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魔女と科学者のハーフ

助産師の大先輩の講義を受けて、助産師は魔女でもあり、
科学者達とも意見を交わす必要があるから、魔法のような事ばかり言ってもいられないでしょ。
だから、助産師は魔女と科学者のハーフなのよ。

と教えてもらい、しっくりきた週末を送った。
命が誕生する現場にいると、不思議なことが起きる事がある。
分娩台は、生まれて来る場所でもあり、
生まれて来れない子の死産の場所でもある。
そんな、命の入り口に常に傍にいると、助産師達は、常に祈っている。
無事に生まれますように。と。
元気に産まれるように、お母さん達を誘導していく。
祈りや思いは光よりも早く伝わる

力を抜くように伝えたり、腰をさすったり。
叱咤激励が効く人もいれば、黙ってそばで支え続ければ良い人もいる。
お母さんになろうとしている人の、その時に求めている事を
瞬時に汲み取るのも助産師の仕事だ。
分娩の現場だけでなく、妊娠前から産める身体作りをしていく事も
大切である。なぜなら、日常生活が機械化され、体を動かさなく
なってきているのにも関わらず、出産だけ自然にやれ!!というのは
難しくなってきているからだ。

今、現在、私は分娩介助から少し離れて、地域に出て仕事を始めた。
新しい土地に移り、まだ1年も経たないから、地域のことを知ったり、
新しい人たちの関わりで学んでいる所だ。
マタニティヨガや妊活ヨガ、産後ヨガなど、心と身体のケアを
一緒に行うようにしている。

不思議と、こちらに来てから2回も妊娠した。
新しい土地で、子育てをしていけたら、更に学びが深まり、
友達が増えるだろうなぁ・・・と喜びを噛み締めていたのも束の間、
どちらも5週と7週で自然流産した。
これで、合わせて4回目の流産だった。

私は、いつも妊娠したら、夢を見る。
息子の時は白い服を着た人が、男の子の赤ちゃんを手渡してくれた。
確実に生まれて来ることを確信できた。
今、その子は7歳になった。

それから、幾度となく、化学流産(胎嚢を確認できずに生理として出血する)
も繰り返した。その度に夢を見た。
双子の女の子の夢。3〜4歳の女の子たちが私の周りを楽しそうに遊んでいた。
夢だけでなく、12個入りの卵パックの中に3回連続で二つ黄身が入っているのを見ると、あぁ、双子が来てくれたんだ。と思っていた。
だが、その子達は、一瞬で空に戻っていった。

夢の中にダウン症の女の子が来てくれたこともあった。
その子はお腹の中に止まったまま、成長していないことが分かったので、
手術して空に返すことになった。

受精卵が分割していく夢も見たことがある。
子どもが欲しすぎて、こんな映像まで見るようになったのか・・・と
思ったが、実際に時期を考えると、あれは、リアル映像だったと気づく。

3番目の子は、夢ではなく、玄関の電気をチカチカ付けたり、消したり
することでアピールしていた。7歳の息子が怖がって一人でトイレに
行けなくなった。5週目に入り、急にお腹が痛くなり、病院に行くと
既に出てこようとしていた。ダラダラと生理のように出血し
最後の塊が出て、玄関の電気はなが〜く勝手に付いたと思ったら、消えた。
それから、勝手に電気が付くことは無くなった。
何を知らせに来てくれたのかは、分からないままだった。
助産師の友達に言うと、赤ちゃんには、そこまでの力はないから、
私に付いている守護霊様が気をつけなよ!って教えてくれたんじゃない?
と言ってくれた。

そして、最近の流産。
初期から出血は続いていた。
胎嚢は見えた。次は心拍の確認だったが、心拍は見えなかった。
先生は、もう1週待ってみよう。と言ってくれた。
ムカムカのつわり、強度の眠気は続いていた。
一緒に旅行やキャンプに行った。
旅行の帰り、陣痛のようなお腹の痛みが2時間続いた。
あぁ、ダメなんだ。と気づく。
この痛みが来たら、出てくる。
それは、経験的に分かっていた。
駐車場に付いて、7歳の息子がふざけた。
「危ない!!」と怒鳴った瞬間、出たのが分かった。

これだけ、流産を繰り返すと言うことは、不妊症ではなく、
「不育症」だから、遺伝子検査をしてみましょう。と言われていた。
心拍がなければ、手術で出す予定だった。自分から出てきてくれた。

この子の時は、子どもの夢は見なかった。
ただ、私自身が呼吸器に乗っている夢を見た。

不妊症や不育症で苦労した人は、分娩異常を起こす確率は高いことが
データとして出てきた。どうして、この人に限って、こんなに辛い目に
合わないと行けないんだろう・・・。
という方々が多いというのは肌で感じていたが、データでも明らかになってきた。
昔だったら、妊娠できなかった人たちが、医療・科学が発達したことで
妊娠・出産できるようになってきた。
昔だったら、妊娠・出産で命を落としていた人たちが、
医療の発達のおかげで命を落とさなくなってきた。

ただ、命を落としたら目立つのだけれど、(日本では、年間で数人のみ)
寝たきりになる人は今、現在も存在している。
ここまで続くと、実際に、私は子どもが欲しいのか分からなくなってくる。
授かり物だから、不妊治療は疲れて辞めたから、自然に来てくれたら
嬉しいと思っていたけれど、来てくれても、育てる力が私にないならば、
医療の力を借りて、継続させるのか否かの判断が求められる。

魔女と科学者のハーフは魔法が使える訳ではなく、
データと祈りの狭間で悩み苦しんでいる。

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