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【2023 夏 高校野球】文星芸大付vs八戸学院光星 どこよりも詳しく見どころ解説

第105回全国高校野球選手権大会
3回戦

文星芸大付(栃木) vs 八戸学院光星(青森)

打線が活発な両チーム
投手力でわずかに八戸学院光星が上回るか

1988年 春 宇都宮学園 8-7 上宮(大阪)
1995年 夏 宇都宮学園 6-8 観音寺中央(香川)
2006年 夏 文星芸大付 11-10 関西(岡山)
2023年 夏 文星芸大付 9-7 宮崎学園(宮崎)

上記の通り、前校名の宇都宮学園時代から、甲子園で壮絶な打撃戦を展開してきた文星芸大付。スコア以上に、上記の試合がすべて終盤にもつれる大熱戦であった点から、高校野球ファンにとっては印象に残る学校の一つである。

しかし過去の熱戦に勝利した2試合とも、次の試合では敗北を喫している。
今回は3度目の正直で勝利を掴むことが出来るかに注目したい。

県大会では活発な打線を武器に勝ち進んだ両チーム同士の対戦となった。

ただ壮絶な打撃戦の末に宮崎学園に9-7と辛くも勝利した文星芸大付に対し、八戸学院光星は7-0と大差で明桜を破っており、スコアの上では対照的な結果となった。

栃木県勢vs青森県勢の甲子園の対戦は過去に1度だけ。
2011年の準決勝で対戦し、その時は八戸学院光星が作新学院を5-0で破っている。

両校の勝ち上がり

文星芸大付

初戦は宮崎の初出場・宮崎学園と対戦。
宮崎学園先発・189㎝の大型左腕・河野投手の好投もあり、序盤3回までは0-0の静かな立ち上がりとなったが、4回に試合は大きく動いた。

文星芸大付は4回表に3本の長短打で2点を先制すると、その裏に宮崎学園が2つの四死球と5安打を集中、守備の乱れも絡んで一挙に5得点を奪い逆転。
5回に文星芸大付が1点を返すが、その裏に2点を奪われて3-7と苦しい展開で終盤を迎えた。
粘る文星芸大付は7回、8回に計7安打を集中させて逆転し、結果的に9-7で宮崎学園を振り切った。

打撃戦となったが、勝利のキーマンは3番手でマウンドに上がった背番号10の工藤投手だった。8回に同点打を放った打撃も光ったが、抜群の制球力で荒れた試合展開を引き締め、その投球がチームに流れを引き寄せたと言えるだろう。

中盤守備の乱れはあったが、強肩の黒崎捕手、曽我・大塚の二遊間、俊足のセンター篠崎とセンターラインに個性的なタレントが揃っており、本来は守りは安定している。
中でもセカンド曽我のグラブさばきには注目したい。

光星学院

初戦は秋田の明桜と対戦。

序盤は明桜のサウスポー松橋投手に抑えられ、4回までノーヒットと自慢の打線が機能せず苦しい戦いとなった。
試合が動いたのは5回。
7番・青木のライト前ヒットを皮切りに、四球を絡めて1番・砂子田のセンター前タイムリー、3番・中沢の左中間フェンス直撃の2塁打で八戸学院光星が3点を先制した。
7回には四球でためた走者を5番・藤原の3ランホームランで試合を決定付け、7-0で明桜との東北対決を制した。

スコアだけを見ると盤石に見えるが、この試合で八戸学院光星は散発の5安打しか打てていない。

その中で大量点を奪えた要因は11個の四死球を選んだ選球眼だった。
四死球で出塁した走者を長打で帰すという、効率の良い攻めで明桜を突き放した。

そして何と言っても2年生エース洗平の好投が光った。
140キロを越えるストレートで押し込んで、明桜打線を4安打に抑えての完封勝利は見事だった。
昨年夏も1年生で甲子園のマウンドを経験しているが、春季東北大会で仙台育英打線を封じ込めて3-2で勝利を手にしたように、この1年で大きく成長した姿を見せたと言えるだろう。

ただ懸念点を挙げるなら、明桜に打たれたヒット4本中3本がイニングの先頭打者であった点だ。今後の成長を考えると、イニングの頭をどう抑えるかにも注目していきたい。

この試合のポイント

文星芸大付 曽我・小林・黒崎
八戸学院光星 中沢・長谷・藤原

両チームともに中軸は非常に力のある打者が揃っている。それだけに1、2番の出塁がカギを握る展開になるのではないか。

特に八戸学院光星の中沢はU18侍JAPAN候補にも選ばれている強打者だ。強気な文星バッテリーがどう攻めるのか見ものである。

文星芸大付はおそらく初戦同様にサウスポー渋谷が先発して、堀江・工藤の両右腕がリリーフに立ち、3投手での継投が予想される。
八戸学院光星が初戦で明桜の左腕・松橋投手に苦しんだ点からも、エース左腕・渋谷が出来るだけ長いイニングを投げる展開が理想だろう。

一方、八戸学院光星は初戦はエース洗平が明桜を完封したが、この3回戦は同じく2年生サウスポーの岡本の登板の可能性もある。
岡本も青森大会では背番号1を背負っており、洗平同様非常に力のある投手だ。
ただ青森大会では時折、コントロールを乱す場面も見られた。甲子園でどう修正しているかもポイントである。

投手力では八戸学院光星にやや分があるものの、両チームともにビッグイニングを作れる力のある打線なだけに、四死球・エラーが試合を大きく左右することも考えられる。

八戸学院光星としては、序盤からリードを奪う展開が理想だろう。
その為には、初戦同様に文星芸大付投手陣の低めの変化球の見極めを徹底したい。

一方で文星芸大付としては、打撃戦もしくは終盤勝負の接戦に持ち込みたいところだ。
洗平・岡本の両サウスポーのストライクを取りに来る力のあるストレートに振り負けず、低く強い打球を心掛けたい。

投手力の勝負になるか、それとも強打が粉砕するのか。玄人好みの楽しみな一戦である。

甲子園ラボ






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