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【お金の知識】個人年金保険は必要か比較検証

 老後2,000万円問題を意識し、自分で資産運用するべきか、生命保険料控除も含めて個人年金保険に加入すべきか、自分なりに定量的に比較検証を行いました。きっかけは、生命保険料控除とは素晴らしい制度なのか、単なる誘惑なのか、自分自身で検証し判断しようと思ったことです。

結論 

 先に自分なりの結論を伝えると、個人年金保険には加入すべきでなく、自分自身で資産運用して老後資金を蓄えておくべきであるということです。
 その理由は、生命保険料控除を考慮したとしても、自分で老後資金を目的に資産運用していたほうが遥かにメリットが大きいためです。
 自分自身の資産運用に関しては、「【投資の結論】家庭を持つサラリーマンとして」に詳細を記載しています。

個人年金保険の誤った利回り計算

 個人年金保険だと最終的な還元率で示されたり、生命保険料控除を含めて以下のような利回りで提案されることがあるのではないでしょうか。
 しかしこれは大きな誤解を生みます。その理由は複利で計算されていないためです。保険料を支払った年は節税効果がありますが、その効果があるのはその年のみであり、前年度支払った保険料の分の節税効果が今年度に更に上乗せされる訳ではありません。

<個人年金の利回り計算例>
年間支払保険料:10万円
生命保険料控除:所得税 8,000円(適用限度額4.0万円×税率20%)
        住民税 5,600円(適用限度額2.8万円×税率20%)
        合 計 13,600円
利回り    :13.6%
※税率は所得により異なるため前提として一律20%で試算

 一方で、自らの資産運用による積立投資の場合には、前年度までに積み立てた分に対しても利回りが働き(配当など)、複利の効果が見込めます。つまり、個人年金保険と資産運用を一律に比較する場合には工夫が必要になります。

比較検証

 資産運用と個人年金保険の比較をするため、投資対象を評価する指標の1つとして「IRR(内部収益率)」を使いました。IRRとは、投資金額に対する利子も含めた年単位の収益割合のことである、あらゆる金融商品を同列で比較することができます。以下は、2パターンでIRRを比較検証したものです。

 ①個人年金保険は、自分が入っていた保険そのものになります。35年契約で10年間の受取パターンを示したものになります。上述の節税効果を考慮し計算したところ、IRRは1.66%でした。

 一方で②積立投資は、個人年金保険と同様に毎年10万円の積立を行い、利率は標準的な年利5%を想定として計算しました(35年間もの長期であればか、この利率は現実的な数値かと)。受取期間は同様の10年で、元本との差額に対しては源泉徴収で20%の税金が掛かる想定で計算をしています。IRRは3.63%でした。

保険検証

 つまり、個人年金保険に対して、自分で積み立てて資産運用したほうが遥かにメリットが大きいという結論になります。資産運用はリスクが大きいと考える方もいるかもしれませんが、長期間の運用ではリスクもかなり小さく、更にiDecoなどの税制優遇も活用することで、更に大きなリターンが狙えると考えます。

 自分での積立投資の方法については、以下記事を書いておりますので是非ご参照ください。

 今後も色々と記事を書かせて頂きますので、引き続きよろしくお願いします。もし宜しければ、フォローもしていただけると凄く嬉しいです。


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