Kosuke Inudo

塾講師 生徒たちはカバンの中にテキストとノートと筆箱の他に、世の中を詰めて通っていると…

Kosuke Inudo

塾講師 生徒たちはカバンの中にテキストとノートと筆箱の他に、世の中を詰めて通っていると考えています。

マガジン

  • 子どもたちの変化を考える

    学習塾で20年余り指導してきました。2008年頃からの小中高生の生活や考え方の変化を、実際の触れ合いとともに書いています。

最近の記事

子どもたちの変化を考える その6

2016年の中3は移転前の教室から移ってきた生徒が8人、そして移転した教室の市内から通う生徒が5人の構成だった。距離にして6㎞だが鉄道路線は異なる。その1、その2で働いていた2つの街の中間地点にあたる場所に教室を構えた。 移転先で入ってきた生徒たちには少し懐かしい雰囲気があった。私のような大人にあまり話しかけてこない。親にはそれなりに反抗的。まあそれでも「受験学年だからこの1年は勉強をするように腹を括るか」といった雰囲気があった。 一人の生徒が久しぶりに問題を起こしてくれ

    • 長男と妻が頑張ってきたスポーツ少年団

      ある方に「息子さんをスポーツ少年団に入れて、親として塾運営者としてみてどう感じましたか?」とXで質問された。これに対しては到底140字で返すことができない。長男が5年間頑張ってきた証を残すのも悪くない。アンサーとして非常に長文であるが、長男のスポ少(野球)を通じてのアレコレを書いていくことにする。 小1の4月のことだった。前の年の秋くらいから急激に中日ドラゴンズを好きになっていた長男を妻がナゴヤドームに連れて行った。そこで当時の森監督やビシエドが載ったクリアファイルを買って

      • 子どもたちの変化を考える その5

        2014年の頃の話で一つ思い出したことを。当時小学部に2人の兄妹が通っていた。彼らは4人兄弟でさらに下に2人の弟妹がいた。大抵お母様が、そして時々お父様がヴェルファイアで送ってきた。 教室の外で生徒たちが来るのを待っていたのだが、いつもその兄弟たちが車内で暴れているのが見えた。顔よりも逆立ち状態になって足が見えていることが多かったくらい暴れていた。 「本当はチャイルドシートに座っとらなあかんのだよなあ」と当時一緒に働いていた10歳上の講師が私に話しかけてきた。「まあでも無理だ

        • 映画「ミッシング」レビュー(ネタバレ有り)

          中1の長男が絶賛反抗期中である。最近反抗期が激しい子が減ったのは間違いないが、我が子には相当激しいものがきてしまった。機嫌悪そうにする時間が長く、妻や弟に悪態をつくことも多い。許される限り外出しては友人と遊んでいる。公園で話すかサッカーをするかが多いようで3回に1回はスマホを忘れていく。それでいて友人からの評価はそれなりに高いので、私がある種願っていた「男子の成長期」が到来したのであろう。 このタイミングで私があれこれ頭ごなしに言ってもあまり効果は無いだろう。心配しないわけ

        子どもたちの変化を考える その6

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        • 子どもたちの変化を考える
          6本

        記事

          私が義務教育に求めるもの

          今日の記事がnoteを始めた主題である。これから数多くの記事を出していきたいと意気込んでいるが、その根底にあるのがここで書く思想である。まあしばらく経って多少変わるかもしれないが、2024年現在の自分の気持ちを纏めておく。 小中学校に求められているものは何だろうか?大きな括りでいくつか挙げてみる。 ① 各教科における能力を上げる ② 人間関係をベースにした社会性を育む ③ 人権教育やインクルーシブ教育を通じて現代的な規範を身に付ける ④ 親が管理できない時間に子の安全を保障

          私が義務教育に求めるもの

          子どもたちの変化を考える その4

          2011年の6月に独立開業をした。場所はここまでで書いた2つの教場からそれぞれ10㎞程度離れた場所である。今までとは異なる鉄道路線の工業都市であった。 開業して5カ月ほど、5人の中学3年生が集まった。非常に大人しいタイプが揃った。授業の前後や休憩中にもほぼ会話が無い。開業したての塾の文化が自然とそういう空気になったのかもしれない。 ただ学力レベルの観点からは今までで経験をしたことのない状況だった。当時は2つの中学校から塾生が通っていたが、5教科の合計点で400点以上の生徒

          子どもたちの変化を考える その4

          現在適齢期の生徒たちのこと

          子どもたちの変化を考える その1|Kosuke Inudo (note.com) 子どもたちの変化を考える その2|Kosuke Inudo (note.com) 子どもたちの変化を考える その3|Kosuke Inudo (note.com) ここまで指導してきた生徒たちのことについて3回書いてきた。登場した生徒たちは現在26~31歳である。彼らの学生時代はゆとり教育真っただ中で難解な内容の授業を行ったことが少ない。それでも「格差社会」であるとか「二極化」という言葉が

          現在適齢期の生徒たちのこと

          子どもたちの変化を考える その3

          子どもたちの変化を考える その1|Kosuke Inudo (note.com) 子どもたちの変化を考える その2|Kosuke Inudo (note.com) その2で書いた世代の少し後、2010年~12年の生徒についてこちらでは書いていくことにする。全て中学世代のエピソードである。 Fくん。オシャレで色気のある少年だった。勉強は嫌いだが話す内容は大人びていた。押さえつけられることが嫌いで教師や親とよくぶつかっていた。部活も顧問とぶつかったようであまり行っていなかっ

          子どもたちの変化を考える その3

          子どもたちの変化を考える その2

          子どもたちの変化を考える その1|Kosuke Inudo (note.com) 2010年秋の話を前回書いた。今日はその少し前である2007年から2009年頃にほぼ毎日指導していたN校の生徒たちの話を書いていくことにする。ちなみにこちらの教場は私が育った地域にあった。私の後輩にあたる小中高生が数人通っていた。したがって地域の空気感は何となくわかっている場所であった。 本校の方との違いは生徒たちのトラブルに暴力が多かったことだろう。2007年に開校して40人くらいがキャパ

          子どもたちの変化を考える その2

          子どもたちの変化を考える その1

          今まで塾のブログを時々書いてきた。そして気が付いた。自分は長い文章を書きたいのだと。意見を発信したいのだと。教室内部のことだけではなく、子どもたちを取り巻く社会の状況を分析したいのだと。業務連絡とかちょっとした勉強のコツとかを書こうとしても、どうしてもそこに大量の思いや考えを込めてしまう。意見や思いはnoteの方に移して、従来の塾ブログは業務連絡や事実の羅列や記録に特化しようと決めた。 生徒が教室に持ってくるカバンの中に、テキストやノートや筆記具だけではなく「世の中の空気」

          子どもたちの変化を考える その1