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帰れませんのビジネスモデル

東京の高円寺というところに
「原稿執筆カフェ」
があります。
名前でだいたい、どんなビジネスモデルか想像がつきますね。
名前勝ち、というか。

その名のとおり、仕事のなかでなにか文章を書く必要のある人、たとえば

  • ブログを書く

  • メルマガを書く

といった目的のある人が来店します。

自宅での作業だとついスマホを見たりして気が散りがちですが、このカフェは作業に没入するためのセルフコントロールの場として利用されています。
職業作家の人が気分転換に来ることもあるかもしれません。

利用方法:

  • 入店する際に、完了させたいタスクを宣言します。

  • 宣言するタスクは自己申告です。

  • 宣言したタスクが終わるまでは、退店できません。

  • タスクが完了したかどうかは、店側もちらっと見るようですが、細かくチェックすることはありません。

店内は静かな環境、快適に作業するための設備が整えられています。
店内の他の客もみな、原稿を仕上げる目的で来店しているため、不思議な連帯感も感じられるようです。

「原稿執筆カフェ」の姉妹版として「経費精算カフェ」もあります。
その名のとおり、領収書がたまって経理部から経費精算を急かされている社長などが入るカフェです。
税理士から急かされている個人事業主も利用しているようです。
領収書を整理する人もいれば、会計ソフトに入力するために来店する人もいます。

経費精算の作業は、やり始めればやれるのでししょうが
「さあ今からやるぞ」
にはなかなかなりません。

財布にたまったレシートを個人用と仕事用に分け、時系列で並べ、誰と何の理由で食事したかとか、どこへ行くための交通費だったかとかを、いちいち手帳見ながら1件1件思いだし、所定の表に書き込み、かたまりごとにホッチキス止めしたり紙に糊づけしたりする。
想像しただけで気が滅入ります。

それを自宅で集中してできる人は天才。
凡人は作業中に別件が発生したら、経費精算の優先順位をあっさり下げ、その別件に時間を使おうとします。

(別件の例)

  • 作業中に宅配荷物が届いた

  • 気分転換に久しぶりに料理したくなった

  • 買ったのに読んでいない本を再発見した

そんな、自己管理に苦しむ人のための「経費精算カフェ」です。

利用方法:

  • 入店する際に、完了させたいタスクを宣言します。

  • 宣言するタスクは自己申告です。

  • 宣言したタスクが終わるまでは、退店できません。

  • タスクが完了したかどうかは、店側もちらっと見るようですが、細かくチェックすることはありません。

店内は静かな環境、快適に作業するための設備が整っています。
客は全員、経費精算に追われているため、そこは緊張感とある種の一体感に覆われています。

「原稿執筆カフェ」「経費精算カフェ」いずれも、

  • 仕上がるまで帰れないというルールをゆるく設定している

  • みんなで集まり、それぞれの課題に取り組む環境にしている

という点が絶妙でよいですね。

このテのものは、
「目的がそこそこ細分化されていること」
が求められるように思います。

たとえば「どんな目的でもいいから集中できるカフェにしよう」と考えて
「作業集中カフェ」みたいなものにしても、わたしたちは自分が行くべきカフェなのかどうかが、なんだかよく分かりません。
したがって記憶に残らない。

「原稿執筆カフェ」だから記憶に残る、「経費精算カフェ」だから自分のことに感じるのではないでしょうか。

また、「原稿執筆カフェ」だからこそ知らない客どうしでも原稿執筆の雑談や情報交換ができますし、「経費精算カフェ」だからこそひと息ついている客のあいだで
「経費精算なんてAIがやってくれる世の中になってほしいですよねえ」
的なぼやき雑談を楽しむことができます。

ぐしゃぐしゃにならない領収書の貯めかたを教えてくれる人もいるでしょう。

コミュニティが生まれる条件が整っている。

そういう意味で、原稿執筆や経費採算以外のテーマでも、カフェできそうです。

  • 「パワポ資料作成カフェ」

  • 「動画編集カフェ」

  • ビジネスコンテストに挑戦する人だけが 来店する「事業計画作成カフェ」

みたいなものも考えられるかもしれません。





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