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スタートアップの落とし穴は、実は組織における法の整備だったと言う話

こんばんは。
日本のキャリア教育をアップデートするというビジョンを掲げ、もうすぐ5期目を迎える会社を経営する伊藤(かるろす)と申します。

これまで仕事柄教育や人材に関しての情報中心にtwitterやnoteで発信しており、経営に関することは避けがちでした。

しかし、直近1年くらいで様々な20代起業家の相談に乗ることが多く、かつ自身も24歳で3人で会社を起こし、小さいながらも経営に携わって丸5年。
代表取締役になって2年が経つため、そろそろ自分の発言に覚悟を持たないとなぁと思い、公に書き記すことにしました。

今回はタイトルにあるように、若手スタートアップがうまくいかない時に直面する問題の多くは「法(リーガルではなく、ルール)が整備されていないことがほとんど」ということ

しっかり書くので最後までお付き合い頂けると幸いです。

ロマンとそろばんの一般化が進んでいる?

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私は仕事柄数多くの学生と接するのですが、様々なSNSの発展により、"情報の敷居"と"コネクションの敷居"が下がったことで、20代で起業する学生は私が就活をしていた8年前と比べて20倍くらい増えたんじゃないかなと思います。(完全に肌感覚)

大志を抱く夢見る若者が、様々な起業に関する情報に触れ、また多くの投資家や先輩経営者からの助言により、起業においてのロマンそろばんへの理解が深まっている印象です。

ここでいうロマンとそろばんは上にある図のイメージで、以下補足します。

・ソーシャルイシュー
→社会のどんな問題をビジネスで解決するのか(ロマン)

・マーケットサイズ
→それに困っている人はどれくらいいるのか。要はどれくらい儲かる市場があるのか。(そろばん)

・キードライバー
→それを解決する手法(アイデア)は何か。

この辺にもちろん3C分析とか、CACが〜とかARPUが〜とか細かいとこ言い出すと切りないほど諸々ありますが、まずこれら3つがっちりハマり、それに共感し、共に戦う仲間を募るためにMission、Vision、Valueという言葉に落とすことでようやくスタートアップの種になります。

この辺りから、シードラウンドでエンジェル投資家などから少額を出資してもらい事業をスタートする学生起業家が増えてきているなと感じています。

ただ、いくら増えているとはいえまだまだ希少。

ここまでくる起業家はやはり熱量高く夢を語れるので、物珍しさと期待感で様々なリソース(ヒト・モノ・カネ・情報)を巻き込むことができ、順風満帆!俺らならいけるで!と事業をスタートすることができます。

しかし、ここからがスタートアップが直面する最初の難関、資金繰り問題です。

売り上げが思うように上がらない...組織崩壊への序章

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クレバーな大人ベンチャーでない限り、ほとんどの会社はまずこの壁にぶち当たるのではないでしょうか。
いけるぞと思っていたビジネスがうまく行かず、当初立てたP/Lとの乖離がどんどん生じ、気づけば会社の口座残高も残りわずか。。。

ここで労働集約型のビジネスモデルの場合、社長も創業期はプレイヤーを担うのでガンガン前に出て営業すると思うのですが、だいたい社長は売れます。で、ほかのメンバーは大抵ほとんど売れません。
(この理由はまた別の機会に)
そこで、「なんで売れてないねん!もっと頑張れよ!」みたいな感じになり、どんどん不協和音が流れます。

サブスク型や、toC向けのビジネスモデルの場合もだいたい一緒で、当初想定していた通りのユーザー数が付いて来なかったり、有料課金するユーザーが思いの外少なかったり、解約率がめちゃくちゃ高く売り上げが全く積み上がらなかったりすると、投資に対するリターンが生じず、どんどん焦りが生じ、同様の事象が生じます。

当時のことを思い出し、書いていて胸が痛くなってきました。。。

(ちょっと話がズレますが、たまに自分たちの選んだビジネスモデルの戦い方と異なる戦い方をしようとしている会社があります。
スポーツでいうなれば「ドリブル練習しろ!」っていっても、サッカーのドリブルと、バスケのドリブルは同じ言葉でも使う部位が手と足と全く異なります。自分たちが選んだビジネスモデルが何で、先人たちはどういう戦い方をしているのか。それぞれ見合った戦い方をしましょうね。)

調達した資金も底をつくのが怖く、本来しなければいけない適切な投資もできないようになったり
(そもそも学生で起業した場合、お金を使う経験が少ないため、何にお金を使えばいいのか理解しているケースなんてほとんどないと思いますが)

焦りからどんどんメンバーにパワーマネジメントを強いてしまったり

このままじゃ潰れてしまう!と売り上げ重視にシフトしてビジョンとの相違が生まれてきたり

役割を分けていたボードメンバーとの対立が生まれ、仲違いしてしまったり・・・

だいたい全部わかります。笑

COOとして3年間、CEOとして2年間経験して、やっとわかったことは
これら全ては組織に法がないから生じる問題なのです。
(やっとここから本題に入ります)

