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ゴロワーズを吸ったことがない

1990年代のムッシュかまやつ再評価のキモになった楽曲といえば「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」です。え、オリジナルバージョン聴いたことないの!?今すぐ聞け!! シングル「我が良き友よ」(1975)のB面。

アメリカのファンクバンド=タワーオブパワーが演奏と編曲に参加した、日本のレアグルーヴとして、今となっては知られます。1974年11月の来日公演の際、声をかけて参加が実現(他にRCサクセションのアルバム『シングル・マン』にも参加しています)。当時はA面曲が売れまくって話題になりすぎたため、はたしてB面が一体どう聞かれたのか不明。

で、この曲の新録「ゴロワーズ」が1994年にリリースされました。トラットリア内「mo’music」レーベルの第9弾リリース『Gauloise』(1994-04-25)1曲目。

1980年代に入ってからのムッシュは、さして売れておらず、音楽的にはすっかり若者文化から遠ざかっていました。それが本作によって再び、今やってることがかっこよくなり、ヒップな年上スターとして若者の前に躍り出たのです。

1990年代にムッシュかまやつが若者に再評価された感じ、それはどのような流れだったか?を辿りましょう。

ぼくが最後に作ったいい曲は「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」なのかなという気がしているが、何かの拍子に、また一、ニ曲いいものができるかもしれない。それが売れる売れないに関係なく。

『ムッシュ!』(2002-09-02、日経BP社)p206-207

1989

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