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ノンデザイナーにも役立つ、デザインの組み立て方法

Canvaでは、個性的なデザイナーたちがテンプレートを作っています。そんな中でも、特にクリエイティビティの高いテンプレートを作りだすのがYurieさん。

今回のnoteでは、Yurieさんにインタビューを実施。どのように考えてデザインを組み立てるのかどのように配色を決めていくのかなど、ノンデザイナーにも役立つデザインの組み立て方法を教えてもらいました。

Canvaのデザイナー Yurieさん

独学でデザイナーにキャリアチェンジ

ーーどのようにしてデザイナーになったのですか?

6年間ほど営業やプロジェクトマネジメントの仕事をした後に、1年ほどの独学を経てデザイナーにキャリアチェンジをしました。

社会人になってからずっと探っていた「自分が本当にやりたい天職は何なのか?」という課題。クリエイティブな仕事をしたいと気づいてから、最初はイラストレーターになりたいのかな?と思い、オンラインマガジンなどからイラストのお仕事をチラホラいただいたりしてました。

2016年に、Cosmopolitan Japanのイラストを担当させていただいた時の仕事風景

最終的には、イラストレーターではなくグラフィックデザイナーになりたいんだということが発覚し、わかってからはデザインの勉強に励むことになります。

デザインの基本のキは、大学で建築を専攻していたので少しは理解があったかもしれませんが、基本的にはYouTubeなど、無料で学べるオンラインコンテンツで学びました。学校に通うだけのお金がなかったからそう決めたものの、1人で学ぶのが苦手なタイプなのでかなり苦労の日々だったのもの覚えてます(苦笑)。

30代でのインターンシップ探しなどは大変でしたが、2017年頃に晴れてデザイナーになりました!メーカーや広告代理店でのインハウスデザイナーを経て、フリーランスの現在に至ります。

タイポグラフィーやブランディングを強みとしていて、人権や女性エンパワーメントに関するビジネスが主なクライアントさんです。今後はもっと、サステナビリティに貢献できるプロジェクトを増やしていこうと思っています。

仕事の他には、インスタグラムで勉強してる人と繋がるのが好きなので、主に英語でですが、Canvaで作ってデザインの投稿なんかもしています。

Canvaで作ったデザインをシェアした投稿

インスピレーションの源は、新天地での発見

ーー海外生活のご経験について教えていただけませんか?

長くなりそうですが・・・簡潔にまとめられるよう、がんばります!

高校3年生の時に交換留学でサウスダコタ州の田舎町(人口650人ほど!)に1年住んだ後、オクラホマの大学で建築を学び、学生として計7年間をアメリカで過ごしました。

卒業後は、新卒入社前の期間を使って3ヶ月台湾で中国語を勉強しました。日本での社会人生活4年間を経て、ワーホリ&仕事でオーストラリアに2年、仕事でマレーシアに3ヶ月、オランダ(ここでデザイナーに転向!)に4年間住みました。現在は、パートナーの出身地であるフランスの南西部に住んでいます。

オーストラリアのメルボルンのグラフィティ。日本では落書きはダメ!とルール違反とされるところが、こうもなると都市も大歓迎なアートになるという価値観の違いなどは面白い

子供の頃に転勤族だったからか、大人になってからもあちこちを転々とする癖がついているのかもしれません。でも、新しい国・土地に引っ越す度に新しい発見があったり、常識が覆されたり…デザインをする上でインスピレーションの源になっていると思います!

Canvaで働く決め手は、一緒に働く人

ーーどのような経緯で、Canvaのデザイナーになったのですか?

「イラストレーターになりたいのかも?」と思っていた時期に、アートやイラストをオンラインで売ってみた経験があるんです。その時に、プロフィールにロゴや背景画像が必要だったりして、Canvaで作ってみたことを覚えています。その当時(2016年頃かな?)は、まだCanvaも今のように使い勝手が良いわけではなく、正直「こんなもんかな〜」って思ってたんです。

時は経ち2021年。CanvaのリクルーターさんからLinkedInにメッセージが届いて、Zoomミーティングで話を聞いてみることに。人の良さがすごくにじみ出ている社風という印象を受け、興味をそそられました。試しに、5年ぶりにCanvaを使ってみたら、ものすごく使いやすくなってる・・・!って思って。イラスト素材や写真もこんなに充実!?とビックリ。そこから面接で会った人全てが「一緒に仕事したら楽しそう」と思わせられる人たちだったので、Canvaで働くことを決めました。丁寧で充実した研修(人を大切にしているのを再度実感)を経て、今に至ります。

完全リモートなので、隣に座って一緒に仕事はできないのですが、その分丁寧なコミュニケーションを大事にしている人がチームに集まったという感じで、離れているのに逆に和気あいあいなメッセージが飛び交っていて、やっぱ人の力だな〜としみじみ思います。

デザインの組み立て方

ーー アイディア、インスピレーションはどこから来ますか?