Mission、Visionよりも実はValueとRuleが大事!? 組織における法とは

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私も数え切れないほどのたくさんの失敗をしてきましたが、声を大にして言いたいのがValueとRuleの重要性です。

Mission、Visionはしっかり思いを込めて作り上げている会社が多いです。しかし、このMission、Visionだけでは会社の売り上げが思うように上がらなくなってきたときに脆く崩れ落ちてしまうことが多いのです。

経営者は身銭を切ったり、責任を背負って本気で人生をかけていますが、メンバーの多くはそうではありません。ほとんどはその会社に夢を見にジョインしているので、究極違ったら違う船に乗るという選択肢があります。
(ベンチャーに入っている以上そうであったら困るんだけどね。笑)

大事なのはValueです。

ValueとはMission、Visionを実現するために、この船に乗っている乗組員全員が絶対に大事にしなければ行けない価値観です。

ここに立場は関係ありません。社長も社員も全員が守らなければ行けないのです。
沈没しそうになっている会社はだいたいここを真剣に考えられていなかったり、浸透させようとしていません。

まず前提なのですが、人の価値観は生きてきたバックグラウンドが違うので、それぞれ違います。うまく行かなかった時、しんどくて辛い時どうするかの捉え方や考え方は、人それぞれ違うため、この船に乗っている乗組員である以上これは大事にしようぜ!守ろうぜ!という価値観を明文化して伝えなければ、齟齬が生じるに決まっています。

人のトラブルは99%説明不足から生じます。

Mission、Visionも大事ですがValueについて本気で考えて浸透させましょう。新卒でベンチャーを選ぶ就活生は、意外にここを見るといいかもしれないですね。

ちなみにうちも初めはなんとなくかっこいい横文字のValueを作っていましたが見事に機能せず。笑
ここが大事だと気づいてから様々な先人の知恵をパクって以下に至ります。(DeNAの南場さんやサイボウズの山田さんからパクらせていただきました。本当にありがとうございます。)

https://www.slideshare.net/secret/EsBDIOjo5OSQWd

次にRuleです。

Valueは組織全体として大事にしなければ価値観ですが、Ruleは機能的な側面をもつマクロなイメージです。

例えば「日報は必ず帰社する前に書こう!」とか「朝礼終礼はリモートでも必ず参加!」とか「賞賛する文化を作りたいから毎週金曜日の終礼で1週間のメンバーのいい部分を褒める時間を作ろう!」とかそういうものです。

ここで売上をあげるためにこれをやろう!というRuleも大事ですが、自分たちのMission、Vision、Valueを実現するためのRuleを入れることもポイントです。

また、あるあるな経営者やボードメンバー陣がメンバーができていないから仕事を巻き取ってしまってギクシャクする問題や、うまくいっていないからとやることをコロコロ変えてしまい、現場がついて行けないという問題も「ここまでの期間は信頼して任せる。ただこの期間までにこれができなかった時は、介入するね。」みたいなRuleを設定することが大事です。

あと余談ですが権限移譲に関してもRuleを設けたほうがいいです。
デリケーションポーカーが今のところもっともしっくりきているので、ボードメンバーやマネージャー陣との権限移譲は以下リンクを参照ください。
https://qiita.com/harakachi/items/d75461402815d76b12c5

またそもそもこの船に乗るためには、このボーダーラインをクリアしている必要があるよね。という採用基準もRuleの一つです。

うちの会社は社員よりもインターンクルーが多く、彼らが本当にうまく機能してくれています。ひとえに彼らの頑張りでしかなく、本当に自慢のインターンクルーで感謝でしかないのですが、これも採用基準というRuleを明確に設けたことが大きかったなと感じています。
以下採用基準です。

https://www.slideshare.net/secret/vL4oCsUJEqZjRQ

最後に

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ここまでお読みいただきありがとうございます。
偉そうなことを書きましたが、私もまだまだ未熟な経営者で、日々失敗の連続です。
しかし、少しでもこれまで歩んできたことを伝えられればと思い筆をとりました。

私よりも優れているU30の起業家と以下のようなプログラムを行うのでもし興味があればぜひU23の学生はご参加ください。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000026066.html ​

自分のValueとして「教師ではなく、先生」という価値観があります。
これは私の中で教師とは「教える師」と書き、自分の今持っている知識を切り売りしている行為であり、先生とは「先を生きる」と書き、どんどんとアップデートをして行く姿をみせ、その後ろ姿で学んでもらえるような生き方をしたいと考えています。

こんな偉そうなことを書いたから以上日々精進して参ります。

いつか、この記事マジでしょぼかったな。
もっといいこと伝えられぜと言えるように、経営者として先を生き続けます。日本のキャリア教育のアップデートを実現するその日まで。

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