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理想の家づくりは「三方よし」

こんにちは、住宅を建てた後にもかかわらずプロ施主を目指しているBygです。今日は家づくりで目指すべき理想について語りたいと思います。

よく「家づくり迷子」という言葉を聞きます。定義は曖昧ですが、YouTubeなどで得た理想の住宅に関する性能や建材の知識を得たはいいけど、その理想の住宅を自分に見合った予算内で建築してくれるビルダーが見つからず、途方に暮れてしまう、というような人でしょうか。

理想の新築ができないということを受け入れられず、自暴自棄になり、結局手頃な建売とか、ローコストビルダーで家を建ててしまう人もいると思います。

私は、その家で家族仲良く暮らせれば、家づくりは大成功だと思います。お金では買えない家族の暮らしを手に入れたのですから。

Ua値、c値、自然素材のフローリングとかお洒落で斬新な間取りとか、誰が幸せな暮らしに「必要」と決めたのでしょうか?そりゃ、あったほうがいいんでしょうけど、豊かな暮らしの絶対条件ではないはずです。


いや、それはそうなんだけどさ、一度「理想の家」像を描いてしまったら、なかなか捨てきれないよ!どこか理想の家を予算内で建ててくれ〜!!

・・・って思いますよね。わかります。


勝手な思い込みかもしれませんが、家づくり迷子の人は、もしかすると不動産屋や建築会社を信頼することができずにいるのではないでしょうか。人を信じて、任せることができないのです。

住宅は間違いなく人生最大の高額な取引なので、いつもの冷静さを失ってしまうことがあります。提示された金額が自分の予算に合わないと、不動産屋や住宅会社が過剰に利益を求めているのではないかとか疑ったり、自分の得た知識と少しでも違うことを言う工務店は信用に値しないと勝手に決めつけてしまっていませんか?


YouTuberのいうことは信用するのに、どうして地域の工務店のことは信じることができないのでしょう。


住宅会社の人は、基本いい人です。自分達が建てた家で、幸せな暮らしをしてもらおうと、情熱とやりがいを持って仕事に取り組んでいます。その人の目を見て話せば、わかるはずです。

確かに、あなたを騙してお金をとってしまおう、とよくない考えを持っている人もいるかもしれません。でもそんな人は、ほんの一部です。住宅のことだけではなく、お金に関する知識をつけて、最低限自分の身を守る術を身につけましょう。


疑うことも必要ですが、疑ってばかりでは、逆に誰からも信じてもらえなくなりますし、チャンスを見逃すことになりかねません。


もしもあなたが、自分は相場よりも安い掘り出し物の土地で、相場よりも安く理想の新築を建てなければならない、と思っているのなら、ちょっと待ってください。あなただけが過剰に得をすると言うことは、だれかが損をしているということになりませんか?


はっきりと言いましょう。自分の利益だけを考えた家づくりでは、理想の家は建てることができません。


理想の取引は、売り手よし、買い手よしの双方良し、です。あなただけが得して、工務店が損をするような取引があるわけないですよね?あったとしても、何か禍根を残す結果になるかもしれません。 

もっと言うなら、本当の理想の取引は、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方良し」です。


あなたの住宅は、町の風景の一部になります


住宅は、あなたのものではあるけど、あなただけのものではありません。文字通りの「不動産」なので、もしあなたが地域からいなくなっても、ずっとそこに存在し続けます。

その住宅があることで、街並みが美しくなるなんてことがあったら、素晴らしいことだと思いませんか?

そして丈夫で暖かく、長く使える住宅なら、あなたが出て行った後も、新しく住む人の大事な暮らしの場となります。


設計士とプランニングしていて、間取りを優先してエアコン位置を変えようとしたら「道路から見える位置に室外機とかつけたらみっともないですよ」とか言われたり、自分は階段位置変えたいのに「これだと屋根の形変えないといけないから、見栄え悪くなりですよ」とか、やたら細かいこと言ってきて、はあ?インスタ映えなんて狙ってねえよ!とかイラッとしたことありませんか?私はあります(笑)。

そんなことをちゃんと言ってくれる設計士と家づくりできることは、幸せなことなんですよ。家をつくると言うことが、街をつくることだと言うことをちゃんと理解しているからです。


欧米の住宅街では、景観に関する条例が日本よりもはるかに厳しいそうです。洗濯物を外に干すだけでも苦情がくるほど。景観を良くすることで地域の評価が上がり、土地の価格維持に寄与すると理解しているからです。景観が悪いと、治安が悪いということに結びつき、土地の価格に悪影響を及ぼします。


日本の場合、治安はどこでも安定しているし、一度家を建てたら、死ぬまでそこに住み続ける前提で、生きているうちに土地を売ることなんて考えないから、景観なんて気にしないのでしょうか。それとも、住宅は「消費物」だから自分が死んだら建物も壊す前提なのでしょうか。

本来、死ぬまでその地域に暮らすのだからこそ、景観のいい土地にしようと望むのではないかと思うのですが・・・結局お金が景観維持のモチベーションになるなんて、なんか悲しいですね。


話を戻します。この三方良しの理想を、住宅を建てる人みんなが意識してほしいのです。自分の理想と利益ばかりを追求するあまり、地域社会の利益を無視しないでほしいのです。


三方よしの取引のためには、売り手がいかに社会に良い影響を与えるかということに大きく依存するのですが、住宅は、買い手に依存する部分が大きい稀有なケースだと思います。どんな景色を作るかは、施主の要望次第だからです。

施主がどんな工務店を選ぶかというだけではなく、施主が自分のためだけではなく地域社会のことまで考えてプランの要望を出せるか、と言うことに大きく依存するのです。


私は、そんなことが出来る施主を本当の「プロ施主」と呼びたい。

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