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『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第14話:診察を受ける

12月15日 午後3時49分

××クリニック 診察室

 

先生「書いてもらった資料を見ましたが、まぁ、大変でしたね」

ボク「はい……」

先生「いまは立ちくらみ等の症状、どうですか?」

ボク「大丈夫です……」

先生「大丈夫というのは、目眩とかが全くない? それとも少しある?」

ボク「ま、全くないです」

先生「分かりました、それならこのまま診察を続けますね」

ボク「はい」

先生「今日のこと、倒れる直前までのこと、もう少し話してもらえますか?」

ボク(…………え? な、涙が止まらない! ど、どうしたんだ、一体……?

先生「ちょっと、休憩しましょうね」

 

 

待っている間、診察室から涙をこぼして出て来る患者をみて、

診察して、泣くってどういうこと? バカか?

と思っていたボクでしたが、診察中、泣いてしまいました。しかも返答できないぐらいの大号泣。

大人になって、ボクは泣いたことありません。まして、人前で、しかも見ず知らずの初対面の人の前で泣いたことはありません。(なんか、中森明菜の歌みたいですね。)

それが、あの時は、急に涙が溢れてきて、止まりませんでした。
いままで、ずっとガマンして気を張って堪えてきた緊張の糸が切れたのかもしれません。

診察していて、患者さんが泣き出すのは、おそらく、そんなに珍しいことではなかったようで、先生も慣れた様子で診察を進めていきます。

 

心療内科の診察は、会話が中心です。

最近は、LINE、SNS、メール等のデジタルによるコミュニケーションが中心ですが、向かい合って、話したり聞いたりすることで、診察し治療するのだから、やはり会話はすごいなぁって思います。

 

この時、倒れる直前のことを改めて自分の口で話しました。待合室で問診票に記入していたのですが、話すと自分でも気付かなかったことに気付いていきます。

実は、診察前、自分なりに話したいことを紙に書いて準備していました。それを先生に手渡したのですが、それでもあえて、自分で話すように促されました。

 

自分で話しているうちに、密かに腹立たしいと感じていたことは急に感情がむき出しになります。特に“怒り”についてはこの時コントールできなくなっていたようで、時折、質問の回答へと補正されてながら会話を継続しました。

普段、人と話すことが苦手だったのですが、それでも、一生懸命、先生に話していました。最初はゆっくり考えながら話していたのですが、話し出したら止まらなくなって、そんなことは、いままでなかったので、自分でも非常に驚きました。

 

自分のこと、家族のこと、会社のこと、お客様のこと。自分でも実はそんなふうに感じていたとは思ってもいなかったことが、どんどん出て来ます。

特に重点的に聞かれたのは、今日の出来事でした。

倒れるまでの気持ちや身体的な変化。それを思い出すのはとても辛かったのですが、先生に誘導されるまま、全て話しました。思い出しながら、強い吐き気がしました。

そして、倒れてから今に至るまでの変化についても話しました。

 

「では、」

大体、診察開始して30分が過ぎたところだったと思います。先生からの結論が言い渡されました。

「では、診察の結果をお伝えします」

話疲れ、泣き疲れたボクは、

「もう、なんでも言ってくれ」

という感じで先生の言葉を待っていました。しかし、先生からはボクが全く予想していなかった言葉が発せられました。









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