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”My Sweet Lord / George Harrison” 

[RADIO DAYZ] 1970 あの頃ラジオから流れていた懐かしい名曲を紹介します。※一部記事を追加しました。

1970年4月の衝撃のビートルズ解散宣言による騒動が収まらない中で、4人の中で早々に本格的なソロアルバムをリリースしたのは、何とジョージ・ハリスンでした。ちなみにバンド解散宣言 (4/10)の一週間後、最速でアルバムをリリース(4/17)したのはポール・マッカートニー『MaCartney』ですが、これはアルバムというには名ばかりのデモ音源集だと思っています。ただしそんな中でも超名曲が収められているのがポールの凄いところですが・・・。

ちなみに解散宣言の前月(3/27)に、他のメンバーを差し押さえて早々にソロアルバムをリリースしたのはリンゴ・スターでした。自分の母親が大好きだったというスタンダードナンバーを、ビートルズのラストアルバム『Let It Be』の制作に携わっていなかったジョージ・マーティンをプロデューサーに起用して制作されました。全てカバーということで「本格的」なソロアルバムかというと微妙ですが、そもそもビートルズの中でもソロナンバーが少ないリンゴにしてみると、これまた微妙で・・・。いずれにしても『Abbey Road』の制作を終えたあたりから、4人はもう完全にバラバラだったということですね。

そんな1970年11月にジョージ初のソロアルバムにしてLP3枚組という超大作 (3枚目はジャム・セッションの記録なので実質は2枚組ですが)『All Things Must Pass』がリリースされます。その先行シングルとしてUSで同月リリースされたのが、この「マイ・スィート・ロード」です。

当時ヒンドゥー教に傾倒していたジョージの信条を歌っています。「ハレルヤ」と連呼しているあたりで宗教っぽいなとは感じていましたが、英語に精通していない者には関係ありませんね(苦笑)。この曲は1969年にヒットしたゴスペルナンバーに触発されて作ったそうです。

このジョージのバージョンは実はセルフカバーで、先に70年9月にリリースされた二代目5人目のビートルズ、ビリー・ブレストンのソロアルバム『エンカレッジング・ワーズ』に提供されています。

もろにゴスペル調のアレンジですが、これはこれで味わい深く良い出来です。

正直、ビートルズの中でジョージの曲は所詮三番手。アルバムに2曲も収録されていれば上出来という位置づけでしたが、ツートップのジョンとポールを差し置いて、なぜ先に本格的なソロアルバムをリリースできたのか・・・普通に考えると不思議ですよね。

詳細は別記事(いつ公開できるやら)に譲りますが、『Let It Be』、『Abby Road』のリハーサルの最中、運がよければアルバムに収録できるかもと、ジョージはひたすらオリジナル曲のリハーサルをしている記録が残っています。さらには『Let It Be』を制作中のフィル・スペクターにソロアルバムのプロデュースを依頼したのも、バンドとは別に、こうした未発表曲の制作も視野に入れた二足の草鞋を履きやすくしていたのかなとも思ってしまいます。

翌71年に世界各国でシングル盤がリリースされると、当然のように大ヒットを記録します。US・UKではチャート1位、日本でも4位を獲得します。


ところがソロになったジョージは早速有名税を払わされることになります。この「マイ・スィート…」に盗作疑惑が持ち上がります。1963年にリリースされたゴスペル・コーラス・グループのシフォンズのヒット曲「He’s So Fine (いかした彼)」と似ているというもの。著作権侵害でジョージは訴追されてしまいます。

この音源聴くかぎり個人的にはアウトかなと。

裁判は10年にも及び、結果ジョージ側が敗訴し、約60万ドルの賠償金を支払うことになります。ところがその裏には驚愕の事実があったそうです。初代5人目のビートルズのブライアン・エプスタインが亡くなった後にマネージャーをしていたアレン・クラインが、あろうことかこの「いかした彼」の版権を買い取り、ジョージに賠償請求したというのです。

ジョージは「マイ・スィート…」は、もう誰かにくれてやりたいとこぼしていたそうです。魑魅魍魎が跋扈するエンタメ業界・・・恐るべしです。

当時この曲が洋楽ベスト10番組で、何週にもわたってランクインしていたのを覚えています。

ただ正直にいうと、当時は私はまだ本家?のビートルズの楽曲すらまともに聞いたことありませんでした(大汗)。ベスト盤を除いて、私がビートルズのアルバムをまともに聞いたのは、実は既に彼らが解散宣言した後にリリースされた『Let It Be』でした。しかもLP盤で「Let It Be」が収められているA面ラストに至る前に眠くなってしまう始末(><)。懐かしすぎる思い出です。・・・しかし、その後ほんの数年で彼らの音楽に夢中になってしまうのですから、不思議なものです。


さて、この『All Things…』のアルバムからもう一曲、71年2月にシングルカットされた「What is Life」もポップでキャッチーなメロディです。人によっては「遂にジョージが覚醒した」と、何とも失礼というか的を得ているというか、まさにビートルズ時代には無かったセンスを感じさせてくれるナンバーです。

こうしてアフター・ザ・ビートルズの時代が動き出し、同時に私にとってのポップスの黄金年代の幕開けとなります・・・良い時代でした。


夢中になってラジオを聞いていた頃の思い出をこちらでも語っています。

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