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“Another Day / Paul McCartney”

[RADIO DAYZ] 1971 あの頃ラジオから流れていた懐かしい名曲を紹介します。

1970年4月の衝撃のビートルズ解散宣言の一週間後、関係者の反対を押し切るように、ビートルズ名義でのラストアルバム『Let It Be』よりも先にポール・マッカートニー『MaCartny』をリリースします。

これは大騒動だったようですが、当時私はそんな騒ぎすらまるで知らない情弱な小学生でした(汗)。

このアルバムをポールはどんな意図で制作しリリースしたのでしょうか。何せ、確かにソロの作品集ではありますが、いろいろな解釈があるかとは思いますが、私には単なるデモ音源集にしか聞こえなません。

それをそんなタイミングで何故・・・とは言え、あの「Let It Be」「The Long and Winding Road」に匹敵する超名曲「Maybe I'm Amazed」が収められているのは、ポールの凄いところではあります。


そしてジョージやジョンのソロアルバムが次々とリリースされる数ヶ月後の1971年2月に、ポールにとって本格的なソロ活動が始動します。

セルフ・プロデュースとして初のアルバムとなる『Ram』(’71年5月リリース)と同時にニューヨークで録音され、先行シングル盤として「アナザー・デイ」(当時はアルバム『ラム』には未収録) がリリースされました。

孤独な女性の日常や職場での様子を淡々と歌う内容に、当時の評論家たちには「平凡だ」と評判は良く無かったようです。確かにジョージの宗教性やジョンの社会性に富んだメッセージと比較すると、そう感じるのかもしれません。しかしセルフ・プロデュースに加えてほとんどのパートをポール自身が担っていることを考えると、ビートルズ時代に発揮していたミュージシャン・シップが、実はポール自身のキャパシティからすれば、他のメンバーへの遠慮??もあてか、時はまだまだ余裕のよっちゃんだった(死語ですね)というのが、この1曲を聞けば明らかだと思うのですけどね。評価するポイントがズレているなと感じます。

歌詞にしても、平凡な日常を綴る裏に見え隠れする心の裏側を探れば、それだけでアルバムが作れるほど実は起伏に富んだ感情が潜んでいるはずです。さらに音楽的にもメロディライン複雑に絡んで行ったり来たりするベース・ラインやコーラス・ワークの妙など、プロデュース&アレンジ能力は流石の一言です。個人的にこの曲大好きです。

こうして「ビートルズ」という枠を取り払ったポールの才能は、この後はまるでビッグバンのように一気に拡大膨張します。71年後半からはWingsという新たなレギュラーメンバーも確保できて、怒涛のような作品ラッシュになります。その辺りは別記事で紹介したいと思います。

ちなみにこの曲のクレジットは「Mr. & Mrs. MaCartney」ということで、従来の版権を管理していた人達の反感を買ったと言われています。何せ元ビートルズですから、エベレスト級のドル箱です。それを新たなクレジットで制作されると、版権で商売している側からすれば、その獲得に大騒ぎになりますよね。これだから大人の世界は嫌いです(笑)。

そしてこの『アナザー…』も当時ラジオでもよく流れていました。本当によく聴いていました。ただよく考えると、ジョージやジョンはアルバムをきちっとリリースしていた割には、それほど大騒ぎしていたような記憶はありません。当時のラジオDJにとっては、既にビートルズは遺物になってしまったのでしょうか。

きっと、元ビートルズのメンバー以外にも、魅力的な作品が溢れていたということなのでしょうね。

兎にも角にもシングルとはいえ、アルバム『McCartney』でのマイナス評価を埋めて余りあるうえに、次作への期待に溢れる作品を聞かせてくれたポール・・・ホントさすがでした。

はい、お察しの通り私はポール派です。とはいえカップリング曲は好みではありません。是々非々ということでお願いします(笑)。


夢中になってラジオを聞いていた頃の思い出をこちらでも語っています。

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