陸に上がって巻貝 かたつむり

陸に上がった巻貝

かたつむり

 


♪♪でんでん虫々 かたつむり。お前の頭はどこにある。ヤリ出せ、ツノだせ、頭だせ♪♪。

と、子供たちがうたう歌には無邪気で可愛いところもありますが、この陸にあがった巻き貝は、”角”が二本で ”槍”も二本。

小学生的な観察でもう少しよく見ると、貝の巻き方も普通は右巻きだが、左巻きのものもある。

さらに詳しく見て行くと、実に不思議な生き物であることが分かります。

その一つ、貝殻についていえば、1DKの一間生活者にはうらやましい ”移動式”住居といえましょう。が、同じ貝仲間の住居にくらべれば、せいぜいテントか、プレハブ仮設住宅程度。もろいうえに、からだを180度ねじらないと入らないという、窮屈な住居です。 

また、陸に住みながら、普通の動物のように肺がなく、皮膚呼吸をしているが、皮膚が乾燥しがちな為、冬は勿論、夏も夏眠しなければならない不自由さ。なんとかまともに動けるのは、ツユどきの朝、じめじめした時だけで、それものろのろ歩きとあっては、楽しかるべきはずの人生?「一生」も半減といったところか。それに恋の相手に巡り合うのもままならぬ・・・・・・といった運命なのです。  しかし、神はこういった者にもちゃんとした恵みを与えたのです。

カタツムリは右巻きと、左巻きのものがあるが、右巻きのものには、右触角の後方に、生殖器があり、さらに、この中は2つに分かれ、雄生殖器官と雌生殖器官になっています。つまり雄、雌両性といった2つの性を持った生き物なのです。話が性に触れたので、”おとなの観察”入りますと。

 雌雄同体だがややこしい種族保存

カタツムリが、雄雌同体、つまり一個の体に雄の器官と雌の器官があるのは、歩みが鈍く、そのうえ、活動時期も限られる為、恋をするにも相手を追いかけるようなわずらわしいことをやめ、いざとなればわれとわが身に恋することも出来る、便利な動物かと思うとさにあらず。

一体の固体に両性が備わっていても、種族保存の為にはやはり二つの固体が必要になります。

それだけに、カタツムリの恋はいっそうややこしくなります。
 カタツムリは歩みがのろい為、自然界で雄、雌が巡り会うチャンスはそう何回もありません。そのため、同じ種族のカタツムリ同士が出合うと、とたんに激しいヤリ仕合いをはじめるのです。

ちょっと見たところでは、体をくっつけあって、首をふりあっているように見られるが、このヤリ試合では相方のヤリが折たり、互いに傷つくこともしばしばで、その目的たるや、お互いのオスの部分が、相手のメスの部分を求め合うものだから、決して戦いではないのです。

かたつむりの生殖器は首の右側にある。二匹は互いにこれを探り当てるまでヤリをふり合うわけですが、何しろ皮膚が弱いので、戦いでもないのに、途中で傷つくこともしばしばあるようです。ある観測例によりますと、一シーズンに十回以上も傷ついた例があるといわれています。

 


 

ヤリ試合がすんで二週間もすると、今度は母としての道を歩まなければなりません。父としての責任を果たした後に、母としての責任が平等に待っているわけです。

母となったそれぞれのかたつむりは、土の中に穴を堀り、一回約八十個前後のたまごを産みますが、以後たまごの面倒を見るわけではなく、産みっぱなし。このため、フ化したたまこが一人前まで育つのはごく一部しかありません。


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