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ep.6 スウェーデンの性教育施設ツアー②~Vill du?「あなたはどう?」~

皆さんこんにちは!🌞
デンマークに留学しておりましたAiriです。

この記事は引き続き、スウェーデンでの性教育&SRHR関連施設ツアーの様子をお届けしていきます。今回はパート➁、スウェーデンで最大の性教育機関、RFSUの開催するカンファレンスに出席する様子についてです📨!

\\パート①はこちらからどうぞ!//

それではスタート!🚩



Vill du conference(RFSU)

さて、お昼休憩を終えてやってきたのは「Vill du conference」。どうやら、「性的同意」についての授業をブラッシュアップするための、学校関係者向けのカンファレンスらしいです。

カンファレンスなんて緊張する~~!💦と思いながら、ストックホルム中央駅近くの会場へ向かいました。

かわいらしい飾り付けがなされた受付。

「Vill du?」というのはスウェーデン語で、「どうしたい?」「したい?」という意味(英語に訳すと「Do you want to?」)。このほかにも、性的同意に関するカンファレンスということで、実際に使えそうなフレーズが沢山飾られていました!👀

↑「これいいね。すき」「自分も」(「I like it」「So do I」)的な会話。


面白い展示が沢山!

カンファレンス会場はたくさんの人で盛り上がっていて、やはりFika(お菓子休憩、一休みの意)の国、スウェーデン!といわんばかりの美味しそうなお菓子が並んでいました(完全に花より団子)。

沢山ならんだスイーツ達!私はキャロットケーキをいただきました

すると・・・なかでも目を奪われたのはこんなお菓子でした(゚ロ゚)!!!

色とりどりのグミ!!
これは恐らくキャンディ??
これもおそらくグミ!!

こんなお菓子どこで買えるんだろう?!もしやRFSUで作ったりしているんかな・・・?と考えつつ(出来れば買って帰りたかったけど謎のままでした)、とりあえずこのオープンな雰囲気や遊び心にテンションが上がってしまいました。


Vill du?:RFSUが作成した教材

「Vill du?」は、虐待や性暴力を防止し、相互主義を促進することを目的としてRFSUによって開発された方法論的な教材であるとのこと。
いくつかの短編映画とそれに基づくディスカッションの質問を通して、セクシュアリティ、コミュニケーション、バウンダリーについての会話を広げることを目指しています。

(RFSU(スウェーデン性教育協会)は、スウェーデンで1933年から続く、性教育と性政策のための非営利団体です。この後RFSUのヘッドオフィスにも伺ったので、そのお話はパート④で詳しくご紹介します。しばしお待ちを!)


私達も予習として、短編映画のなかの1つ「The basketball guys」を視聴していました。この短編映画はネット上で見ることが出来るので、ぜひ興味のある方は見てみてください!🎥(見ていただいたほうが、この後私が書いている内容についてスムーズに進むと思います💪)

\\私達が見た「The basketball guys」//

RFSUのサイトには、他にもいくつかの短編映画が紹介されています!サイトにも詳しく「Vill du?」の紹介が載っているので、こちらも興味がある方はぜひ(*^o^*)


短編映画を実際に見てみた感想

さてさて、上記の「The basketball guys」をご覧になった方は分かると思うのですが…なんというか、「一筋縄ではいかない」感がとても良く再現されているなと思いませんでしたか?

事実、私がこの動画を初めてみたとき思ったのは

  • え、キスされるの嫌だったの!?分からんよ!!😢

  • 目の前でユニフォーム着替えておいて、なんか良い雰囲気だったじゃん!流れ的にアリじゃないの!?(ーー;)

  • それに嫌って口に出して言ってないし・・・

  • じゃあゲームしながらの最後のキスは何が違うの!?何がOKなの!?(ToT)💦

とまぁ(完全にユニフォームを渡しに着た側の男の子の立場になって見ていたので)、こんな感じで

「いや性的同意ムズすぎん?!!😅」

という感想を持ちました。
それどころか、あまり深くを語らない動画なので、「これを高校生の教材で使ってるの?難しくないか??」と思ったというのが正直な感想でした(加えて、当たり前のように同性カップルのお話なのでそこも少しびっくりはしました)。

Vill du?教材はこうした短編映画をもとに、クラスでディスカッションを行い、実際の行動やコミュニケーション方法の模索に繋げていくとのことです。
(実は翌日、この教材を実際に使用している高校に見学に行くことが出来たので、その様子はパート③でお伝えしますね!!しばしお待ちを!💨)


