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【コンセプトアルバム奮闘記】#7 曲解説 麗しのメルベイユ

シーンの説明

『かめりあはあと』の舞台となる歓楽街『メルベイユ吉河』の日常を歌う。

※コンセプトアルバム『かめりあはあと』の舞台・背景、登場人物等の設定については、『【コンセプトアルバム奮闘記】#999 「かめりあはあと」のトリセツをご参照。

歌詞の説明

<街:昼>

昼の風景。仕出し配送担当である片桐はじめの視点で歌われる。片桐はじめは店舗の車庫で眠そうに配送の準備をしている。

桶の水、キラキラと、割烹屋の炊事場で
レジェンドが、ご自慢のやつ、仕込み始める。

割烹屋『音羽亭』が、各顧客への仕出し用の弁当作りに取り掛かっている。音羽亭には、名料理人が手掛ける名物料理がある。
顧客先は、主にメルベイユ吉河内の遊郭や近隣の企業、テレビ局など大口顧客があり、朝から午前中にかけては、スタッフはてんやわんやとなる。

三味線が聞こえる頃、炊き込みの香りがする。
おもてなし宝石箱、ご当地の誇り。

近所の遊郭や演芸小屋からは今夜の開場に向けて、芸妓たちが練習を行っている。三味線や琴、笛、太鼓など演奏している音が聴こえる。
名料理人が手掛けるのは、炊き込みご飯。ご当地の食材をふんだんに使っており、見た目はまるで宝石箱のようで、味もよく定評がある。

麗しのメルベイユ、見渡せば
活気ある軒先、弾む声。
仕出しの空箱、片付けて
椅子にもたれ、ひとり息をつく。

風が頬なでる。

日中の街は働く人たちで活気があり、片桐はじめは、各顧客へ弁当を配達する。顧客の従業員たちは、音羽亭の弁当を楽しみにしており、片桐も笑顔でテキパキと応える。素直でまじめな人柄で客先でも人気がある。
今日分の配達をすべて終え、音羽亭に戻ってきて、配達のあと片づけを終えてひと休み。椅子にもたれぼーっとしていると風が心地よい。

<街:夜>

夜の風景。遊郭、カジノ(博打場)、酒場がオープンし、歓楽街としての本番が始まる。仕事を終えた社会人や常連客などが集い、酒池肉林の宴が各所で行われる。おやおや?そんな中に片桐はじめの姿もある・・・。

人は
酔いどれ笑い踊る。
虹色の星屑のもと、勝ち名乗る殿様ども、ヨイショ家来。

ネオン街の七色の明かりが照らす中、大人たちが興を講じる。酒が進み、お金が乱れ飛び、博打場では、勝負が決まるたびに歓声があがり、人々は笑い踊る。

おいちょかぶ、座敷遊び。笑い泣いて金が飛ぶ。
悔しがる負け犬に、ほら、札束ビンタ。

おいちょかぶは、花札を用いて、ブラックジャックのように、胴親と張子で争う博戯。
座敷遊びは、舞妓さんや芸妓さんを相手にお酒や余興を楽しむためのゲーム。金比羅船々、とらとらなど多種多様。
(少額?をかけたり、脱衣などもあったとか)
お客は羽目を外して盛り上がっているようだ。罰ゲームなのか、負けたお客が札束でビンタをされている。
お客のお気に入りの花魁なども一緒に、にぎやかにお酒や食事を楽しんでいる。

麗しのメルベイユ、見下せば
本当の自分に酔える夜が来る。
金と勇気 握りしめたら
境遇さえ武器に変えられる。蝶が舞(待)ってる。

片桐はじめは遊郭の上階にあるはなれから街を眺めている。
実は、彼は夜遊びの時は変装をし、偽名『柿里はじめ』を名乗っている。『柿里』とは、はじめの両親が離婚する前の姓である(今は母親の姓=片桐)。どうやら遊郭の蝶(花魁)に会いに行っているようだ。
ちなみにメルベイユ吉河は春になると蝶と桜吹雪が舞う美しい景色が見られることで有名である。

<街:朝>

酔狂たちが思い思いの成果を胸にまた非現実的な世界から現実に帰っていく。

限りなく、間違いなく 夜明けが僕を苦しめる。
かりそめの英雄きどり、心すり減らす。

柿里、いや、片桐はじめも現実(音羽亭)への帰路の途中だった(だから仕事中はいつも眠そうなのである)
本来の偽りのない自分を解放して、お楽しみの夜だったはずだが、どうも心裏腹な様子もあり。しかし、また足を運ぶだろう。推しが待っているのだからやめられない。

麗しのメルベイユ、振り返り、
ペテン師と堕天使交わる場所
「掟」という名のその先は、煉獄
踏み入れて、覚悟する。

歓楽街は金、酒、女性、権力をめぐり様々な思惑で社会が成り立っている。街の秩序を守る暗黙のルールに従い楽しく遊びましょう。ルールを破ったら、レールを踏み外したら、そこは明日も保証されない。

・・・あのね(なんでもない)

片桐はじめは昨晩の武勇伝を喋りたくなることもあるが、変装して隠密で通っているので、誰にも話すことはできない。後ろめたい理由もあるのかもしれない。

阿修羅像のような街で、また今日も和を尊び、
自惚れた昨日の僕を心の檻に閉じ込めるよ。

三面六臂の阿修羅に例えられるくらい、めぐるましく酒池肉林の宴が繰り広げられる街『メルベイユ吉河』の夜で、片桐はじめは本来の自信家で、欲深く、ケレン味のある自分を解放して興に講じていた。
でも、日常に戻れば、音羽亭の職場の皆んなと仲良く和を保ち、素朴で真面目な青年を演じるのだった。はは、また睡眠不足だ。

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