ライブ告知4

初めて歌を作ったのはいつだろう。

あれは多分5年生の時。親戚の知人が歌を作ってコンテストに出ると聞いて、大学生の従姉と二人で応援に行った。今にして思えばあれはポプコンで、あそこは渋谷のエピキュラスだった。

お目当ての人を待つ間、初めて聴くバンドの生演奏に「このままでは耳が潰れる。早く帰らなくちゃ」と思っていた。子供が来てはいけない場所に足を踏み入れてしまったという罪悪感もあった。

「次みたいよ」従姉が言った。よかった、これを聴いたら帰れる。ホッとしていると、舞台の袖からまず外国人が現れた。そしてその後ろからゾロゾロと、私と同じ年位の子供たちが出てくるではないか。何が始まるのだろう。

♪リンゴの木にかくれんば 大人は騒いでも聴こえないよ 魔法の国へ飛んで行こう 誰も知らない所へ♪

C.W.ニコルというその外国人の歌に合わせて子供達がコーラスを入れる。あ、これなら聴ける。これなら歌える。ずうずうしいことに、私は客席で一緒に歌っていた。

「なんて楽しいんだろう。私もあそこで歌いたいな」そう思ったのがきっかけだったような気がする。それまでも詩や物語は作っていたので、帰宅するやいなやその創作ノートを広げ、好き勝手にメロディーを付けて歌ってみたことを覚えている。

あの時のワクワクする気持ちで、日曜日、ステージに立てたらいいな。

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