校野球を語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?