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陰謀論基礎問題50(解答編⑤:宇宙・UFO・宇宙人編)

解説:宇宙・UFO・宇宙人編

問34. アポロ月面着陸陰謀論では、手前に写るはずの「あるもの」が被写体の後ろにあるように見える写真があるため、捏造の証拠と言われることがあります。その「あるもの」とは?
答. 十字線

陰謀論の知名度アンケートを取ったら、恐らくアポロ月面着陸虚構説はトップ5に入るだろう。この説が陰謀論の例として紹介されることは多く、テレビ番組でも何度となくネタにされている。「ディズニーがスポンサーになり、アーサー・C・クラークがシナリオを書き、スタンリー・キューブリックが監督した」と固有名詞を出してもっともらしく語られることも多い。

この陰謀論は早い段階から登場していたようで、1976年にはロケットダイン社のテクニカルライターとして働いていたビル・ケイシングが、『We Never Went to the Moon: America's Thirty Billion Dollar Swindle』を出版していた(アポロ11号の月面着陸が行われたのは1969年、アポロ計画が終結したのは1972年)。

1977〜78年には「火星探査の様子を地球のセットで撮影し、有人着陸が行われたように見せかける」という、アポロ月面着陸虚構説の舞台を火星に置き換えたような内容の映画『カプリコン・1』が公開され、これも流行に寄与したと言われる。

そして21世紀に入ってからも、FOXが2001年に『Conspiracy Theory: Did We Land on the Moon?』というドキュメンタリーを放送している。テレビ朝日系『不思議どっとテレビ。これマジ!?』が何度も放送した内容も多くをこのドキュメンタリーに依拠しており、多数の苦情が寄せられたためBPO案件になっていた

問34に挙げたのは、この陰謀論で様々挙げられている「疑問点」の1つである。アポロ月面着陸虚構説では、「月面探査で使われたカメラには十字線が描かれたガラス板がセットされており、この十字線が物体の後ろに回り込んでいることはありえない、つまり物体を後から合成したのではないか」と言われる。

実際に画像を見てみよう。以下の写真では、確かに十字線が物体の後ろにあるように見える。

NASA/Neil Armstrong - Crop from 1998 scan of AS11-40-5931

しかしこれは写真の画質が低いことにより、十字線が潰れて見えているのが原因だ。解像度の高いスキャンでは、物体の上に十字線が写っているのを確認できる。

NASA/Neil Armstrong. - NASA AS11-40-5931

以下に、定番の主張をいくつか挙げておこう。

  • 真空のはずの月面で、星条旗がはためいている
    → 星条旗を固定する際にポールをねじるため、それにつられて旗も動いていた。また、旗を広げた際に皺を伸ばさなかったため、余計にはためているように見えてしまった。数秒の間隔を空けて撮影された写真を比較すると、ねじ込みの反動が収まった後の旗ははためいていないことが分かる。

  • 影の方向がバラバラになっていたり、長さが違っていたりする
    → 影の角度や長さは、被写体のカメラとの距離や地面の傾き、広角レンズの歪みなどによって変化する。さらに月面には、太陽だけではなく地球からの反射光、着陸船や宇宙飛行士からの反射光など様々な光源がある。

  • 着陸映像にコーラのビンが映り込んでいたという証言がある
    → もしもこれが本当だとすると、「全世界を欺く壮大な計画に、何故かコーラのビンが映って台無しになっている」という間抜けな事態が起こっていることになり、聞いた時のインパクトが大きい話である。

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