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モーリス・レヴィの伝記からタイガー・リリー(Tiger Lily)の記述だけ読む

2016年に出たRichard Carlin『Godfather of the Music Business - Morris Levy』という洋書がありまして、翻訳されたら読みたいなーと漠然と思っていたのですが、全然出ないからもう洋書にしました。読みたいところは限られてるのに!と思いながら……。

簡単なプロフィールを書籍の紹介文からそのまま使いますと、モーリス・レヴィ(1927-1990)は悪名高い音楽ビジネスマン。19歳でナイトクラブ「バードランド(Birdland)」を共同設立、同所は当時新しい音楽スタイルだった“ビバップ”のミュージシャンが多く出演し、ディジー・ガレスピー、バド・パウエル、カウント・ベイシーといったミュージシャンを支援しました。

1957年にレコード会社「ルーレットレコード」を設立。バードランドに出演していたミュージシャンが多くリリースしていますが、1960年代半ばからはヒットチャートに載るようなポップミュージックもリリースしています。一見順調そうな流れですが、その過程でミュージシャンらを脅迫したり、ドミニク・シアフォン(別名“スワッツ”マリガン)、トミー・エボリ、ヴィンセント・ギガンテなど、マフィアとつながりのある投資家と仲良くしたりと、影の部分が強まります。

その後、なんやかんやあってFBIに恐喝で起訴され、1988年には有罪が確定したものの、すでに癌だったレヴィは、投獄される前に1990年に亡くなりました。……という人物です。とにかくお金を稼ぐのが大好きな音楽ビジネスマンでマフィアとつながりがあった人、と、脳内に入れといてください。

で、ワタシも含めレアグルーヴに興味があるリスナーにとって、この本で一番興味がある部分は「タイガー・リリー・レコード」の話題ではないでしょうか? なぜなら、レアグルーヴ運動の初期象徴となるレコード、ジャクソン・シスターズのアルバムはこのレーベルからのリリースなのですから……。

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2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

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