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ネガティブ人間、バーに通う【エピソード3 女子会】

「連絡先を預かっているんです。」
行きつけのバー「B」のマスターから渡されたのは、
「杏香さん(私のこと)へ、連絡ください。電話番号 〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇」
と書かれた一枚の紙だった。
マスター経由でもらった1枚の紙から始まる物語ー。

どうも。私は、アラサー既婚OL、精神系の病気持ち、趣味は転職活動とチャット、特技は特になしのネガティブ人間だ。

そんな人間とバーを通した不思議な繋がりを今回書いていきたいと思う。

その紙はエピソード1で紹介したバー「B」にて巡り合った美女、京香さんと一緒にいた女性から、マスター経由で私宛に連絡をくれたものだった。
メモからは
「いつかは連絡をしてくれるだろう」
という確信が感じられた。
こんな繋がりがあるなんて、と思ったものだった。
私は早速連絡をした。
「杏香です。ご連絡ありがとうございます。」
その連絡は長く続き、京香さんとメモをくれた女性(仮に夏希さんと呼ぼう)と一緒に女子会をすることになった。
私はしみじみバーが出会いを繋げてくれている、と思った。

女子会当日集まったのは、謎の美女 京香さん、連絡をくれた兼業主婦 夏希さん、同じ年ごろのバリキャリ女子 みお(仮名)ちゃんだった。みおちゃんと私は初対面だ。
みおちゃんも私と同じバー「B」で1人で飲んでいて、京香さんや夏希さんたちに話しかけられたようだった。
夏希さんが無邪気に
「杏香ちゃんと同じくらいの子がいたから、声かけちゃった」
と言った。

女子会は大盛り上がり。初めて行った女子会の場所は、おしゃれな焼き肉屋さん。
1人暮らしでそんなおしゃれなところに行ったことのない私にとっては、全てが初めての経験だった。
そこで私は街コンで出会ったひどい男性の話をしまくったのを覚えている。
とにかくすべてをぶちまけたかった。
二次会はもちろんバー「B」。そこで緊張してうまく話せなかったことを今でも覚えている。

それからたびたび女子会を開くようになった。
おしゃれな中華屋さん、和食屋さん、薬膳料理屋さん等など。
和食屋さんでは、私は初めて日本酒を飲んだ。あまりの美味しさに、下戸だということも忘れて飲みすぎて、トイレで吐いたことを覚えている。
日本酒はするするいってしまうのだ。
京香さんたちがとても心配してくれて、ありがたかった。

ちなみにその夜は花火大会があり、浴衣を着た男女が帰りの電車に沢山乗っていた。
ひとり身の私は「リア充爆発しろ」と思いながら、帰途に着いたのだった。
この時まだ飲み友達だった夫は、そんな私をLINE経由でとても心配してくれたのを覚えている。

みおちゃんとも二人でたびたび会うようになった。
ある日はみおちゃんと2人で立ち飲み居酒屋に行った。
そこで私の上司くらいのおじ様方に
「いい経験をしてるねえ」
と言われたものだった。
確かに社会勉強としては、いい経験をしているのかもしれなかった。
こんな経験1人では、勇気がなくて到底できない。
友達といるからこそできるのだ。

女子会は数年間続いたが、私の結婚やら、みおちゃんの留学やらで自然消滅してしまった。
でも年に一度は必ず全員に連絡を取っている。
それは年始の挨拶。
いつかまた会える気がするから、「私を忘れないで」、という意味でも連絡を取っている。
今年こそは必ず会うぞ!と思いつつ、なかなか会えないのが現実だが、いつかきっとまた女子会ができると信じている。

最後に今回の話をテーマにしたカクテルを紹介しよう。
今回はウイスキーフロート。
ウイスキーフロートは氷と水が入ったグラスに、上からウイスキーを入れたものだ。
ウイスキーと水が見事に分離して美しい見た目が特徴的だ。
カクテル言葉は「楽しい関係」。
まさに私たちの関係に、ピッタリのカクテルではないだろうか。


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