笑ってはいけない癌告知。
先生に「癌でした。」と言われて
がーーん。
て言ったよ
いつか癌になったときには、
この言葉を言おうと
彼女は決めていたそうだ。
私の大切で大切で、
大好きな友達が乳がんになった。
ステージ4で
ワキのリンパ節や骨にも
転移しているらしい。
手術はできない。
というか
しても意味がないから
手術はしないそうだ。
それをLINEで聞いてから
たくさんたくさん泣いた。
癌、転移、手術しない
素人の知識ではそのことばは
彼女の命の期限が
もうそこまで来ている気がして
悲しいし怖いし不安だった。
会えるうちに会いたい。
でも彼女の身体とココロが大事だし、
どんな状況か分からない。
家族との時間が優先だよな
無理に誘うわけにもいかない。
癌だと言うことを聞いてから2ヶ月。
あーでもない、こーでもないと
ずっとずっと気にしていたけど
彼女から連絡があって
やっと会うことができた。
『会った瞬間号泣してハグしちゃうかも』
そんな風に変な緊張をしていたけれど
久々に会った彼女は普段通りだった。
どんな風に癌を見つけて
どんなことになって
どんな状況なのか？？
今まで気になっていた話を
順番に聞かせてもらう。
友達）
それでさ、いつか癌になったら
言おうと思っていたことがあるんだけど
私）
う、ん？
友達）
先生に「転移性の癌でした」と言われて
がーーん。と言ったんだ。
私）
はっっっ？！！！！！
ぶぶぶぶぶｂ・・・
（いや、笑っていいのか分からないんですけど）
友達）
先生は笑ってなかったけど
看護師さんは顔をふせてたから
多分笑ってたと思う。
（おいおいおい、淡々と進めていくなよ）
運転しながら話を聞いていた私は
身の危険を感じ、
淡々と話す友達の肩を
トントンと叩きながら話をさえぎる。
私）
ご、ごめん。
本当に大変な話だとは思うんだけどさ
笑っていいの？！ぶぶぶぶぶ
（もう、こらえきれてない）
さっき
＞久々に会った彼女は普段通りだった。
と書いたけど、
だった、だった。
そうだった。
彼女といると
数分に一回は笑わせられて
一日に二回は呼吸が止まりそうなくらい
爆笑させられるんだった。
友達）
大きい病院に通うことになったんだけどさ
夫もついてきてくれて
一緒に先生の説明を聞いたんだ。
私）
うん、うん。
友達）
先生が最後に何か聞きたいことは
ありますか？というので
これはぜひ聞いておこうと思ったんだけど…
私）
うん…
友達）
お酒は飲めるんですか？！
って。
私）
おい！！！！！！
で、先生はなんて？
友達）
先生苦笑いしてた。
夫にやめなさい！って言われた。
私）
よかったね、夫さんついてきてくれて。
まさかこんな
「夫さんついてきてくれてよかったね」が
あるとは思わなかった。
癌のお薬を飲んでいることも
教えてくれた。
でも肝機能の数値が
めちゃくちゃ上がってしまって
薬を止めないといけなくなったそう。
薬をやめたから心配だと
その日、初めて友達の弱音を
聞いた気がして身構えた。
大きい病院の先生に
この説明を聞いたときの話も
教えてくれた。
友達）
もしかしてと思う事があって
先生に聞いたんだ…
私）
うん。…
友達）
肝機能がこんなに上がったのは
先週食べた
二郎系ラーメンのせいですかね？！って。
私）
先生なんて？
友達）
じろう？じろう？
って分からなかったから
ラーメンです。
背あぶらが原因ですかね？
って言った。
…隣で聞いてた看護師さん
顔ふせてたから笑ってたと思う。
私）
別の意味で来てほしくない患者だろうね～
こんな調子でずっと話していたもんだから
私の感覚もだいぶ麻痺していたと思う。
美味しいごはんを食べながら
友達の「遺品整理しなきゃな～※1」
ということばに、私も
ああ～見られて恥ずかしいものから
先に片付けたら？
なんて、
結婚するために実家を出る友達との
会話なのかなというくらい
明るいあいづちをうっていた。
今思うとまわりのお客さんは
どんびきだったかもしれない。
（※1 生前整理のこと）
友達にたっぷり笑わされて
美味しいものをたくさん食べて
満たされたら
この2ヶ月の不安がすっとんだ。
と、思ったらあれから1週間経ったいま。
こんなに楽しい時間を浴びてしまったら
今度はまた彼女がいなくなったらという怖さに
びびってきた。
大丈夫と言ってたし、
変わらなかったじゃないか！
そう言い聞かせつつ
素人知識なもんで安心できない。
そして
癌のお薬が飲めてないことを思い出す。
がーーーん。
笑って心配して笑って言い聞かせて
忙しいぜ、んもう！
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