カンファレンスに出席

こんなタトゥーシールも貰えました。なんだかカッコイイ✨

さてカンファレンスでは、このVill du?教材を使った授業を試験的に行っている学校での効果測定についての発表がメインに行われていました。

(実はカンファレンスがスウェーデン語だったので(゚Д゚;)、私は一切理解出来ず・・・一緒に行ったメンバーの皆さんからの共有財産的な感じで、理解出来たことをとりあえずまとめてみます。💪)


コンテンツ制作について

まずVill du?動画教材を作成する際、コンテンツ制作チームは非常に試行錯誤を重ねたそうです。

ひとつのビデオに幅広い性についての視点を組み込むことを考えており、その過程がとてもエキサイティングだったとのこと。加えて、はじめはそれぞれのビデオは長いものだったけれど、どのくらいの長さが良いのか何度もテストを重ねて作成していったとのことでした。(現在ある短編映画は、どれも2~3分のものです)

長さの他にも、
インターセクショナル*な視点を組み込めているか
★若者にとって自然なシチュエーションであるか
などを考えて試行錯誤を繰り返していたそうです。

*インターセクショナル
社会的アイデンティティが複数重なり合うことによって、複合的な差別体験が生まれるという考え方。
※たとえば、差別構造がジェンダー・人種・セクシュアリティ・社会的階級・移民等の要素を重層的に絡めている状態を捉えること。

(UN Women国連ウィメン女性協会HPより)

なるほど、だから「Tha basketball guys」のような、一筋縄では理解できないような考えどころ満載の教材が生まれているのだなぁ、よく練られて作られているものなのだなぁ。と感じました。

このカンファレンスでも「The basketball guys」の動画が流され、それをベースにした紹介が行われたのですが、

「相手が望んでいるか、イニシアティブを複数回取って初めて、最後にちょうどいいところを見つけられたという例である。セクシュアルな場面において、マスキュリニティ(男らしさ)に押されて行動している自分に気づくこと、実感していくことが大切」

というようなお話をされていました。

完璧!!


効果測定に関して

現在このVill du?教材を用いて授業実践をすすめる高等学校がスウェーデンにいくつかあるそうで、この教材の効果として、「性教育の必要性を感じるか」や「性暴力への介入の必要性を感じるか」などの視点から効果を測定して検証しているとのことでした。

印象的だったのは、男女で比較すると男の子の方が測定される効果が少ないという点でした。プレゼンターの方曰く、コミュニケーションの部分で難しさがある場合が多いとのことで、Vill du?教材の対象年齢よりも低年齢の段階から特に男の子のコミュニケーション、「言葉にする力」を養うべきではないかとの指摘がありました。


まとめ

最近日本でも不同意性交等罪が成立したことにより、注目を集めるようになった「性的同意」ですが、先進国と思われるスウェーデンでも教育現場では努力が続いています。

「性的同意」なんて理想だ。現実世界では実現し得ない!!
わざわざ書類にサインでもするっていうのか!?

的な意見はスウェーデンでも存在するそう。

しかしRFSUはこのVill du?教材を用いて、そこのうまい隙間を狙っているというか、「スキルとして身につけるためにどうすれば良いのか?」という点について真っ向からチャレンジしているように思いました。

「性的同意は机上の空論では無い。明確に同意を確認し合う方法は学べるもので、一人一人が行動できるものなのだ」という強い意志を感じ、日本でも取り入れられるヒントは大いにあるのではないかと感じました。

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ということでパート➁、いかがでしたでしょうか??

スウェーデンでは2018年の積極的性的同意法(通称yes means yes法)が施行されましたが、その概念をどうにか教育現場でも広めようと、改善と改良を広めようとしている姿勢が伝わってきました。
試行錯誤を繰り返している姿は大変勇気をもらえるものであり、スウェーデンもまだ発展途上なんだということを学べた機会でした。

このカンファレンスの後、視察メンバーとRFSUのスタッフの方々、また高校の先生数名と夜ご飯をご一緒させて頂きました!🙌

夜ご飯中は、欧州と日本の美の基準の違いについて、
美容整形やダイエットの話などをシェアし合いまいた。

スウェーデン旅はパート④まで続く予定なので、引き続き楽しみにお待ちください✨
それではまた(^_^)ノ
Vi Ses😍

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