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昭和初期 苛酷な運命に翻弄された母と子の物語

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今のように障害を持って生まれた子供を大切に育てる環境は無かった時代 されど今も昔も母は子を思う気持ちは変わらない 究極の母子愛とは
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母子草 第一章

母子草 第一章

母は子を子は母を思いあう
究極の愛のかたち
第一章 土竜の家

 私は暗がりの中 人家の灯りを頼り
に着物がはだけるのも構わず 死に物狂いで走った。そのまま玄関に倒れ込み 声を限りに叫んだ
「お父様 お母様 高志とはぐれてしまいました どこを探しても暗くて見当もつきません どうか今すぐ探しに行って下さい」
私は泣きながら 母の胸元へすがりついた。母は私の背中を撫でながら
「落ち着きなされ 高志はす

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母子草 第三章

母子草 第三章

早春賦

明け方 駅に着いた 街は既に動き出していた 朝日が目に痛い 私は伏し目がちに 家へと急いだ。店は開店準備に忙しくしていた。イネが私を目敏く見つけ 私を母の寝所に案内した。寝屋は昔のままで 薄暗く湿り気を帯びたままであった。
襖を開け中をうかがうと 母は深とした部屋の中で 細い息をしていた。
気配に気が付いたのか 私に目をやり一瞬目に光がさしたように見えた。
蝋人形のような血の気を失った手

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