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こんにちは。
me:Riseキャリアコーチの尾上(おのえ)です。(コーチ紹介インタビュー

日々のマネジメントの中で、部下にはもっと変化・成長してもらいたいという気持ちをお持ちの方も多いのではないではないでしょうか。

上司として、部下が変化・成長するためのフィードバックやアドバイスをし続けていても、なかなか変化が見られない。部下本人は一生懸命仕事に取り組んでくれてはいるものの、今一つ成長が見られない。そんなもどかしい想いを持たれている方もいらっしゃるかと思います。

そこで、今回は、変化・成長を見せなかった部下に対して、試行錯誤の上、変容していくようサポートした上司の関わり方についてご紹介したいと思います。

その上司は、依田さん(仮名)。

食品卸会社に勤める40代前半の女性リーダー。
意欲・能力とも高く、明るい性格も相まって、上司・部下からの信頼も厚い方。
(クライアントさんのプライバシー保護のため、設定を変更して書いています)

直近の組織課題は「変革」すること。

組織もメンバーも、今までのやり方を続けていては生き残れないため、中期経営計画でも、大きく「変革」の二文字が刻まれていました。

依田さんも、自部門と部下に変化を求め、日々、手を変え品を変え、部下を叱咤激励していました。

依田さんが改革に乗り出してから半年あまり。
日々のルーチンワークに忙しい部下たちからは、依田さんが求めるアウトプットが一向にあがってきません。

そんな時期に、依田さんからコーチングを受けたいとご連絡をいただき、コーチングがスタートしました。

1回目のコーチングで依田さんがおっしゃったのが、

「とにかく部下たちを変化・成長させたい」

私は、コーチとして、大事なことをお伝えました。

「コーチングで扱えることは『自分とこれから』だけです。
過去と他人は変えられません。それでも、コーチングを受けますか」

(依田さん)
「はい。部下の変化・成長のために、自分も変わっていかないと」

そして、何回目かのコーチングセッションにて、この半年、部下にどのように関わってこられたのか、再度、丁寧に振り返っていただきました。

依田さんは、自分が部下たちにどんな変化・成長を求めてきたのか、反芻するように振り返っていきました。

会社も業界も生き残るためには、今までの考え方ややり方を継続していってはダメだということ。
部下には、新たなスキルや知識を身に着けてもらい、新たな企画や改善提案のアウトプットを出してほしいことなどを口にされました。

続いて、依田さんご自身の成長に目を向けていただくために、私は以下の質問をしてみました。

「では、この半年、依田さんご自身はどんな変化・成長をされたと思いますか」

すると、依田さんが、「ハッ」とした顔をしたのです。

私は、依田さんの言葉を待ちました。

(依田さん)
「尾上さん、・・・
一番変わっていなかったのは、私だったかもしれません」

(尾上)
「どういうことですか?」

(依田さん)
「この半年、一生懸命、部下たちに声を掛けてきましたし、自分もいくつか改善提案を作成してきました。そういう意味では、がんばっていたと思います。

でも、今、気付きました。私の部下に対する接し方・関わり方は、ずっと変わっていませんでした。いや、むしろ、毎日毎日、同じメッセージを発信し続けていました。

そこで分かったことは、依田さんが良かれと思って発していたメッセージに問題があるのではないかということでした。

依田さんがお話されながら、ご自身で気付いていったことは、次の2つでした。

1つ目は、進捗を確認することと部下が何か困っていることがないか確認するために、「あの資料はどうなったか」としつこく聞いていたとのことでした。

2つ目は、「我々は変わらないと生き残れない」というメッセージを発していたことで、部下たちに余計な不安を与えていたのではないかということでした。

(依田さん)
「尾上さん、私、顔から火が出るほど恥ずかしいです。部下たちはきっと、『変われ変われ』という私の『変わらないメッセージ』を聞きながら笑っていたでしょうね。

