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耳石が動いた


ーー その時、耳石が動いた

何それ、プロジェクトX?


それは夜中に突然起こった。
寝返りをうった途端、猛烈なめまいに襲われた。

朝起きて、一歩踏み出した途端、まためまいに襲われてしゃがみ込み、椅子を掴んだ。

更年期にもめまいはあったが、あれはフワフワめまい。
今回のはグルグルめまい。

ネットで調べると、症状からいって耳の内部の耳石というものが剥がれて動くことが原因のめまい、というのに当てはまりそうだ。(良性発作性頭位めまい症)

ただ、めまいは脳の疾患が原因のこともある。
私は首の不調が10年来続いていて、少しずつ悪化している。そのことは常に不安材料で、今回のめまいも、首の不調から脳の血流が悪くなってるとかじゃないだろうかと、素人考えで不安になる。

幸い 、ゴールデンウィーク中のギリギリ平日だったので、すぐに受診することができた。
脳が心配なので、耳鼻科に行かずに、内科併設脳神経外科のクリニックが近所にあるのでそこに行った。

めまいの症状と首の不安を説明すると、見てみましょう、と言って、まるで外科がレントゲンを撮るような滑らかさでMRIに案内された。

えっ、今?!
確かにそこは脳神経外科で自前でMRIを持っているのだが、今すぐ?!
心の準備ができてない。

MRIは数年前にも一度やったことがある。閃輝暗点が頻発するのを不安に思って受けたのだが、結果なんともなかった。

経験者はご存知の通り、MRIは工事現場でヘビメタを聴くような音と振動に15分間微動だにせず耐える苦行である。できればやりたくないが流れにのって受けた。

結果、なんともなかった。
脳はまったく綺麗で首も問題なし。
こんなに何ともないのにめまいなんてねぇ、と先生はチョッピリ残念そうだ。耳のほうですかね。耳石が動いたんですかね。めまいの薬は出しましょうか?出しますね。治ったら飲まなくていいですからね。

とりあえず脳が無事でよかった。
だがMRIでめまいは悪化した。なんでも検査ってキツくてつらい。

家に帰ってからもう動けない状態で倒れ込んだ。薬を飲みたいが食欲がない。ビスケット1枚咀嚼してなんとか薬を飲む。気持ち悪くてえずいてしまうが、せっかく飲んだ薬を吐いてなるものかと、必死に抑え込む。
めまいの薬、錠剤ひとつかと思ったら4種類もあってそのうち1つは一回2錠。

ふと思い出す、子どもが小さかった頃、内科や耳鼻科にしょっちゅうお世話になった。耳鼻科の先生が薬大好きで、一番多い時で大粒の錠剤を2つに割った状態で数えると9粒あったことがある。これを子どもに飲ませる方も必死飲む方も大変であった。
薬多すぎる。

丸一日寝込んで、だいぶ回復してきた。
ずっと寝ている弊害も大きいので、今日は身体を横たえないようにしよう。

体調を崩すと、あっという間に部屋が散らかるものだなと思った。脱いだ服をハンガーにかけたり畳んだり洗濯籠に入れたり、そんなこともできなくなって床に放置される。
いつか独居老人になった時に、汚部屋にならないようにしなくては。

この魂の器として、経年劣化著しい身体にも、もう少し頑張ってもらって、動けるうちに行きたいところへ行き、会いたい人に会って生きていこうと、あらためて思ったことだった。


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