数ヶ月前に映画を観て、「意外とよかった」と感じた 過去を入れ替えた男の話かと思って観始めたら、その男のことを調査する弁護士の話でもあり、一人の人間が与えられて拒絶できずに積み重ねた過去と、その過去と切り離して自由に捉えることのできた生き方の話であり、人間の幸福とは得難い場合にこそさらに強烈な力を持つ話であった。 原作を読んでみようと思い、バタバタする日常の隙間を縫って少しずつ読み進めてきた。 映画よりもっと濃厚な世界が広がっていて、幸福なラスト数章は移動中の交通機関の中で
子供は親の想いを超えて行く。 超えて行くことで親の世界を広げてくれる。 「session」もそうだった 「コーダあいのうた」も、 事情はあっても親が子供の実力や情熱を理解せず、親なりに子供の幸せを強く願うからこそ葛藤が生まれる。 でも、子供は親が作る殻を破って大きく突き抜けて行く。 そして親の世界もまた広がって行く そんなストーリーが好きな私だが、自分の子供にとって突き抜けるべき殻にはなれていないな。 逆のパターンとして、最近好きだったのが「ドリームプラン」。 父親が
朝ドラを観る習慣はなかったけど、いつのまにか、というか、2012年の「梅ちゃん先生」の第二週から欠かさず観続けている。 再放送等機会あるごとに多くの作品を観続けてきた。 過去の多くの作品には戦争を描いている部分もあり、いずれ朝ドラと戦争の描き方について個人的に深めていきたいと思っている。 今期の「虎に翼」は、これまでのどの作品よりハマっている。 第一回から夢中になり、第一週がすごく濃い内容で、「こんな濃度で半年続くわけない。期待し過ぎないようにしよう」と、自分に歯止めを
最初にこの映画を観た日は、とても寒い日で、長距離のウォーキング途中、ちょうど時間が合って劇場に立ち寄った。 リン子さんのお母さん(田中美佐子さん)の、子供の気持ちをまっすぐに受け止めて共感して守る姿が心に焼き付いていた。 ずっとまた観たいと思っていて、今月wowwowで観ることができた。 辛い状況の子どもたちも描かれている。でも、暖かく、ユーモラスな台詞がそこここに散りばめられていて、観ていて心地よく感じた。 心地よいどころではないエピソードもあるのだが、入院している友
観終わった後、とてもいい気分になって帰れる作品だった。 1番大きいネタバレしますのでご注意下さい。 背景が綺麗だなとぼんやり考えながら観ていたが、まさに背景がキーになる映画だった。 主人公2人が病院を歩きながら診察に近い雑談をしている。 その2人を正面から捉える形でカメラが向けられているので、登場人物が移動したら自然と背景には彼らが歩いた景色が写り込む。 現在を写しながら、過去も同時に写し出されているような画作りになっていた。 物語が進むにつれ、皆なにかを失った、あるい
主は大のホラー嫌いだ。 何故なら刺激が強すぎるから。 グロい表現や、驚かす系のシーンになると決まって目を伏せる。耳を塞ぐ。情報をシャットアウトする。 が、最近好きなパーソナリティのラジオを聴いていて、その方はホラーが大好きで、ホラーについて「人間の根源的な恐怖を描くジャンルでもある」といった趣旨のことをお話しされていた。 それを聴いて、主の中で少しずつホラーの認識が変わっていったように、今思えば感じる。 それで手始めにザッと検索して面白そうなあらすじの今作を観てみた。
こんな映画とは思ってなかった これって人類愛⁉️ 鈴木亮平ってすごい役者 大好き❤
三宅唱監督作品。 全体を通してとても丁寧な積み上げがなされていく。 劇中に起きる事件の一つ一つは、大小はあれどそこまで大きな波は立たない。 だが、その波が揺れる度に少しずつ人物の描写がなされる。 その一つ一つの積み重なりが、やがては大きな感動の波となったように感じた。 冒頭を除いて、常に優しい空気感が漂う。 登場人物たちは皆何かを失った人々だった。 しかし劇中で描かれていたのは悲しんでる姿ではなく、悲しみながらも日々を生きていく姿だった。 最終的に主人公の藤沢さんと山添