何回か、コーチングを受けていく中で気付いたんです。
尾上さんは、コーチとして、決して私に対して『変われ変われ』というメッセージは発しませんよね。

私の変化・成長を応援してくださっているはずなのに。
最初は不思議に思っていたのです。

でも、尾上さんは、私の取り組みやがんばったことに対して、たとえうまくいかなかったとしても、いつも労いや承認の言葉を添えてくださいます
時折、部下育成に心が折れそうな時期もありましたが、労いや承認の言葉のシャワーを浴びていると、また明日からがんばろうという気持ちが湧いてきたんです。

これが『勇気づけ』というものなんですね。

『変わる』って、本当に勇気のいることで、しんどいことだと思うのです。
それに対して、「変われ変われ」って、さも今の現状がダメかのような否定的なメッセージを投げ掛けられたとしたら、勇気を挫かれるだけですよね。
私は、部下たちが自ら『変わる』ための勇気づけをすべきだったんです。」

そうおっしゃった依田さん。

それ以降、どう接していったか。

もちろん、部下の変化・成長を願うことは変えませんでした。
但し、部下への言葉掛けを変えていきました。

心掛けたのは大きくは2点。

1つは、部下たちの日々のルーチンワークに、感謝と労いの言葉を投げ掛けました。

それまでの依田さんは、ルーチンワークはやって当たり前。

いやむしろ、「そんなルーチンワークに時間を使うのはもったいない。ルーチンはさっさと終わらせて、改善提案を1つでも多く提出しなさい」と言ってきました。

そのメッセージを以下のように変えたのです。
「いつも部署の仕事を下支えしてくれてありがとう!」
「この仕事をしてくれるお陰で、この部署がまわっているんだよね!」
「今月末も忙しかったでしょう。本当にお疲れさま!」

そんな言葉掛けをしていきました。

もう1つは、
思いきって、自分のダメなところ、弱いところを部下にさらけ出してみることにチャレンジしました。そして、弱い部分は、部下に手伝ってもらったり、アドバイスもらったりしてみたのです。

たとえば、
「○○さん(部下)、この資料のこの部分意味わかる?」
こんな簡単なことを質問しては恥ずかしいと思ってしまうようなことに対して、教えを請いました。

部下からしたら、ちょっと意外。
「でも、あの依田さんがわたしを頼ってくれた」
「リーダーに貢献できた」
部下の自信にもつながっていきました。

このちょっとした「隙」が、部下を安心させ、上司への親近感を持たせてくれました。

そして、一番の効果かもしれないことは、ダメなところ、弱いところを見せると、依田さんご自身の自己肯定感も上がっていったのです。

それまでは、上司として常に完璧でいないといけないと思っていた依田さんが、「ダメな自分でも、部下は許してくれる。むしろ、いい雰囲気になる。自分の時間も短縮できる。完璧でない自分でもOKなんだ」と。

そして、いつも完璧を演じないとと、緊張していた自分が少しラクになる瞬間が増えていきました。

その次のコーチングで、その1ヶ月の振り返りをしました。

(依田さん)
「部下への言葉掛けを変えた1~2週間で、あんなに出てこなかった改善提案が3件もあがってきたんです。
変化が早く現れたのでびっくりしました。

そこで、今までの私なら、『この部分、MECEじゃないよね』などとダメ出ししていたのですが、『この忙しい中、ありがとう!』という言葉が自然に出てきたんです。

そして、『ここはこうすると、もっと良くなるんじゃない?』と前向きなアドバイスができるようになりました。」

それでも、なかなか変化・成長に結びつかなかった部下もいましたが、5ヶ月5回のコーチング終了時点では、依田さんの部署は他部署と比べて、2倍もの改善提案が提出され、依田さんの評価もうなぎ上りに。

「今度は、自分の子供に対しても応用してみたい」と語ってくださいました。

依田さんの取り組みは、私たちに2つのことが重要だと教えてくれます。

1つは、相手を変えるには、相手を変えようとしないこと。
自分の言動を、積極的に変容させること。

今回は、依田さんの発する言葉を徹底的に変えていったのが功を奏したのです。

2つ目は、「変われ」メッセージよりも、今できていることに感謝と承認の言葉を投げ掛けること。
そのことが勇気づけとなり、部下に変化する勇気を与えたのでした。

いかがでしたでしょうか。

本日の内容が、少しでも皆さんのお役に立てばうれしいです。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。



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