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キャニコム、アメリカへ⑦

コンクリート砂男誕生
アメリカではコンクリートに関連する機械が色々とある。ポンプ車、ミキサー車などを含め、バイブレーター、レーキなど関連するものは何十種類もある。その中の一つとして、「コンクリートバギー(Concrete buggy)」に着目をした。元々がタイヤ式(Wheel type)が主流で、価格も比較的に安く8000ドル~1万ドルの価格帯で市場が5000台前後とあった。

これをクローラ(Rubber Track type)で市場の1割を獲得できれば直ぐに100万ドル(1億円@100円)は到達するのではないかという目論見で開発を進めた。条件はスピード。時速8㎞での走行がポイントになる。開発からの回答は5㎞しか出ない。当時は高速クローラ(時速10㎞もないレベルであるが)というものがほとんどなかった。戦車というレベルならあるが、産業用としての落とし込みは全くなかった。油圧ショベルの平均時速が3.5㎞/時なので運搬車はそれより少し速くて十分な基準ではあった。しかしスピードが今回の重要なポイントになる指標になると調べていたのでそれに近付けるために開発陣との協議は続いた。

アメリカ市場で柱になる機械を作り上げる

これが最大のミッションであった。2006年の冬に構想を練り、マーケティングを行い、2007年の冬に試作機が完成、2007年の夏の販売にに向けて着々と準備を整えた。法規制、取扱説明書、ステッカー表記、安全面、販売先の調整、価格についてなど綿密に行った。アメリカという市場はブランドよりも、いかに現場に即したものがポイントだった。それプラス販売店との人間関係が重要だった。

アメリカのレンタル業界へ飛び込む
ARA(American Rental Association)に入会をした。同時にAEM(Association Equipment of Manufacture)にも入会をした。まずはアメリカの法人企業として認められることが重要。「郷に入っては郷に従え」という形は実はアメリカでは最も重要視されることを本当に知った。

あざとく会合に参加し、パーティーなど通常は参加したくない、英語もよくわからない、あまり意味がないといわれるものを全部参加をした。キャニコムという名前を知ってもらい、変な日本人がいるという部分だけでも根気よく覚えてもらうために、日本のお土産も持ってきてアピールをし続けた。
それが功を奏して業界であまり知らない人がいないくらいのヘンテコ日本人がいる会社「Canycom USA, INC」が認知されるきっかけになった。

ちなみにお土産も通常なら、「饅頭」「抹茶」など日本的なものを持ってきたがりますが、不人気だ。保守的なアメリカ人の層しかいないレンタル業界はチョコレートがベースのアレンジ物が好まれる。なので「キットカット」、「ブラックサンダー」「白い恋人」「パイン飴」などが重宝される。間違っても日本人感覚での選択はNG、日本を紹介したくて買っていくものは喜ばれない。ネタで何点か買うのはいいが、基本的にチョコレートを主流にすれば喜ばれる。最近では「ジャパニーズクラフトジン」が人気なのでそういう時流を調べるとお客様の印象がものすごく変わる。

コンクリート砂男の躍進
2007年の秋にコンクリート砂男を発売、初回受注が50台を超える。
工場が驚き、全員が驚いた瞬間。100万ドル達成が見えた。

リーマンショック、円高、これが忍び寄っていることも知らずに。。

まだまだ続きます。

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