当事者だから言えること

私は、がんサバイバーです。もう少し具体的に言うと、現役のガン患者です。ステージも最高位。転移3回。5年生存確率も言われました。そこから、9月で10年になります。本当によく、生かされているなと。
 以前、こんな体験をしました。
私が通院している病院は、県内で有名な「がんに対して実績ある病院」です。大学病院ということもあり、施設も充実していますし、がんに対してのサービスも充実しています。それゆえに、様々ながん患者さんが来院しているようです。
 ことはそんな病院内で起こりました。
私が検査を終えて病院内を歩いていると、何やら怒声が。そちらに目をやると「がん哲学外来(だったと思います)」と入口に書かれている。なんとなく気になったので耳を傾けていると、「お前に何が分かる!ガンでもないくせに偉そうに言うな!だいたいお前は。。。」と。年配の方が、看護士さんに怒っている模様。もう少し聞いていると、私の中でモヤモヤが。迷いましたが(迷っていないかも (笑))、その人に声をかけました。やり取りは、こんな感じだったと思います。
私:あのー。どうしたんですか?
相手:なんだお前は!?
私:すいません。病院内の部屋の出入口で大きな声が聞こえたので、気になったので声をかけさせてもらいました。
相手:お前には関係ないだろう?邪魔だ!
私:はい。関係ないです。ただ、ちょっと周りを見てみてください。あなた、注目の的ですよ。みなさん、ビビってます。もう少し、声を小さくするとか、場所を変えるとかできません?そもそも看護士さんも困っていそうですよ。(その時は看護士さんも1人から2人になっていた)
相手:こいつらが悪いんだ!人の気も知らずに偉そうに言ってきやがって。だいたい、ガンになってないやつが俺の気持ちを分かってたまるか!
私:看護士さんが、あなたに何かしたんですか?
相手:態度が悪い!言葉遣いも!
私:そうなんですか?まぁ、看護士さんも神様ではないですからね。あなたの気持ちまでは分からないですよ。
相手:お前に何が分かる!ガンになった俺の気持ちが分かるのか?
私:あなたの気持ちは分かりません。ただ、ガンになった気持ちならわかります。私もガンですから。内容は・・・です。
相手:・・・俺より悪いじゃねぇか。
私:あのですね。看護士さんは仕事として私たちに接してくれているんです。奉仕の心をもって。これだけのサービスを。ありがたくないですか?見ず知らずの私たちに、ここまで親切にしてくれて。私はもう感謝しかないですよ。あなたも、そう思っているのではないんですか?
相手:俺ただ、俺の話をちゃんと聞いて欲しかっただけだ。。。
私:そうですよね。あなたの状況は分かりませんが、ガンに対するあなたの気持ちは、聞いて欲しいですよね。でも、看護士さん。ちゃんと聞いてくれると思いますよ。あなたが話せば。
相手:・・・
私:もう、大丈夫ですよね?話せますよね?あなたの思っていることを、ちゃんと伝えてください。失礼しました。(バートン去る)
(少し離れたら後ろから人が)
??:先ほどはありがとうございました。
私:え?いえいえ。お気になさらず。
??:先ほどの者の妻です。何を言っても全然ダメで。助かりました。
私:あぁ。大変ですよね。寄り添ってあげてください。話を聞いてあげるだけで良いですよ。それだけで、大丈夫です。

 私もそうですが、やっぱり「同じ境遇の人の言葉は届く」のだなって。
当事者だから分かる気持ちがある。
 もちろん、当事者でなくても、寄り添ってくださる方も見えますし、親身になって聞いてくれる人もいます。そんな方たちには、感謝しかありません。
 私はガンになって、気づいたことや感じたことが、本当にたくさんあります。ガンになったおかけで、「人生やり直しスイッチ」を押すことができました。毎日の過ごし方が変わりました。
こんな経験を、いろんな人に、楽しく伝えられたら良いなって思います。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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