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この頃エッセイ集(思春期晩期編)

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「今」を生きる、いとぞ「ナウしき」エッセイ集。
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記事一覧

温泉で目覚めたのかと思った話

温泉で目覚めたのかと思った話

露天風呂に入った。当然、男風呂である。

風呂に入っているときは全く何も考えていないときが多い。ただひたすらに何も意識をせずに、一点を見つめるのだ。

いや、一点というのはまた語弊があるかもしれない。風呂に入るときは眼鏡を外すからピントが合いやしない。ボヤボヤとした視界全体を見ているような感じである。

ただ、今日という今日はいつもの風呂ではないのだ。というのも、ぬるめの湯船に浸かってから10分ほ

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帰国する弊害

帰国する弊害

東南アジアの旅を終えて帰ってきた。ラオスの交通量なんて微々たるものなのだが、タイのバンコクは幾分か違う。交通量が多い。そして歩行者用の信号機は非常に少ない。ベトナムのハノイやホーチミンもタイに負けず交通量が多かった。だが、まだ信号機は割に設置してあるから、歩く分には困ることが少ない。

しかし僕が見るには、信号機が設置してあるかないかなんて彼ら現地人からしたら何も関係ないようである。

信号がない

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野球観戦で危うく彼女を失いかけた話

野球観戦で危うく彼女を失いかけた話

はいはい、タイトルから察すればどうせヤジか何かで彼女を失いそうになったのね。と思った諸君はこの記事を最後まで読むがいい。そもそもお前に彼女がいたのかと思った諸君も必見である。



この前、横浜スタジアムでいつもの如く楽しく野球観戦をした。もちろん僕が好きなのは野球でも野球観戦でもなく、カープなので、カープの試合ということになる。

得点で喜びを爆発させ、失点で酷く落ち込む、一喜一憂の激しき試合

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24歳になったわ

24歳になったわ

某、24歳になりけり。
昨日まで小学生だった気がしないでもないが、もう24年も生きているのかと思うと一種の恐怖感を覚える。

24歳を迎えた朝、母へいつものように「おはよう」と言うと「誕生日おめっとさーん」という何とも軽々しい祝辞を述べられた。

「あ、どうもどうも。これでまた着々と死に近づいているわ」
と僕が言うと、母は嫌な顔して「じゃあ私はどうなっちゃうのよ!私の前で言わないでよ!」と言う始末

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僕の耳糞イヤホンを拾わないで

僕の耳糞イヤホンを拾わないで

ふとした瞬間に「視線がぶつかる」のがZARDなら、僕は「モノを落とす」ことが多い。

スマホはその最たる例で、がんがん落としてしまう。もちろんそれは故意ではない。が、落ちることが必然であったかのように床へ、あるいはアスファルトへ落下していく。

スマホケースをiFaceとかいう割と強固なやつにしてるから、スマホはとても元気である。とはいっても、よく落とされるスマホに同情せずにはいられない。

よく

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店員さんに「ありがとう」と言ったら感激された話

店員さんに「ありがとう」と言ったら感激された話

スーパーマーケットでレジに並び、僕の番が来たので店員さんにレジ打ちをしてもらった。夜8時くらいでピークを過ぎたスーパーだったから、僕の後ろに並ぶお客さんは誰もいない。

お会計は千円と少しくらいで、店員さんは1番で清算してくださいと自動精算機を案内する。僕はレジ打ちをここまでしてくれたその中年女性へ「ありがとうございます」と言って会計済みの商品が入ったカゴを持つと、彼女は目を丸くして唖然とした表情