芥川龍之介の「羅生門」は読んでないが、「羅生門形式」の作品は好き。 「恍惚の人」を子供の頃読んで強い印象を持っていた有吉佐和子の小説を今読んでいる。 主に入浴中に読んでいるが、一章一章が程よい長さで、しかも同じ人に関する様々な人のインタビュー形式なので、読みやすい。 そして、一人一人の印象の微かな差異が、女の嘘や策略、それに魅力もを浮かび上がらせるので大変面白い。
去年から気になっていた映画。 山下敦弘監督と野木亜紀子さん脚本とあれば必見だろう。 観た感想としては、とても良かった。 何年振りかわからないけれど、エンドロールが終わってスクリーンが明るくなった瞬間に「観に来て良かった。」と心から思った。 結末も心地良い明るさで終わっていくのが最高。 X JAPANの“紅”がこんなに良い曲だったなんて。 しかもこの曲の歌詞をこんなに上手く作品に反映させて。 カタルシス…かと思わせたフリにもなってたし。 こんなに良質な映画を見られて幸せ。
一昨年までは全く興味がなかった大河ドラマに、昨年はずっと夢中になって過ごしていた。 私の昨年を漢字で表すなら「大河」だ。 全編を観てきた今、年末始の休暇中に何回も見直してきた「どうする家康」を再度最初から見直している。 ナレーションが春日局の講談(?)であったことから、ナレーション部分を書き留めながら、そして、「三河一向一揆」以降を毎回解説、分析してくださっている青江さんのnote を読み込んでさらに深く味わいながら楽しんでいる。 ナレーションに使われる言葉や地名を
【映画】 (R) 「シン仮面ライダー」「ほかげ」「怪物」 (K) 『バービー』『小説家の映画』『怪物』 【ドラマ】 rap 「エルピス」「どうする家康」「麒麟がくる」 kaf 『エルピス』 【小説】 rap 「恍惚の人」 kaf 『絞首商会』 【舞台】 rap 「入管収容所」 kaf 『スローターハウス』 【俳優】 rap ・野村萬斎・趣里 kaf ・榎木淳弥・瀬戸さおり
塚本晋也監督の「野火」は衝撃的すぎて、しかし、本当の戦争を描いていると思った。 戦争に息子や身内が取られる・・・生きては帰れない・・・と、大事な人が殺されることを恐れる気持ちはよく聞くが、私は大事な人が人を殺す、そのことを恐れる気持ちが先に立つ 「ほかげ」では、それが描かれていたように思う。 人が人を殺すことはどのような場合であっても悪だと思う。 虐殺された過去をもつ悲しい民族が他の民族を虐殺する。世界ではそのことが繰り返されている。そういう思いは必ず将来の世界に引き
最初の部分は私の子育て経験と違い過ぎて一旦積読していた。 ユカと涼子と五月という三人のマザーについて書かれていて、小説家だったりモデルだったり、ちょっと特別な子育てが描かれているように思えた。普通の人である涼子も、その煮詰まり方が異常で怖くなった。 しかし、積読を片付けようと読み始め、読み進めるうちに、30年前の私の気持ちがこと細かに蘇ってきた。 ほんのちょっとした小さなことの積み重ねで自分を追い込んでしまったり。 子供が1歳くらいの時だったか、水をコップに注ぐことを覚
多分アルゴリズムの働きだとは思うんだが、今年の大河は、大河初心者を含むたくさんの人のハートを鷲掴みにしていると思いこんでいる。 そしてそれは脚本による魅力が大きいと思いこんでいる。 「キサラギ」(2007年)でハートを掴まれた私としては古沢良太すげえの一言だと、世の中もそうだと思い込んでいる。 「もし、第1幕から壁に拳銃をかけておくのなら、第2幕にはそれが発砲されるべきである。そうでないなら、そこに置いてはいけない。」1904年に『演劇と芸術』誌に掲載されたイリヤ・グリ
親であること。 子であること。 を考えた。 サムとルーシーは心から愛し合っている。 実はこれだけが親子である資格なのではないか。 ただ心から愛する気持ち。 互いにそれがあれば充分なはずなのに、それが足りない者たちは、独占欲や支配欲で愛しているふりをする。 「子育てにおいて、ミスを犯してしまう不安」それはすべての親が持っている。 それを乗り越えられるのも「愛」しかないのかも。 自分の思いを振りかざすことなく、相手の思いにも心を澄ませていれば。 親子の資格があったと