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認知症とガンと父 その②

先日、入院している父のお見舞いに行きました
父は「お父さん」と私が呼び掛けたので
娘だとは認識したようですが、私の名前は言えませんでした
けれど、私と話す間ソワソワするわけでもなく
私が差し出すお菓子や飲み物を素直に受け取り
「うん、うまい」と口にして微笑んでました

帰り際、ナースステーションに立ち寄り
「父の現状と今後のことについて医師とお話がしたい」
とお願いし、母にも病院から連絡があったら一緒に行くから、
と伝えておきました

4月末に、連絡があり、本日面談の調整をしていただきました
面談時間に病院へ出向き、ナースステーションに面談の旨を申し出ました
しばらくナースステーション近くのソファで座って待っていると
主治医と名乗る医師が声をかけてきました

「Aさんのご家族さんですね。お待たせしました。お話はAさんも一緒にこちらで…」
前を歩く医師についていくと、父の病室に入っていきました

父は4人部屋にいます
4人部屋の病室は満床です

「Aさん、具合はどうですか?ちょっとお腹を見せてもらえますか?」
医師は父に声をかけ、病衣をめくって父の腹部をみました
「赤みもだいぶ枯れて落ち着いてきましたね」
医師がそういうと、父は「そうですね、古いのが下から出てきます」
と答えました

(どういうことかな?と思ったのですが、赤みが落ち着いた皮膚は乾燥して白く浮き上がって剥げ落ちているので、その様子を表現したのかな、と受け止めました)

父の現状を見たので、今度は父と一緒に別室に行って話をするんだろうと思っていました

ところが…

医師はそのまま4人部屋の父のベッドサイドで
父の病状と今後の見通し、治療の方向性を話し始めたのです
同室の患者さんとはカーテンで仕切られているとはいえ
周囲の声はダダ洩れです

医師の説明を聴く間も、隣のベッドで話している声が聞こえてきます
父の向かい側の人がナースコールで看護師を呼んでいます
看護師がひとり、ふたりと入ってきます
私は父の頭側、父の真正面には母、父の足元側に医師
3人とも立ったまま、父はベッドに腰かけています
周囲の雑音に消され医師の声は遠くて聞き取りにくかったです

I.Cって、こんなところで・・・ですか?

私は、周囲の雑音が気になって、医師の言葉に集中できませんでした
病状のこと、今後のこと、そんなプライベートなことを
プライバシーガン無視の4人部屋のベッドサイドでって…

一応、医師は
・今回の父の皮膚症状は、重症度グレード3~4にあたり、抗がん剤治療中止または変更が考えられる
・副作用としてこれだけの反応が見られているので、それだけ抗がん剤が効いているとも評価できる
・実際にこれまでのCT画像から、ガン細胞の縮小が認められている
・今回は皮膚症状を抑えるためにステロイド療法をしているため、適切な量を正しく投与する必要がある
・現時点で皮膚症状は緩和傾向にあるので、ステロイドも徐々に減量していく
・抗がん剤によるものか元々の傾向か、甲状腺の機能低下が認められるため、内分泌の専門医に相談している
・連休明けの採血結果で、よければその翌日に退院できるよう調整していく
・今後については、また外来で、治療を継続するか薬を変更するか、治療を中断してまた悪化したときに対応するか、そういったことを話し合っていく
といったことを説明しました

※ちなみに、抗がん剤投与による有害事象の重症度は以下を参照してください
有害事象は『治療期間中に起きたあらゆる好ましくないできごとを指し、当該治 療との因果関係を問わない。つまり、因果関係があるものとないもの の両⽅を含む。 「有害事象」「副作⽤」「毒性」は同⼀のことを⽰す⽤語ではない。』と説明されています

https://www.nihonkai-hos.jp/hospital/pdf/hokenyakkyoku/ctcae.pdfより
有害事象説明文もこちらから引用


👇こちらを見ると、グレード4ではなくグレード3なんだな、とわかりました

https://www.nihonkai-hos.jp/hospital/pdf/hokenyakkyoku/ctcae.pdfより


母は、医師の説明に、「もう、こんなになるなら治療はいいです」
と言っていたけど、医師は「また外来のフォローの時に」と言いました

外来のフォローは、今日の医師とは違う医師が主治医になるそうです
(多分、入院中は若い医師が主治医となり、外来フォローの主治医はその若い医師の指導医的な立場で、フォローしているんだと思います)
母は、「またあの先生か…」とつぶやいていました

病室での説明を終え、医師は「それでは」と退室しました

母と私は医師を見送り、父とほんのしばらくの間家族の時間を過ごしました
(面会時間が30分と決められているため、病室にそう長くいるわけにはいかなかったので)

父に再来の約束をし、母を連れて帰宅しましたが
帰宅後もなんとなくモヤモヤした感じが残っていました

なぜ、この話を病室でしなければならなかったの?

他の患者さんはどうせ聞いていないと思ったの?
別室を用意するまでもない話と思ったからなの?

私は元医療従事者ですが、私が勤務していたころは
大部屋ではプライバシーに関わることは話さないようにしていました
場所を変えて声の大きさにも注意して
他の患者家族に聞こえないように配慮していました
それが当たり前だと思っていたのですが…

患者家族の立場になって、今日のこの医師の説明は
どうもスッキリしないでモヤモヤが残ったままです

医師と患者家族の信頼関係って、ほんとこういう些細なことで
失われたりするんだろうなぁ…





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