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初心者マークの看護師

初心者マークの看護師

先日、7回目の髭脱毛をしてきた。
7回目ともなるともう慣れてきた一方、また痛烈な痛みに耐えなくてはならないと思うと少しだけ鬱になる。

じゃあ麻酔すればいいじゃないかと言われそうだが、たかだか3分くらいの脱毛時間のために3千円のオプション麻酔をつけるのはなんだか馬鹿馬鹿しい。

それにいくら痛いとはいえ看護師はいつも若くて綺麗な方が多いので、余計に見栄を張って、麻酔なんかする訳ないでしょといった表

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自宅から球場まで、ユニフォームを着て行くということ

自宅から球場まで、ユニフォームを着て行くということ

今、僕はカープの真っ赤なユニフォームを着て横浜へ電車で向かっている。

もちろん試合のない月曜日にユニフォームへ袖を通すことはないし、試合がある日だってユニフォームを着るのは球場で試合観戦するときだけである。

あ、ただ去年のCS(クライマックス・シリーズという大事な大会的なやつ)のときには、べつに球場で試合観戦をするわけでもなければ何処かで野球中継を観る訳でもないのに、カープのこれまた真っ赤なT

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スーパー横の自販機を使う小学生だった

スーパー横の自販機を使う小学生だった

スーパーの目の前にある自販機を一度だけ利用したことがある。

自己満の会議、雨の日における強風の次くらいに世界で必要性のないであろうスーパーの目の前、入り口横に設置された自販機で、だ。

確かにそれは言いすぎなのかもしれない。が、よく考えて欲しい。スーパーの前にいるのならそこにある自販機には目もくれずに真っ先にスーパーへ入るべきである。物によってではあるが、半額くらいで同じ商品がそこに陳列してある

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オープンザウィンドウ

オープンザウィンドウ

窓を開けられた。まだまだ肌寒い春頃だ。開ける必要なんてない。それでも、開ける必要があると判断された。もっと正確に言うなら、誤解された。



お昼過ぎだったと思う。携帯の機種変で少し遠くのソフトバンクショップに用があった。よく知らないが、携帯の契約期間が云々らしい。携帯は家族と祖父母が一緒に契約しているから、少し遠くに住んでいる祖父母は町を跨いで車でこちらへやってきた。

午前中は家で祖父母と共

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集団尿検査

集団尿検査

健康診断というのはぶっちゃけだるいものである。学校の宿題と違ってやらなければ怒られるものはないのだけれど、やらなければ見つけられるはずだった病気があるかもしれないと考えるとやるしかない。

ていうか、大学生における健康診断というのはやらなければ怒られるものである。もう身長も伸びない年齢だというのに、健やかな身体だと自負する自分の身体を調査する必要がどこにあるのか。内心ではそう思うのだが、健康診断を

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ボクの「ヒゲ脱毛攻略法」

ボクの「ヒゲ脱毛攻略法」

「ヒゲ脱毛は痛いのですか?」と聞かれることが多い。が、よく考えてほしい。痛くない訳がなかろう。「新幹線ってやっぱ速いの?」と聞いているようなものである。愚問であるように感じてならない。

ではどのような痛みなのかといえば、僕がはじめて脱毛(医療脱毛)をするときにクリニックの若い女医からの説明をまるパクリで答えると、「輪ゴムではじいたような痛み」である。脱毛を経験したことのない君たち諸君からすれば、

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殺気立ったクレーマー処理

殺気立ったクレーマー処理

「おい、お前何か俺に用あんの?」
男性客が僕に近づいてくる。その距離は10m、7m、3mと、どんどん縮まる。そして彼は完全に僕のパーソナルスペースへ土足で乗り込んできた。

大学1年生から、修士課程に進学した現在までの5年間、僕はスポーツ屋でアルバイトをしてきたが、こんなこと、はじめてだ。

この時点から20分くらい前に遡ろう。僕は店長に話しかけられた。

「あのお客さん、ちょっとやばいかも」

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お前を殺すまでは眠れない

お前を殺すまでは眠れない

扉を開くと奴がいた。僕の部屋で、悠々自適にくつろぐ奴は珍しく赤茶色の衣を羽織っている。

大概、奴を見たときはゾッとするものだが、寝る直前ということもあって今から「駆除」しなくてはならないというダルさが勝る。

ここまで読んでもうお気づきかもしれないが、奴とは某Gのことである。人間から最も嫌われている虫といっても過言ではないゴキブリのことだ。

そんなに高頻度で出没するわけではないから、奴と出会し

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