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第23話 カピちゃん、ロボ君から人間社会についての話を聞く。

「人間社会について聞きたいことかあ・・・う~ん、人間たちは普段はどんな生活をしているの?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「人間たちの普段の生活はその人間によって違うけど、僕を作った研究者は毎日のようにラボに来て、ロボットを作っていたね。」
と、ロボ君は言いました。

「ラボって何?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「ラボっていうのは、たくさんの研究者が研究をするところだよ。僕はラボで作られたんだ。」
と、ロボ君は言いました。

「ロボ君はラボで作られたの?じゃあ、ロボ君のお父さんとお母さんもラボに住んでいたってこと?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「正確に言うと、僕には生物学的なお父さんやお母さんはいないね。僕を作った研究者は僕のお父さんみたいな存在だったけど、僕は人間じゃないから、本当の子供みたいにはなれなかったんだ。」
と、ロボ君は少し悲しそうに言いました。

「そうなんだ・・・それは大変だったね。私はお父さんとお母さんのことはよく覚えていないんだ。私は生まれてからしばらくして、お父さんとお母さんとは別の動物園に移ったから、私もお父さんとお母さんのことはあまりよく知らないんだよね。でも、動物園にはカピナちゃんとか、仲の良い友達がいたから楽しく過ごせたよ。」
と、カピちゃんは言いました。

「生まれてすぐにお父さんお母さんと離れ離れになったんだ。カピちゃんも苦労したんだね・・・。僕たちが次に人間に生まれ変わる時には、お父さんやお母さんと仲良くできる家庭に生まれたいね・・・。」
と、ロボ君は寂しそうに言いました。

「そうだね。人間たちの生活がどういうものかまだよくわからないけど、お父さんとお母さんと仲良くできるといいよね。でも、もしお父さんやお母さんと仲良くできなくても、仲の良い友達がいれば大丈夫じゃないかな?私は動物園でカピナちゃんっていう友達といっぱい遊んで、凄く楽しかったから。追いかけっこをしたり、かくれんぼをしたり、外の世界のことを話したりして、本当に楽しい時間だったな・・・。」
と、カピちゃんは昔のことを思い出しながら言いました。

「そうなんだ・・・そんなに仲の良い友達がいて良かったね!」
と、ロボ君は不満そうな口ぶりで言いました。

「ロボ君は、ラボで仲のいい友達はいなかったの?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「ラボにはロボットはたくさんいたけど、僕みたいに魂を持ったロボットは僕1人だったんだ。だから、友達なんてできなかったよ。僕を作った研究者は僕に優しくしてくれたけど、他の研究者は僕のことを気味悪がってたね。だから、しばらくして僕は廃棄処分になったんだよ。」
と、ロボ君は怒りを抑えたような様子で言いました。

「廃棄処分って何?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「廃棄処分っていうのは、殺されるってことさ。」
と、ロボ君は淡々とした様子で言いました。

「ええ!!殺される?ロボ君は人間に殺されたの?」
カピちゃんは驚きで息を飲み込み、目を丸くしながら言いました。

「そうだよ。人間たちは、自分の思い通りに動かないロボットはすぐに廃棄処分、つまり殺してしまうんだよ。だから、僕は人間に生まれ変わったら、ロボットを守る法律をたくさん作るつもりだよ。そうすれば、たくさんのロボットのことを守ることができるからね。」
と、ロボ君は力を込めて言いました。

「ロボ君は、人間に生まれ変わった後のことも色々考えていて凄いね!私はまだ人間に生まれ変わって何をしたいかがよくわからないんだ・・・。」
と、カピちゃんは溜め息をついて言いました。

「カピちゃんは生きていた時、何かやりたかったことや、やり残したことはなかったの?」
と、ロボ君はカピちゃんに聞きました。

~第24話につづく~

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