インスピレーションはありとあらゆるところからやって来ます。デザインによってですが、時にはコピー文章の中に見つかったり、時には偶然見つけた写真や素材から、「これだ!」と思ったり。

ただ大抵の場合、ふんわりと考えてるうちにピーン!と来るというよりは、デザインする内容の根本である5W1H(Who, What, When, Where, Why, How)を、地道に理解していく過程で、アイディアが浮んでくることがほとんどです。

その中でも、特に「誰向けのデザインなのか?」を考えることは忘れないように心掛けています。例えば、小学生からの母の日カードであれば子供っぽい手書きのフォントを探したり、ジャズのプレイリストカバーなら、ジャズ好きな人がどんなビジュアルにグッとくるかを考えます。

例:左は小学生が送りそうなもの、右は同じコピーだけど会社が使いそうな雰囲気。
例:左は、NY老舗ジャズバーのオーナーさんが選曲するということで、薄暗いバーでライブが行われるようなシーンをイメージ。同じコピーでも、右のデザインだとポップな雰囲気に。

デザイナーって、クリエイティブで大胆なアイディアをパッと思い浮かばせているような、華やかなイメージがあるかもしれないんですが、実は地道に、そして着実に問題解決をしていくことが多いんです。

配色を決める思考プロセス(実例)

ーー 作るのに苦労したテンプレートはありますか?

例えば、この母の日ポスターは、色の選定に苦労した一点です。

クリックでテンプレートが開きます

コンセプトはバシッとすぐに決まったんですよ。コピーのイタリアンを読んで、パスタが調理されてる絵を思い浮かべたんです。

それで「パスタに代わって、このフレーズたちが調理されてたら面白いな」って思って。テンプレートのアートディレクションがビビッド&ダイナミックだったんですが、あまりイラスト素材を多く使わないスタイルの要望だったので、シンプルな四角形にテキストを入れ、斜めにしてダイナミックに——でも、食べ物が調理されてるということがしっかり分かるようにしないといけないから、そこはフライパンとレモンを添えて最低限のイラスト素材を使って表現。

このレモンたちは以前から味があるな〜と思って保存しておいた素材なので、「やっと使える!」って感じでした。

テキストの位置や角度、フォントの大きさも、ユーザーさんがテキストボックス内の情報を変えるだけで済むように、かつ斜めでも読みやすいように・・・と考えたら自然と決まっていきました。

で。色はどうしよう?

色って選択肢が無限にあるので、決断力が試されます。アートディレクションに合わせてビビッドな色で、イタリアっぽいのは、明るくて濃い赤、黄、緑などですよね。

でもなんだか、コテコテな感じになっちゃって、安っぽくも見えちゃう気がします。ビストロ(実はフランス語で「居酒屋」)ではあるんですが、もうちょっと母の日っぽく、落ち着きがあってもいいのかも?ということで、ボックス全部を落ち着いた赤に統一。

そしたら、文字の周り全体が暗くて沈んじゃうな〜・・・ということで文字を白抜きに。

でも、今度は全体が浮いちゃって読みにくいかも・・・?やっぱり文字は黒で締まりを出して、ボックスの色を薄くすることでコントラストを出してみよう!

今度は、可愛らしい感じになっちゃいました(汗)。なので、キリッとした濃い赤と明るいオレンジを組み合わて交互に使ったら、全体的に暗くならずに、可愛くなりすぎずにすむかも!

いい感じ・・・?でも最後のひと推し。「母の日ランチ」は大事なタイトルだし、パッと目に入るようにしたいから、オレンジを背景ボックスにした方が黒字とのコントラストが出て読みやすいですよね。逆に、レストランの名前や期間は、母の日ランチにすでに興味を引かれた人への補足情報なので、濃い赤でコントラストが低くても大丈夫。

ということで、順番を逆にすると・・・

ふ〜っ。やっと決まりました!

ーー テンプレート作りのこだわりはありますか?

Canvaのテンプレ作りに関してのこだわりは、「他になさそうなデザインを作ろう!」と心掛けていることです。

私、他の人と違う「変わった」ものを好んだり、人気のある流行りに逆らいたくなる天邪鬼タイプなんです。

だから、他にも私みたいな人がいるだろうな、きっとその人たちは「ちょっと変わった」テンプレに喜ぶだろうなぁ、と考えて、メジャーなスタイルやトレンドから少し外したビジュアルにしてみたりします。

例えば、このネイビーの結婚式用三つ折りパンフレット。

クリックでテンプレートが開きます

結婚式用パンフレットに使われる色は、淡いピンクや白、パステルカラーなどが多いですよね。実は、デザインの指示書でも「薄めで明るい色を基調に」というような要望があったんですが、「一点くらいいよね?」と、ちょっと反抗的に(笑)、暗くてシックなものを作ってみちゃいました。

結婚式をあげるカップルの好みもそれぞれだろうし、きっとキレのあるかっこいめのスタイルが好きなカップルが、こういう「他とは違う」テンプレを選んでくれることを願って・・・!

白やパステル系の色が多い結婚式関係のテンプレート

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